この番組は、東日本大震災で発生した震災ガレキを“活かして”
津波から命を守る「防潮林を作ろう」という取り組み
「森の長城プロジェクト」の活動を追いかけています。

今回は先週に引き続き、森の長城プロジェクトのメンバーのお一人、
東京大学教授で、日本文学者のロバート・キャンベルさんに、
「森と文学」というテーマでお話伺いました。



NY出身で、日本文学はもちろん欧米の文学にも
とても詳しいキャンベルさん。

まずは、中世ルネサンス時代の文学に出てくる「森の意味」にまつわるお話をしてくれました。

中世ルネサンスでは、森には2つの描かれ方があったそう。

ひとつは、人々が真っ直ぐに進むべき道があり、
森に入ってくことは「迷い・さまよう」という悩みの象徴としての描かれ方。

もう一つは、社会に適応できず世間に背を向けた人たちが森に逃れていく、
社会で迫害された人が救済を求めて森に入っていく「守り包み込むという森」。

この2つが、産業革命以降の欧米文学の「森」のありかただそう。

そして、近代では、アメリカ文学の「ハックルベリーフィンの冒険」を例に話してくれました。

「ハックルベリーフィンは、自然の中で人間が、社会から逃れ、自然によりかかりながら、自然を頼りにして迫害を逃れるストーリーです。

ハックルベリーは逃れる立場で、ミシシッピ川の中州に渡り、ジャングルのようなところで脱走奴隷と生活をする。

原始的で美しい自然だが大雨が降れば川は氾濫、災害の犠牲者が出る。
家が流れる。

そんな状況を眺める描写があるのです。

いかだで川下りをする冒険が描かれる。いきにくい社会から自然に戻っていく。
川にへばりついて生きる物語。

NYで育った僕には考えられないような、森と川と人間が一つの流れの中で生きるロマンスが良かったですね・・・。」

また、ヘンリー・デイヴィッド・ソローが、1854年に発表した作品、
『森の生活』についてもお話してくれました。

「ソローは、日本で言うと幕末に死去したんです。
マサチューセッツ、ボストン郊外生まれで、鉛筆工場の息子。
哲学者でエッセイストで文学者。多芸な若者。

色んなことに行き詰まり、ボストン郊外にキャビンを作り自活生活をする。
その生活を記録したのが「森の生活」。四季に分けて描いていて、それぞれの自然に対する描写が美しいのです。」

また、

「アメリカ人はシェルターのように森を捉えている。

迷い悪の道に落ちるのではなく、社会に適応できない奴隷など弱者を受け入れ育てる、
迫害から守る、隠すものとして「森」を描く作品が多い。

アメリカ文学に限らず、アメリカの文化は個人が独り立ちする環境のための、
安全弁、装置が必要で、文学にも森や川、西部の未開拓土地が
シェルターとして登場するのではないか。」

と語るキャンベルさん。

欧米の文学に見る「森」の姿、改めて、
「ハックルベリーフィンの冒険」や、「森の生活」などの本を読み返してみたくなります。

是非、詳しくは、ポットキャストをお聞きくださいね。

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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