今週も引き続き、南国・沖縄の漁師さん「海人(うみんちゅ)」と、森の木の関わりについてお届けします。
沖縄・糸満の海人たちがかつて使っていた舟「サバニ」。
その伝統は一度失われかけたのですが、現在、地元の船大工の方が復活させ、新たな文化として受け継ごうとしているんです。

糸満の海人が、実際サバニで漁をしていたのは、昭和の初めごろから、戦後にかけて。
現在、サバニを使った漁は存在しないそうです。
そして、サバニを作ることのできる船大工さんも、沖縄県内でたった数人が残るのみ。
というわけで、今回はその貴重な技術を受け継ぐおひとり・大城清さんにお話をうかがいました。
場所は、糸満にあるNPO法人ハマスーキの施設にあるサバニの工房。工房の中は、スギの木のいい匂いがしていて、そして、目の前に、完成間近の本物のサバニもありました!

◆船大工 大城清さん
これは売り物じゃないんですよね。私たちのチームがレースで乗るためのものです。
あっちにあるのは、去年の座間味のレースで私たちの優勝を見た方から注文を受けてつくっているものです。


サバニは、本当にきれいな舟なんです!
木がきれいな曲線を描いていて、おおきさは長さが7.7m、幅が1m10cmです。
これはかつて使われていたサバニとほぼ同じ大きさ。

大城さんによれば、サバニを使った漁がピークだったのは明治時代。
さらにさかのぼって、1857年…つまり江戸時代末期の記録によれば、当時の沖縄・琉球王朝は中国・清王朝に、フカヒレだけで1トン600キロを輸出していたと言います。海人たちがサバニで獲ったサメは、当時の琉球王朝にとって、大きな貿易資源だったことがわかります。
さらにさらにさかのぼって1700年代。糸満には800隻ものサバニが大きなサメを獲るために、海の上を走っていました。


◆サバニは無駄を削ぎ落した形
サメ、フカは図体が大きいですね。100キロ〜200キロの大物がいますので、サバニは簡単にひっくりかえるので、舟に載せるときはそれを利用します。傾けて水船にして、一緒にサメを乗せながらすくいこむようにします。あとは舟の中の水をかき出せばいいんです。
人が多いと分け前が少なくなるので、魚を捕るのは、基本的には2人でやっていました。慶良間諸島では親子でやっていたそうです。舟より大きなサメを持ってきたという話も聞いたことがあります。どうやったの?と聞いたら、「簡単さ、水船にすれば乗せることはできるさ」と言っていました。
ひっくり返しやすい構造なので、素人にしたら乗りずらい舟だと思います。細身で幅が小さく底幅も小さい。重心は低いんですが、転覆しやすくて戻りやすいんです。木材は浮力があるので自力で起き上がる力がはたらきます。そういうように、舟の形状にも機能があります。フカ漁・追い込み漁・浅いところで使う舟はそれぞれ作りが違います。網を積む舟は長めで底広、外洋に出るものは反り深くて細見で小型。用途に応じて作りの違いがあります。
何百年も前からある舟は完成されています。昔使っていた舟は性能が良かったと思います。毎日漁に行っているわけですから。私たち作り手は、昔の舟に近いものがどうやったらできるのかを探求しています。人が漕ぎ、、帆で走る舟は、無駄をそぎ落としたようなものじゃないと性能が落ちます。風がないときは漕がないといけないですから、太った船だとスピードが落ちます。
父と一緒にサバニをつくっている頃は帆掛けサバニは姿を消していたので、当時の丸みの付け方や形状などはわかりません。今度、帆掛けサバニレースの催しがあるが、レースを重ねて新しい舟をつくっていけば、必ずわかってくると思います。でもなかなか注文も少ないので、自分の舟を作って近づけるようにやっているんです。



お父さんの代からの船大工だという大城さんは、15歳の時から舟づくりを手伝っていたそうです。
ただ、当時 主流だったのはエンジンを付けたサバニ。昔ながらの、帆を上げ、風を受けて走るサバニの存在は「昔の話として」聞いたことがあるという程度だったといいます。
かつてのサバニを復活させようと考えたのは、今から40年ほど前。
ある人から、帆をかけたサバニを復活させてほしい、という声を受けてサバニ作りに取り組み、それがきっかけで、サバニを使ったマリンスポーツという新たな試みが始まったんです。


◆サバニを復活させるために
サバニを普及させるために、ひとりで持ち運べるようなものを作ったらと考え、4〜6mで2〜3人で乗れる舟を試行錯誤しています。サバニは小型でも帆があがるのが魅力なんです。サバには小さいので乗りづらいかと思いきや、カヌーやシーカヤックに乗っている人は上手く乗り回します。将来的にはマリンスポーツの観光にも貢献できるのではと思います。


取材に伺った場所には本物のサバニがあったんですが、本当に無駄のない、削ぎ落とされた形をしていました。
来週は、素人では乗りこなすのは難しいといわれたサバニにチャレンジした様子をお届けします。お楽しみに!



【今週の番組内でのオンエア曲】
・アンマー / かりゆし58
・島唄 / THE BOOM

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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