今週は先週に引き続き、今年10月に20年に一度の“神様のお引越し”、
式年遷宮が行われる、三重県・伊勢神宮の森にご案内します。
伊勢神宮の周囲を囲む、「神宮宮域林」という、広大な鎮守の森。
この森では、「200年後」を見据えた森作りが、ずっと続けられています。
今日そんな、伊勢神宮の「森作り」のお話です。

伊勢神宮を囲む、5500ヘクタールの森が「神宮宮域林」。
東京・世田谷区とほぼ同じ広さの広大な鎮守の森です。
この森は、「第一宮域林」と「第二宮域林」の2つに分けられていて、
第一宮域林は、そのほとんどが、人が手を入れることは許されない天然の森。
一方、第二宮域林は、大正12年の計画のもとで植林された、式年遷宮で使う
ためのヒノキ中心の森になっています。

伊勢神宮営林部・倉田克彦さんに伺いました。

◆この森から700年ぶりに御用材として式年遷宮で使われた
ちょうど今入ってきたのが第二宮域林の中の、昭和2年に植えた御遷宮用材を育成する林です。
計画初期の植栽地になります。今が83年経過したところ。
ひとつの節目になったのが、今回、平成25年の62回目の式年遷宮の年です。
遷宮に備えてのご用材育成林から、御遷宮のための用材として、全体量の20数パーセントが、700数十年ぶりに生産できたということで非常に喜びを感じております。


すでに伊勢神宮は、新しい社殿・お社が完成していて、来月の遷宮への準備は整っています。
その2割が、700年ぶりに、神宮の森から切り出された木材ということになるわけです。

ところで、この第二宮域林の中には、白いペンキで印をつけたヒノキが、いくつもあります。
実はこのペンキが、200年先を見据えた森作りの「目印」なんです。

◆2重ペンキは、先代と後世をつなぐ橋
植えてから30年〜40年経った頃に林を見てみると、ずば抜けて良い木と劣勢な木と、優劣がはっきりしてくる。その時点で一番優秀なものに二重ペンキ、それに匹敵するものに一重ペンキのマークをつけ、後世につないでいく目印とする。
二重ペンキは、根の張り具合がどっしり四方に張っていて、上を見上げると円状に枝が伸びていること。まっすぐ伸びているもの。そういう条件を兼ねそろえたものが二重ペンキとなる。1ヘクタール(100m×100m)の中に、二重ペンキが50本から70本。一重ペンキが130〜150本。一重と二重を合わせて200本という本数を基準にしている。


◆なぜ200年なのか
植えてから200年育てるわけだが、なぜ200年かというと、神宮の御遷宮用材として使う木は、直径60センチくらいの木が多く使われている。今長野県や岐阜県の木曾から分けて頂いている御用材は、直径60センチ=樹齢200年の木が多い。つまり60センチになるのにかかる時間が200年。間伐を200年繰り返し、目的の木を育てる。200年経つとこの木が何本くらいになっているかというと、植える時は1ヘクタールに4000本植えるが、200年で100本にまで減らす。


間伐されず、立派に育った木材だけが、200年後により大きな柱などに使われることになります。

そして神宮宮域林の目的の一つが「災害に強い森作り」。
第二宮域林は、植えたヒノキ以外にクスノキやカシ、シイの木も生えています。
針葉樹・広葉樹が上手くミックスされることで、台風などの強い風から、森全体を守る役目を果たすと、伊勢神宮営林部・倉田さんは説明しています。

◆災害に強い森づくり
二重ペンキの木の成長のため間伐すると、周りが切り分けられ非常に明るい山になる。お日様もサンサンと林内に降り注いできます。これだけの日が当たると、下草が太陽の明かりを受け恵みを受け、多種多様な植物が芽吹く。下層、中層、高層と色んな植物が成長する。それらを取り除くわけではなく自然のまま。目的のヒノキだけではなく、多種多様な植物が育つことで本来の森が出来上がっていく。たくさん小鳥がさえずり、木々が花をつけ、その蜜を求めて昆虫や鳥が寄ってくる。そうすると自然と実がなる。その実を求めて小鳥や大きな哺乳類がやってきてその実を食べる。食べた排せつ物が林内にまき散らされ、肥料濃度があがる。糞を分解する昆虫やミミズ、微生物の分解が起こり林内は腐葉土ができる。スポンジ状態の土作りが自然に出来る。スポンジ状になった土で山の中が作られると、今盛んに言われるゲリラ豪雨、集中豪雨が降っても、スポンジがいったん吸収して、吸収された水は濾過され地下へ地下へ行き、谷から下流へ流れ、川になり、下流へ。肥料分の高いところでろ過された土はミネラル効果が高い美味しい水となり、下流の川に生息する魚、貝類を増やす。神宮の下流で塩を作っており、海ではアワビ、離れたところでは鯛を神様のお供えとして調達している。上流の山が持つ使命というのは非常に公益的な機能がある。公益的機能を備えながら、自分たちが目的とする御遷宮用材を育成するという基本理念。森と川と海の循環は、こうした森ができることでおのずと生まれるものだと思う。


大木を育てるためには、山そのものが元気でなければならない。
「生物多様性」、最近はよく耳にする言葉ですが、それを大正の時代から計画され、地道に守り、またそれを受け継いできた成果が、今年の式年遷宮で実を結んだのですね。

貴重なお話、ぜひポットキャストでもお楽しみ下さい!

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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