今回は10月14日(土)、福島県南相馬市・原町区で行われた第五回 福島県「南相馬市鎮魂復興市民植樹祭」のレポートお伝えします。
この植樹祭を主催する 鎮守の森のプロジェクトはこれまで、宮城県岩沼市、そしてこちら福島南相馬市などに、およそ41万本の苗木を植樹。神社の「鎮守の森」をモデルに、東日本大震災、阪神大震災でも防災・減災効果が注目された「命を守る森づくり」を、広げていこうと活動を続けています。

南相馬市での植樹祭は、これで5回目。南相馬市、桜井市長は開会式で参加ボランティアの方に、こんなメッセージを伝えました。

〜桜井市長の開会式でのあいさつ〜
震災から6年7ヶ月が経過しました。636人が犠牲になり、まだ111名が家族とも会えていない状況になっています。みなさんが植えてくださる一本一本は、亡くなられた方々だけではなく、これからここに暮らす人たちにとっても生活と命を守る木として、大きく成長することと思います。一本一本、心を込めて植樹していただきたいと思います。

今回で5回目となるこの植樹祭では、恒例となっていることがあります。世界各地で植樹指導をしている植物生態学者・宮脇昭さん、そしてそのお弟子さんたちの「植樹指導」です。今回は宮脇さんに師事した、横浜国立大学名誉教授、藤原一繪さんが植樹指導を行いました。

〜藤原一繪さんの植樹指導〜
この土地のものを、根がしっかりした苗木を混植する。混ぜて、競争させる。赤ちゃんのうちは雑草を取ってあげてください。その代わり、3年で、何もしなくても自立して立派な未来の森を築いてくれます。もうすでにいろいろな場所で森が出来上がってきています。この南相馬の森でも、10年前、12年前に植えた馬追場のコースの周りには立派な森が出来上がっているんです。この地域の寄木神社には、あの津波にも絶えたタブノキの森がいまだに残っています。それから、アカガシが相馬市の屋敷林や山にたくさんあります。シイ、タブ、カシ。これが重要です。10年で6mも芽を伸ばすんです。そして火に対しても強い。この集団が津波に対しても強いのです。これを混ぜる、隣り合わせに違う木を密植して、競争できるようにします。

そして大変な雨の中、なんと2300人のボランティアの方々がいっしょうけんめいに植樹を行いました。

地元から参加した女性
ここからすぐ近くに主人の実家があって、流されました。主人の親戚とか、いとことかは15人くらい行方不明になったり流されたりしました。じっとしていられなくて、3日目には戻って遺体捜索を手伝ったということがありまして、やはりみなさんで、こうしようと決めたことなので、少しでも手伝って弔ってあげたいっていう気持ちはやっぱりありますね。
今回のような未曾有の災害がないことを願っていますが、やはりそういうことがあったときにこれが役立ってくれたらいいなという気持ちはありますね。


原町から母娘で参加したお母さん
ちょうど震災のときに生まれて一ヶ月。仙台に6年くらい住んでいて、春に戻ってきました。植樹祭への参加は初めてです。やはり震災後、この沿岸沿いはびっくりするくらい変わってしまっていて、今日みなさんで植えた木が育って森になってくれたらと思います。子どもも楽しんでいて、自分が植えた木がすごく大事みたいで、ずっとそこだけ見てます(笑)これから何年か後にこの場所に来たときに、このなかの一本が自分が植えた木なんだ、っていうことってすごいんじゃないかと本人も感じると思うので、とてもいい経験だったと思います。

二本松市から親子で参加したお父さん
子どもはしぶしぶ来たんですけど、実際に作業してみると「楽しい」って言っています。やっぱりこういう機会ってあまりないじゃないですか。子どもにとっては、こういうボランティアに参加して、実際に体を動かして楽しいっていう気持ちを醸成させるのにすごくいい機会だと思います。何年か経ったらここにまた足を運んで、自分で見て実感したいと思います。


この日は雨で、地面もドロドロにぬかるんでいたのですが、それでも2300人の方が参加して3万本の木を植えました。単純計算でも一人10本以上を植樹したのは、それだけみなさん強い思いを持って参加されたのだと思います。
津波の傷跡が残る場所ではありますが、地元の方にとって心の拠り所になるような場所になるといいなと思いました。
この植樹祭ですが、来年も行われます。すごく楽しいので、気になった方はぜひチェックしてください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・ステップアップLOVE / DAOKO × 岡村靖幸
・By Your Side / Sade
地球全体をフィールドに撮影を続ける自然写真家・高砂淳二さんのインタビューを数回に分けてお聴きいただいてきました。
進化の理屈ではとても説明できないような不思議な生き物の話。コスタリカの森の多様性、ハワイの森にいるという精霊の話。カナダで出会ったカメラ目線のグリズリーのお話・・・など、本当に面白いお話、たくさん聞かせてもらいましたが、最後は、40年ちかく世界の自然を見つめてきた高砂さんが思う「日本の自然」の魅力です。


国内で好きで撮影に行くのは小笠原とか沖縄とか行きますけども、小笠原は秋とかいいんですよ。9〜10月はマッコウクジラが見やすくなる季節なんです。マッコウクジラを見られるところというのは、世界的にもすごく限られていて、マッコウクジラは500〜1000mの深さまで潜って、ダイオウイカを食べるんですよ。小笠原のあたりは一気に1000mくらい落ちているドロップオフがあるんですね。ですからちょうど、マッコウクジラたちには絶好のポイントなんです。それで、9月〜10月くらいになると台風も収まって、マッコウクジラを見やすい時期に入るんです。
マッコウクジラっておもしろくって、クジラやイルカの仲間は超音波を出して、それで透明度の低い海の中でも、超音波の跳ね返ってくるものを聴いて周るの状況を把握するんですが、マッコウクジラは深海に潜るということもあって、その超音波がすごく鋭いんです。クリック音というのですが、「クリッ、クリッ」って音波を出します。それで、全然姿が見えないような向こうから、クリック音を僕に浴びせかけてくるんですよね。で、だんだん近づいてきて、やっと姿が見えるくらいになると、その「クリッ、クリッ」っていう音が体の中に響くような、刺さるような感じになって、「俺のことをスキャンしてる!」みたいな気になります。それはもう、動物の能力ってすごいなって思いますよね。
マッコウクジラは、こちらに興味があっても警戒心が強いので、こちらから向こうに泳いでいくと、すぐに進路を変えたり、潜っていってしまいます。だから、ひたすら水に溶け込むようにして、じっと待っているんです。その間、僕に超音波を浴びせかけて、スキャンしながら見ているんですよね。
マッコウクジラは四角いユニークなおでこの顔なんですが、その頭がズーンと近づいてきて、まるで魚雷みたいです。それで、ある程度まで来て、こちらがどういうものかわかると、すっと潜っていったり、進行方向を変えたりします。好奇心が満たされて警戒心が出てくるんですね。でも向こうが落ち着いているときだと、ふわっと浮かんでいてくれたりしますね。マッコウクジラの体は深く潜れるようになっていて、胸ビレなんかもピタッとくっつけることができて、本当に魚雷型になれるんですよ。


〜怖くはないんですか?
怖くはないですね。でも向こうが怒っていたら何するかはわからないですよね。ハクジラという種類はそういうことをする可能性もあるんです。でもこちらが、何もしなければ、危害を加えられることはないと思っていますけどね。でもすごく興奮しているんですよ。心臓もドキドキしているし、もっと近くまで来てくれって。

〜なんだかその気持もクリック音で見透かされてしまいそうですね。
本当ですね。イルカなんかも超音波でお腹の中に赤ちゃんがいることがわかって、優しく来たりもすると言われていますね。面白いですよね。

〜高砂さんのご出身の石巻のお話も伺いたいのですが、石巻は秋から冬にかけてはどんな景色になりますか?
どちらかというと、石巻の海は”見る”海、写真を撮る海というよりは、”食べる”海なんですよね。やっぱり秋はおいしい魚がいっぱい上がってきて、カツオなんかも戻っていく途中に近くを通りますし、わざわざここを通ってくれてありがとう(笑)という感じですよね。牡蠣もいっぱい獲れます。
でも景観としては、津波の後、大きな堤防ができてかなり変わってしまって、ちょっとがっかりですよね。小さい頃は、遊ぶところはいつも海だったし、食べるものも朝昼晩、いつも海のものばかりでした。しかもその季節のものが食卓にのってくるから、海に生かされているという感じでした。うちの周りも水産加工場がありましたし、家の前が水産高校でしたし、その周りは牡蠣の養殖をやっている人たちばかりでしたし、本当に海で生きているような街でしたね。


〜この先に撮ってみたい動物っていますか?
僕がよく思うのは、クジラにしても、イワシにしても、”海洋資源”っていうじゃないですか。僕に言わせれば、同じ命を持った生き物だから、食べるときはひとつの命を食べているという意識を持った方がいいし、海洋生物はそもそも人間のための資源じゃないと思う。それを他の人にも伝えたいですし、そういう気持ちを持てるような、命を感じる写真をもっと撮りたいと思いますね。

高砂淳二さんのお話、いかがだったでしょうか。高砂さんの新しい写真集『LIGHT on LIFE』は小学館から出ています。詳しくは高砂さんのホームページ、facebookなどをごらんください。


「LIGHT on LIFE」(小学館)

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/
高砂淳二さんfacebookページ→https://www.facebook.com/JunjiTakasago

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Little of Your Love / Haim
・Fallin' / Suchmos
今週も引き続き、地球全体をフィールドに撮影を続ける自然写真家・高砂淳二さんのインタビューです。
最新の写真集「LIGHT on LIFE」。この写真集では世界30国以上を旅して撮影した自然の姿が納められています。
80年代からずっと、世界各国の自然の中に身を置いてきた高砂さん。この番組の大きなテーマである「森」についても、様々な体験を語ってくれました。


ハワイ島にボルケーノ(火山)がありまして、その近くに雨林があるんですよね。そこもすごくいいですね。ヘゴっていう、大きなシダの一種がいっぱい生えていて、太古の昔に来たような、そういう景色が広がっているんです。それが溶岩の上に生えているんです。いまは結構観光客も行くようになったので有名になってきましたが、そこに溶岩チューブという、溶岩が流れたトンネルがあります。そのトンネルは出口も入り口も森のなかにあるんですが、トンネルから出たときの印象が「うわ、どこに来たんだろう!」みたいな感じです。すごく雨が多くて、霧で覆われているときも多いんですが、そうすると、どこからともなくついた水滴が、シダの一枚一枚の葉のさらに先の一本一本の先に垂れそうになっていたりして、ものすごい生命力を感じるんですね。
そんなのがあるかと思うと、たとえばヘゴの先から出てくる、葉の赤ちゃんみたいなものがあるんですが、その先を見ると、なんか人のお腹の中の、最初にできた赤ちゃんみたいな形をしていますよね。こういうのがあっちこっちのヘゴの先についていて、ここからどんどん伸びて葉が出ていく。みんな生命の始まりは同じような感じだな、ということも感じるし、それがまた周りが霧で覆われていて、なんだか生命の濃厚なスープみたいなところに入り込んでしまったという感じ、すごくいいですよね。


〜この番組で、以前に奄美大下の森の中にいるという、ケンムンとうい妖怪について取り上げたことがあります。多分、自然に対しての畏怖を込めてということがあると思うんですが、なんかそういう不思議な体験とかってありますか?
ハワイでもメネフネっていう小人の伝説があります。メネフネが夜中にみんなで集まって、堀がずっと続いた用水路みたいなものを一晩でつくったとか、いろんな伝説があるんですよね。
僕はハワイにずっと通ってますけど、いろんな夜の森も歩きました。最初は、夜に一人で歩くっていうのは、結構怖かったですよね。いちど、滝があって、カウアイ島の滝に行ったとき、そこに現地の子どもたちとかが下りていくような獣道があるという話を聞いて、現地の人に下り方を教えてもらって、実際に昼間に下りてみたんですよね。崖をロープで下りたり、うっそうとしたところを通って、やっと滝壺まで下りられる道です。それで、夜の風景を見てみたいと思って、昼間のうちに白いテープで下りるルートをつけておいて、夜にそこにひとりでいったんですよね。ロープをおりたり、鬱蒼としたところを通ったりして、やっとの思いで滝壺にたどり着いたわけです。やっぱりこんなしんどい思い、怖い思いをするんだったら来なきゃよかったなんて思いながら。それでやっと滝壺にたどり着いて、滝壺を見たら、滝のしぶきに月の光が当たって虹が出ていたんです!その素晴らしい風景が、なんだか待っててくれたみたいな感じがして、プレゼントをもらったように感じながら写真を撮りました。本当に涙が出そうになって帰ってきましたね。本当に「ありがとう!」っていう感じですね。


月の光でできる虹「ムーンボウ」とよんだりしますが、とても幻想的な風景ですよね。そして高砂さんに、この先、もし行けたらぜひ行くべき「森」、教えて頂きました。

やっぱりコスタリカかな。コスタリカは世界の動植物の5パーセントがいるらしいんです。コスタリカの面積は九州と四国を足した程度なので、ものすごい濃密ですよね。濃密な森には、やっぱり濃密な生態系とか、珍しい生き物とか、いろんなものが見れるし、しかもそれらが絡み合った関係性も見れる。コスタリカっていうところは自然をすごく大事にしていて、エコツーリズムも盛んだし、最近だと動物園も廃止になったんですね。動物園にいた動物たちを、施設をつくってそこで引き取って、自然に返せるものは返して、返せないものはそこで大事に一生面倒をみるということをやっているんですよね。だからなのかどうか、人間との関係が微妙に変わってきているみたいなんです。たとえば、森のなかにあったホテルにいったんですが、そうしうたらそこのレセプションの、人が働いてるすぐ横にちょっとした柱があって、その上に鳥が巣を作っていました。周りは森なのに、なんでわざわざこんなところに入り込んで巣を作るんだろうと思って、現地のガイドに聞いたら、森は天敵がいるから、人のそばだと安心だということがわかっていて、そこに作るんだそうです。ケツアールという、バードウォッチャーにはたまらない、火の鳥のモデルになった鳥がいるんですが、以前は見るのが大変だったそうです。でもいまは一羽、人が住んでいる家のすぐそばにいて、近くの木の穴に巣を作って、子どもを育てているんですよね。なんだこんな簡単に見れるんだって、びっくりしたんです。

〜人と動物の共存っていうのは、もしかしたらそういうことなのかなと思っちゃいますよね。
人が本当に変わると、自然との関係性っていうのも変わるんじゃないのかなっていうのは思ったりしますね。

高砂さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。


「LIGHT on LIFE」(小学館)

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・My California / ハナレグミ
・Lost In This City / Michael Kaneko
先週に引き続き、地球全体をフィールドに撮影を続ける自然写真家・高砂淳二さんのインタビューです。
高砂さんが出されたばかりの写真集『LIGHT ON LIFE』。こちらには、世界各地の様々な生き物たちの、めったに見られない一瞬一瞬が切り取られています。
きょうは、高砂さんが出会った生きものの中で、特に「生命の不思議さ」を感じたお話、伺います!


〜高砂さんは小学館から写真集「LIGHT ON LIFE」を発売されたばかりですが、本当にきれいな写真集で、全部希少な瞬間を捉えていますよね。高砂さんはこの写真集のなかで、これは貴重な瞬間だったと思う写真はありますか?
たとえばコスタリカの森に行った時、夜に雨が降り出すと出てくるカエルがいるということで、夜の森を歩いていたんです。そうしてしばらく歩いていたら、葉の裏側にひっそりと、爪の先くらいの小さな顔を持つ「ガラスガエル」という半透明のカエルがいたんです。腕もあるし、手もあるんですけど、あまり見えないですよね。これはもう透明に近いんですよ。それで「ガラスガエル」とよばれているんです。これが葉っぱの裏で2匹が重なって交尾してるんですね。夜の雨の森のなかで、あっちでもこっちでもそういう営みがあるんだなあと思ったり、顔の可愛さもあったし、2匹で重なって幸せそうにしている表情をしていて、それを出すにはやっぱり正面から見てもらいたいなと思って撮ったんです。


〜他の写真でも、ナマケモノが餌を食べている可愛い写真ですとか、カメラ目線の、まるで高砂さんに優しい目線を送っているような写真が多いなっていう印象があるんですが、そんな写真を撮るための工夫はされたりするんですか?
向こうがこっちに興味を持ってくれたらいいなっていうのが、僕が一番思っていることで、そういうときの顔っていうのは、人もそうですけど、目が輝いていて、それでその生き物の中身が輝いている感じになるとぼくは思うんですよね。ですから、僕は「命の輝き」を撮りたいので、なるべく、「わあ、なに?」みたいに、そういう気持ちになってこっちを向いている瞬間を撮りたい。あとは、撮影していて、結構声をかけるんですよね。「おーい、元気か?」とか、そうするとふっと向いてくれたり。もちろん向こうは、「元気だよ」って応えるつもりで向いているわけではないんですけど、「なんだ?なんだ?」みたいな感じで向いてくれるので、そういう表情を撮ったりしますね。そうすると、自然と正面の顔が多くなるんです。

〜高砂さんの写真を見ていると、高砂さんが動物に向けている愛情がそのまま伝わってくる感じがしますね。
それは多分あると思います。ぼくも「うわ、かわいい!」とか、「すごい!」って思いながら撮っていますから。やっぱりこちらが愛情を持つと愛情が移りますからね。

〜高砂さんが森のなかで撮影をされて、改めて「生き物ってすごいな、不思議だな。」と思う瞬間ってありますか?
この写真集にも1枚、ハキリアリの写真が出てますが、ハキリアリっていうのは、木の上に登って自分の何十倍もあるような葉を切ってきて、それをせっせと下に運んで、さらに地面をずっと何十メートルも運んで、自分の巣に持っていくんですよね。それがまたすごい数!ズラッと巣から木の上までつながっているんですよ。何十メートルも続いていて、地面にちゃんと道ができているんです。たぶん何十年も使っているんじゃないですかね。そうやって延々と葉っぱを切って運んで、それを使って巣のなかでキノコを栽培して食べているんです。不思議ですよね。農業をやっているんです。

〜この写真はどちらで撮らてたのですか?
コスタリカですね。なんか全体でひとつの生命体みたいに見えるというか、たとえば僕ら人間のお腹のなかにもいろんな菌が住んでいて、それで働きが整って自分というものができているわけじゃないですか。だから、考えようによっては、ハキリアリも、みんなで「これが僕だよ」って言っている感じですよね。アリがこういうことをして、ひとつの生命体のようだというかね。もっと視点を広くしていくと、こういういろんな生命があって、生き物があって、植物があって、それでひとつの地球号みたいなものができているなという感じがしますよね。

生きものは、突然変異で今までにない特徴や能力を獲得して、そうしたものが自然淘汰の中で生き残って、生き残って生き残って・・・と繰り返した結果、いまの不思議な能力にたどり着いたと言われます。ただ高砂さんは、「あまりに不思議すぎて、それだけでは説明できないですよね」ともおっしゃっていました。例えば、高砂さんは、写真集の中から、一羽の蝶々のお話をしてくれました。

自然の不思議さって昆虫なんかにもあるんですね。たとえば蝶の羽の模様とかですね。この写真集にもひとつ載っていますが、フクロウチョウという蝶がいて、それは羽の先端のほうはヘビの顔そっくりで、根元の方はフクロウの目にそっくりなんですよ。しかもその目が立体的に見えるようになっているんです。質感もテカテカしているように見えますが、じつはそうではなくて、わざわざそういう模様になっているんです。僕もギリギリ近くで見るまではテカテカしていて盛り上がっていると思っていたんです。でも全然そうではないんです。どうやってこうなったんだろうと思います。本当に不思議ですよね。



今回のお話、いかがだったでしょうか。来週も引き続き高砂さんのインタビューをお届けします!


「LIGHT on LIFE」(小学館)

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Lipstick / Nulbarich
・サリー / 大橋トリオ
今週は、森や自然はもちろん、地球全体をフィールドに撮影を続ける写真家・高砂淳二さんをゲストにお迎えします。
先日あたらしい写真集を出されたばかりなんですが、これが本当に愛らしい・・・
ということで、世界をめぐりシャッターを切り続ける高砂さんに、この世界を形作る自然・生きものの楽しいお話、いろいろ伺っていきます!


〜いつも世界中飛び回っていらっしゃると思うのですが、最近だとどこに行かれましたか?
つい最近は、中米のコスタリカとか、ミクロネシアのパラオとか、そのへんに行きましたね。パラオでは、しかも新月の日の夜中に潜って、浮遊しているプランクトンとか、そういうものを撮りました。新月の時を狙うのは、月があるときだと明るいので、浮遊している動物が他の魚から見えて食べられちゃうからです。食べ物が多いところは陸地に近いところなんですが、新月にそういうところに近づいて、食べ物と食べて、また離れていくみたいなことをするらしいんですね。なので、新月を狙って潜りました。
浮遊系の生き物は不思議なものがいっぱいいて、たとえばホヤみたいなものがプカプカ浮いていて、それを小指の爪くらいの小さいエビのような生き物が捕まえて中身を食べちゃうんです。そしてそのなかに住んで、自分のバリアにして、そのまんま浮遊して暮らしている。なかでネズミのおもちゃみたいにコロコロやりながら動いているので「タルマワシ」っていう名前の生き物なんですけど、そういうものがいたり、あと宇宙船みたいな生き物とか、いっぱいいました。


〜高砂さんは小学館から写真集を発表をされたばかりです。タイトルが「LIGHT on LIFE 」。本当にきれいな写真集で、まず表紙が水鳥とカニが見つめ合っている写真ですね。まるで、絵本に出てくるような光景ですが、これ現実ですよね。これは水鳥はカニを狙っているわけではないんですか?
そうじゃないんですね。この鳥はアジサシの仲間なんですが、アジサシがいて、そのバックの海がブルーできれいだったので、それをビーチで腹ばいになって撮っていたんです。そうしたら、フレームの中にカニがトコトコと入ってきたんですね。たぶんカニは鳥に気づかずに歩いていて、ハっと顔を上げたら鳥がいた。そして鳥もハっと思って目があっちゃったみたいな、そんな感じなんですね。それでしばらくそうしていて、それでお互い気まずくなって、離れていきましたけどね(笑)もう笑いながら撮影していましたよ。


「LIGHT on LIFE」(小学館)

〜「LIGHT on LIFE」は日本語にすると「生命の輝き」でしょうか。どういう作品にしようとしたんですか?
去年、僕は「Dear Earth」っていう、地球そのもののきれいな風景とか、いろんなものを撮って写真集にしたんですね。ぼくはずっと地球全体を表したいなっていうのがあって、じゃあ今年は地球で生活をしている生命を撮ろうと思っったんです。それで、そういう生命たちに光を当てるみたいな意味合いも込めてこの写真集をつくりました。

〜拝見していて一番最初に気になったのが、グリズリーの写真でした。見開きになっていますが、右ページは立ち上がっていて、左のページは川のなかですが、これは鮭ですか?
はい。鮭を食べているんです。カナダ・バンクーバーよりちょっと北の川なんですが、その川には夏になると、鮭が遡上してくるんですね。その遡上していく鮭をグリズリーたちが集まって食べるんですよ。このシーンはお母さんと2頭の子どものグリズリーが川を登っていて、僕は小さい舟でそばに止まって、静かにしていました。子どもたちは全神経を食べることに集中していますよね。

〜カメラなんて全く気にしてないですもんね。
まあお母さんが一応近くにいて、廻りをちょこちょこ見てますけど、そのお母さんの愛情と、子どもたちの無邪気さがすごくかわいかったですよ。

〜このような自然のありのままの姿を、こんなに近い距離で、どうやって撮ったんですか?
けっこう時間はかけますね。まずは向こうがこっちを全然気にしないような状況をつくるということがあります。向こうが驚いたり、何か自分のテリトリーを荒らされるんじゃないか、危害を加えられるんじゃないかと思ったりするようなこと一切せず、静かにして、何もしませんよ、自然の一部ですよ、みたいな感じでいくやりかたがありますね。この写真はそうやって撮りました。
あとは、動物というのは警戒心と一緒に好奇心もあるんです。なので、最初は警戒心のほうが強くても、こちらが何もしないと、だんだん気を緩めるということもあるし、こちらが緊張すると、向こうも緊張するということもありますから、こちらが緩んでいると、向こうも警戒心解くといこともあります。そういうときに僕が使うのは、遠くにいる時点からゆったりした歌を口ずさみながら、横を向いてちょっとずつ近づいていく。正面を向いていくと、向こうも”気”を感じるので、横を向いたまま歌を歌って、さらっと近づいていくんです。そうすると向こうも、なんだなんだ?っていう好奇心とともに、「大丈夫そうだな」って感じるから、わりと気を許してくれたり、うまくすれば、こちらに近づいてきて面白そうな顔をして見てくれますね。
動物は結構好奇心ってあるんですよね。もちろん、魚とか昆虫とかはそんなには無いんですけど、哺乳類とか、鳥とか、そういうのは意外に好奇心があります。たくさんのペンギンのなかに入って撮ったこともありますが、向こうが50〜60cmの背丈だとして、僕のような1m75cmの人間がそのまま立っていくと、やっぱり向こうは怖がって、半径5mくらいずつ距離を保って、少しずつ逃げるわけです。でもふと後ろを見ると、ついてきているのもいる。やっぱ怖いというのと、なんだなんだ?っていうのの両方があるんですよね。だからそういうときには立っているのをやめて、そこに這いつくばって、しばらくじっとしている。そうすると、だんだん距離が縮まっていって、最後はペンギンに埋め尽くされるようになって。背中に乗ろうとするものいますよ。


〜なんだか人と一緒ですね。人でも怖がる人もいれば、興味津々で怖がらずにくる人もいるし。
そうなんですよね。よく犬好きの人のことは、犬はわかるっていいますけど、犬好きの人は、犬に対して警戒もしないし、向こうもそれをわかっていて寄ってくるっていう。それは理他の動物でも成り立つんですよね。

高砂さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・On My Way / Giovanca
・This Town (ft. Sasha Sloan) / Kygo
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高橋万里恵
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