今週も引き続き、東京・奥多摩の森で暮らす動物たちの不思議な行動のお話です。
動物学者の今泉忠明さんは、長年 森の動物を調査されているだけあって、本当に面白いエピソードがいっぱいあるんです。
先週は、イノシシの「牙かけ」のお話でしたが、奥多摩の森ではほかにも、動物たちの不思議で興味深い日常があるんです。


〜タヌキの「ため糞」って、なんですか?
タヌキは自分の行動圏の中に何ヵ所かトイレみたいに、場所を決めて糞をする場所があるんです。こんもり山になってますそこへ来て臭いを嗅いで糞をするんです。臭いを嗅いで、誰は今いないなとか、そういうのがわかるっていうんです。コミュニケーションに使ってるという説なんですね。ですからそれを確かめるためにカメラを仕掛けて、もう2年くらいやっていますが、不思議なことに夏になるとなくなるんですよね。夏になると来なくなって、それで雨やなんかでどんどんどんどん消えてっちゃうんですね。ところが、秋になるとまた来だすんです。だから子育てのとき、メスが来ないからオスも来ないのかなとか。まあ、色々考えられますよね。

〜そうなんですね。熊棚というのはどんなものなんですか?
熊棚というのは秋に特有に見られる木の上の棚なんです。熊はブナの木の実が好きなんで、秋になると木の上の方にいって、枝に座って手繰り寄せてブナの実を食べるんです。そして食べ終わると、枝を尻に敷くんです。だから360度こうやると、直径1メートル半くらいの丸い棚が残るわけです。そうすると僕らは森を歩いてて上を見て棚があると、あ、ここは熊が来てるとわかるわけです。その枝が新しければ、ついさっきまで熊がいたということ、熊棚の多いところは熊が頻繁に来てるということになります。だからそこで待ってれば絶対に熊に会えるということですね。

〜この熊棚はいつの時期に作るんですか?
ブナの実がなる9月以降ですね。だから今一番出くわす確率が高いですね。

〜じゃあ熊棚を見つけたら要注意ということですか?
まあ一般の人はそういうことですね。僕らは調査するんで、いた方がいいんですけど。

〜3年間研究されて、出会った熊の数って何頭くらいですか?
出会ったのは1頭です。あとはカメラに映ってますね。出会うときは、向こうが先に気付くから逃げちゃうんですね。その熊に出会った時はちょうど道のわきでお昼を食べてたんですよ。そしたら、なんか気配を感じたので、なんとなく見たら、熊がこちらを見てたんですよ。「何食べてんの?」って。それで立ち上がって、写真を撮ったんです。そしたら、こっちへ何歩か来たんですよ。15mくらいのとこにいました。そしてもっと撮ろうとこっちも一歩踏み出したんです。そしたら熊がこりゃまずいかなと思ったらしくて、くるっと後ろ向いて逃げてったんです。追いかけたんですけどね、逃げられちゃったですね。

〜まさか熊も、今泉さんがこっちに来るとは思わなかったからじゃないですか。
そうかもしれないですね。もしキャーって言って逃げたら走って追いかけてくるでしょうね。

〜出会ったときはどう思われたんですか?
いやあ、チャンスだと思いました。やっと出会えた!やっと出会えた!って感じだったですね。これから冬は熊棚の上に雪が積もって、あたかもリスの巣みたいになってますから、すぐわかります。ただ、そこまで行くのが大変ですよね、下は雪ですからね。でも熊はこのときは冬眠してますから、絶対に安心ですよね。
イノシシの「牙かけ」やたぬきの「ため糞」、熊の「熊棚」は、もともとは猟師の人が熊を獲る、猪を獲る、そういったときの森の中の目印なんですね。だから猟師の人がそういう名前を付けたわけです。熊棚があればここには必ず熊が現れる。牙かけもそうですね。肌を見ると、まだ松ヤニが流れてればつい最近来てるということがわかるわけです。ですから全部猟師言葉です。それがどのくらい本当で、どのくらい僕らにも役に立つのか、そういったことを今確かめておかないと、消えてなくなっちゃうだろうという気もありまして、それで調べてるんですね。



今泉さんのお話いかがだったでしょうか。今回もとても興味深いお話でしたね。

今回ご紹介した内容はポッドキャストでも配信中です。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・ALICE / Avril Lavigne
・Awakening / 土岐麻子

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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