今週も引き続き、私たち日本人が古くから生活に取り入れて来た森の恵み、「炭」のお話。
京都で90年以上続く、炭を扱うお店『今井燃料』のご主人・今井健二さんのインタビューをお届けします。
一言で「炭」といっても実は色んな種類があって、それぞれ用途が違うんですよね。きょうはそんな雑学も色々教えていただきます。


◆菊炭

クヌギの炭は木目がきれいなので、お茶に使うのはほとんどクヌギの炭です。菊炭といいますが、木が菊の花のように、きれいにみえるのでそういいます。
冬は火のついたほうを上にします。そして、周りに灰をかけて火の勢いを調節します。灰をかけると火がゆっくりになりますし、空気に触れる部分が多いと早く燃えます。
ちゃんと燃えていくと、木目の形がそのまま灰になっていくので、それもきれいですね。


クヌギの炭は、「菊炭」といいますが、短い棒の形をした炭の断面の部分が、火をつけると、菊の模様のようになるんです。きれいですね。


さて、私たちは炭というと、「備長炭」がいちばん身近で、名前もよく聞くものですが、お話に出て来た菊炭と備長炭は、一体なにが違うんでしょうか。

◆白炭と黒炭
備長炭の産地としては、紀州、土佐、日向が大きなところですね。備長炭焼という製法があるんですが、堅い樫の木を使って、1200度くらいで焼くんですけど、それをガンガンに赤くなってるのを引っ張り出して灰をかけて強制的に消すんです。灰が付いて白く見えるので、備長炭のことを白炭っていいます。


黒炭というのは、楢(なら)炭とかクヌギ炭ですね。窯で蒸して焼くわけです。楢は岩手がダントツに多いですね。

楢炭はとても良い炭です。例えば薪ストーブに使う木としては高級品ですし、楢やクヌギはやはり木自体に火力があるんで良い炭になるんですね。
備長炭の場合は、日持ちもいいし火力も強い。そしてすごく堅い。硬度でいうと、鉄と変わらないくらいの硬度があるそうなんです。水に沈むような堅い木です。断面を見てもらったらわかるんですが、ピカピカ光ってるんです。それくらい堅いんですね。


今井さんによれば、どんな木でも炭にできるわけではないそうなんです。炭として使われているのは、楢やクヌギです。杉などの針葉樹は早く燃えてしまい、炭には適さないそうです。
さて、炭といえば、茶の湯の世界では、炭を使ってお湯を沸かしている印象があります。これは「お茶炭」というそうなんですが、実はお茶の世界で使う炭は、ものすごく手間のかかったものなんです。

◆とても手間のかかるお茶炭
お茶炭は独特のもので、かなり厳密に寸法や太さが決まっています。それも最上級のものしか使えませんし、技術的にも難しいのであまり多くつくることはできません。クヌギの上手く焼けたものを仕入れて、それ専用に切って、粉出しをして洗います。お茶会の席で爆(は)ぜたりしないように、すごい苦労をしてお茶炭として出されてるんですね。
どうしても粉が出るんですが、こういう粉がパチパチっとはじける元になるんです。お茶炭はいろんな炭があるんですけど、家元でお使いになるようなものは、全部こういうものをいちど水で洗い流すんです。それで乾かして、またお使いになるんです。ですから、かなり手間がかかるんですね。


炭はもはや、ただの「燃料」ではなく、日本の茶の湯という、伝統を支える大事な役割も果たしているんですね。
どうやら日本の炭作りは、世界的に見ても大変優れた文化だということが分かってきました。

◆備長炭は世界最高の炭
品質的には、やはり日本は僕最高だと思いますね。特に備長炭は世界最高の炭だと思います。こんなに火力があって、日持ちもいい炭はなかなかないと思います。
備長炭という名前の由来は、備中屋長左衛門っていう方がその製法を発明して、頭文字を取って備長炭というふうに名前が付いたんですね。
太平洋沿岸の温暖なところにできるウバメガシっていうのが、いちばん堅くて火力も強い炭ができます。ウバメガシより少し柔らかくなりますが、普通の樫の木も備長炭としてたくさん作られています。
備長炭に代表されるように、江戸時代くらいからどんどん品質が向上してきたと思います。



ウバメガシなど、樫の木で決められた製法で作られたのが備長炭。人の名前だったんですね。
そして今、こうした炭のある暮らしは若い人たちの間でも人気を集めています。ちょっとこだわった飲食店にいけば、備長炭使ってます!という文字もよく見かけますし、需要は結構ありますよね。
ただし、需要が増えるということは備長炭にとって必ずしも良いことばかりではないようです。


◆よいものを上手に使う
炭の人気が出だしたのは10年くらい前なんですが、やはり中国産の炭がかなり出回って、備長炭はだいたい7割くらいが外国産になったんです。質はあんまり良くなくて、爆跳っていってすごい爆ぜる炭が多かったんです。
中国産はなぜ禁止になったかといえば、これはひとつの説ですが、皆伐してしまうんです、山を。それで洪水の被害がかなり多くなって、政府がそれを止めるために輸出禁止にしたんですが、いくらでも出てくるんですよ。何回も禁止になってるんですけどね。
それが一昨年の10月だったかな、かなり強行になって釜を壊したり、いろんなことをしたみたいです。そのあとはラオスとかベトナム、インドネシア産というように色々出てきてますね。
ホームセンターとかで売っている炭って外国産の質の悪いものが多いんですよ。たまに奮発して、例えばうちの国産の炭を使ってもらってるともう全然違うっていうのがよくわかっていただけるんです。
例えば備長炭でしたら、一回火をつけて燃やしても、その一回の料理の時間以上に燃えるんで、それを火消し坪に入れれば、また次回使えるわけですね。例えば七輪で料理される場合だと、一回当たりの炭代って多分200円とか300円で済むんですよ。それで国産のいちばん良い炭使えるんで、使い方によっては別に高くはないと思います。そのまま燃やしてしまうから高くつくんであって、そういうことはうちのサイトで色々ご紹介してるんです。上手に良いものを使う方法がだんだんみなさんわかってきていると思いますね。



今井さんのお話、いかがだったでしょうか。来週も引き続き、炭の話題をお届けします。
今回の内容はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・明日 春が来たら / 松たか子
・family feat.YeYe / 古川本舗

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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