• 2014.11.16

森林セラピー1

今週は、私たちが森に入ると不思議と癒されるあの感じを、医学的な視点で解析して生活に役立てようという試み、「森林セラピー」のお話です。

お話を伺ったのは、千葉大学の「環境健康フィールド科学センター」副センター長で、医学博士でもある宮崎良文さん。森林セラピーという言葉を考えた方です。
まずはこの森林セラピーという言葉が生まれた背景を伺いました。


◆森林セラピーとは予防医学
この自然の快適さというのは以前から我々は経験的には感じていたんですよね。森林浴という言葉が生まれたのが1982年。これは林野庁の秋山長官という方がつくられた言葉なんですが、経験的に基づいて感じていたことが言葉になったというのが三十数年前ですね。しかし残念なことに科学的データがなかったんですね。何が気持ちいいのか、気分ではわかってるんだけれども、体の中にどんな変化が起きてるかってことはわかっていませんでした。
しかし、その解明がここ十年くらい急速に進んだんです。それに対応して、科学的なエビデンス(根拠)を持った森林浴という意味で、森林セラピーという言葉が出てきました。この森林セラピーという言葉は私が作った言葉なんですけれども、アロマセラピーという言葉に準じて作ったんです。森林療法としてしまうと、療法といううのは病気を治すという意味になります。森林浴の持っている本来の目的というのは予防医学なんですね。病気を治すのではなくて、病気にならない体にする。そこがポイントということですね。
極端な言い方をされる方は、風邪を引いても森行けば治ってしまうということを言われることもあるんですけど、実際はそれは正しくありません。風邪ひいてたり、肺炎になったりしたとき、森に行ったら悪化しますよね。そういうときは薬を飲んで治します。
だけれども、実際に我々の実験においてストレス状態にある人は免疫機能が低下してるんですね。そういう人が森に行くと体が生理的にリラックスするということがわかってる。そうすると落ちていた免疫機能が改善するということがわかってるんですね。そうすると病気にならない体になるっていうことですね。


これが、森の癒し効果の正体ということなんですね。
では、なぜ森には、人の免疫機能を改善する効果があるのでしょうか。


◆森林セラピーの効果
向こうに木が見えますが、そっちを見るのと、こちらの白い壁を見るのでは印象が違いますよね。向こうの木を見ると、なんだかホッとしてリラックスしますが、白い壁を見ると人工的だな、やだなって感じると思います。でもそれは説明できないんですね。自然を見ると体がリラックスをするというのは勝手に起きちゃうことなんです。それは我々が自然に、あるいは森に対応した体を持ってしまっているということなんです。
人というのはずっと進化という過程を経て、今の体があるわけです。人工化とか都市化っていうことを考えると、産業革命をひとつメドにすることが多いんですが、そうするとせいぜい2〜300年です。つまり自然に対応した体をずっと我々は持っていて、急に人工化が起きてしまったんで、自然体応用の体を持ったまま、今の人工化された都市での生活に入ってしまったということなんです。そうするとそこに摩擦が生じてストレス状態が生じるんですね。
ちょっと難し言葉なんですけど、「EBM」っていう言葉がありまして、EというのはEvidence、BはBased、MはMedicineで、医学においてもデータに基づいて考えていこうというのが、この30年くらいの世界の大きい流れなんです。これまでのように、経験的によかったらいいっていうことで済ますのではなく、科学的データを蓄積して検証し、現場の利用に繋げていこうっていう方向なんですね。
森林セラピーは、実はドイツが非常に有名で、保険適用にもなってるんですね。140年ほどの歴史があります。しかし、ドイツでは科学的なデータがないんです。我々の考え方は、あくまでもデータがあって実践があると。この両輪で進めていこうというふうに思ったんですね。
森林セラピーによって、体の中でどんなことが起きてるかっていうことなんですけれども、ひとつは脳の活動です。そして自律神経活動。ストレスがかかると血圧が上がるってよく言いますね。心拍ってこう、ドキドキと打ってますけれども、実際にこのドキドキという間隔は揺らいでるということがわかってきました。規則正しく打っているというふうに以前は言われていたんですが、実際は短く打ったり長く打ったりしていて、それがリラックス状態によって変わるってことがわかってきました。それを測定すると、ストレス状態で高まる交感神経活動と、リラックス状態で高まる副交感神経活動を分けて計測することができるので、これを我々は主な手法にしているんですね。
3つめは内分泌の活動といいますけど、主にストレスホルモンですね。人の体というのは、怒ったりイライラしたりすると、コルチゾールと呼ばれている代表的なストレスホルモン濃度が上がるんですね。
そして4つめが免疫機能ですね。この4つを測定して森林セラピーの効果の解明をしたというのが、この10年間我々がやった研究なんですね。



つまり、森が人の免疫をあげてくれるのではなく、人の体に備わった能力が、「森の癒し効果」になっているということなんですね。
人類は600万年前に生まれ、ずっと自然の中で暮らしてきました。産業革命がおこり近代化した社会になったのは、たった200年前。
だから私たちは今も、自然の中で暮らすことに対応した体になっていて、いまの生活の方が“不自然”ということなんですね。


今回お届けした内容はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Dangerous / Rumer
・パレード / 高田漣 feat.UA

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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