今回は前回に引き続き、ツリーハウスクリエイター小林崇さんのインタビューをお届けします。
これまで国内外で100を超えるツリーハウスをてがけてきた世界的なツリーハウスクリエイターの小林さん。
図面を引かず、木に登り、その高さから見えるものを感じながら木に寄り添って「創作」するのが小林さんのツリーハウスづくりです。
建築家ではなく、ツリーハウスクリエイターとして大事にしていることを伺いました。


◆ツリーハウスづくりの魅力
ツリーハウスをつくる木を選ぶときは、まずいちばん大きな木を選びます。木は全部が大きくなれるわけではありません。たとえば、たまたま日陰に種が落ちてしまえば、日が当たらないから枯れてしまいます。日当たりが良い場所にたまたま落ちた種が、環境に適応して優占種として育っていくんです。つまり、その場所で大きくなっている木は、それまでの風雪に耐えてきた強い木ということなので、その木を選びます。

あとは、見た目のバランスが変で、この場所にツリーハウスがあったら素敵だなという木を選びます。完成した時にどれくらい馴染むかということが大事で、主張しすぎるのはちょっといやらしいと思います。僕はアジア人なので、西洋の人がつくるツリーハウスとはそのへんがちょっと違います。全体の風景の中でいかに溶けこむかということが大事なんです。
ツリーハウスをつくるときは、その場所の環境も考えます。たとえば、台風がきたとき、平面の壁だと風をまともに受けてしまうので、流線型にして、風を受け流すようにします。デザインとその場所の環境は密接に関係しています。それに木の種類も、しなる木、折れてしまう木、常緑樹、落葉樹…色んなものがあり、つくりながらも悩みます。
いちばん難しいのは、それを一緒につくっている人たちに伝えることです。なぜかというと図面がないから。図面があれば、プロはその通りにつくってくれます。でもそれでは面白いものはできないんですよね。ツリーハウスはだいたい5人で、1ヶ月半くらいかけてつくるのですが、前半から中盤くらいになると、みんな疲れて進まなくなってきます。つくっている間は共同生活をしていますから、揉め事も起きます。それでも時間が迫ってくると、最後の10日間くらいはみんなトランス状態のようになって、能力以上のものが出せるようになります。これはプロがプロのようにやっていてもできないですね。そういう状態になると、自分が指示を出さなくてもみんな動くようになって、ここからの10日間で仕上がっていくんです。そこが僕は好きなんです。

ですから、自分がスキルを持ったプロフェッショナルというよりは、技術を持ったプロフェッショナルたちのモチベーションを高め、自然の木の中でコンサートをするコンダクターみたいな仕事ですね。一発勝負なんです。やるときは本番なんで練習はできないんです。初めての場所で、そこにある材料を使って、決められた期間のなかで一発で勝負という、それが好きなんです。



ツリーハウスづくりを通して、人間も成長できるなんて素敵ですよね。
ところで、ツリーハウスをつくるのに何か資格がいるのかというと、とくに無いんだそうです。ただし、プロとしてツリーハウスをつくるには樹木の知識をはじめ、様々なノウハウが必要。
そこで小林さんは、NPO法人などを立ち上げて、ツリーハウスづくりの養成講座も実施しています。ここで学んだ人たちの中には、ツリーハウスづくりのプロとして全国で活躍している人もいて、そんな人たちが、小林さんのツリーハウスづくりを手伝うチームになっているんだそうです。
小林さんが手がけたツリーハウス、小林さんの教え子たちが作るツリーハウスは、今も全国各地でちょっとずつ、数を増やしているんですね

◆お気に入りのツリーハウスは?
--今まで作ってきた中で一番のお気に入りは?
もうなくなっちゃったんですが、ひとつは沖縄、もうひとつは北海道にあったツリーハウスです。沖縄のツリーハウスは風速38mの風でとんでしまったんです。その台風は北海道にもいき、その先でまたツリーハウスが落ちたんです。
そのふたつは海外でも評価されていました。沖縄のほうは19mの木の上にあり、ドーム型でステンドグラスが入っています。周囲は銅とアルミとステンレスの波板でできていて、カラーのタイルが張られていて、もしUFOが下りてくるなら、ここにおりたくなるような感じです。



北海道のツリーハウスは流木でつくったミノムシの形をしています。もし自分が虫だったらこんなものを作るかな、というものです。


しかしもうどちらもありません。日本列島を台風が直撃するようなときは、心配で夜も眠れませんね。日本全国に、つくったツリーハウスがあるわけですからね。大雪のときもそうです。
いつも思うのは、自然の力は人知を超えるということ。つくるときには精一杯やりますし、経験も生かして、なるべく災害から逃れられるように考えますが、いつも自然はそれより強いので仕方がないというところもあります。無理してもダメなものはだめ。壊れたらまたつくろうという意識でやっています。
コンクリートなどの建物に比べて、ツリーハウスの寿命はながくありません。でも短いからこそ素敵なものもあるじゃないですか。この時間がすごく大事なんです。
ですので、壊れてしまっても、なるべく自然に帰りやすいような素材を使っています。塗料も生分解するものしか使いません。材料となる木も、長野なら長野の建材を、静岡なら静岡のものを使って、ちょっとでも森に還元しようと考えています。



今回お届けした内容はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
ぜひこちらもお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Don't Talk / Larry Lee
・Poetry Man / Phoebe Snow

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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