北海道東部・阿寒国立公園にある湖・オンネトー湖のキャンプ場で行われた、「モーラナイフアドベンチャー in Japan」。自然と向き合いながら、アウトドアのスキルも身につくこのイベントの模様を何回かに分けてお届けしています。
いよいよイベントも終盤に入りました。きょうは、スウェーデンのモーラナイフと、北海道の先住民族の文化を融合させるという、とっても興味深いワークショップの模様です。
講師はモーラナイフ公認の、日本と台湾のアンバサダー、長野修平さん。ネイチャークラフト作家で、アウトドア料理人という肩書もお持ちの、やはりアウトドアの達人です!


 いよいよ今日最後のプログラムになります。モーラナイフの国、スウェーデンはサーミ人という先住民族がいますが、僕は日本人なんですけれども、ぜひアイヌをテーマに入れてほしいということでした。僕は北海道 苫小牧の山菜料理家に生まれました。幼稚園に入る前から山に入って山菜をとっていて、そこでいろんなもの拾って遊んだりもしていたんですけれども、隣町が二風谷というアイヌの街でした。(アイヌ文化と繋がりの深い)白老も隣です。ですので、アイヌのいろんなものを感じながら生活してきたんですが、最近になって、白老のアイヌ民族博物館が実はオリンピックの年に向けて国立化することになりました。まさにそういうタイミングで、アイヌをテーマにワークショップをすることになったわけです。
 今回作るのは、アイヌに伝わるメノコイタというカッティングボード(まな板)です。片側が彫ってあって、サーモンをさばくと中からいくらが出てきた、ここにためまるんです。今回はそれを僕らのサイズに合わせてつくります。たとえば、ここにソーセージがあったら、切りながら、ここでタレをつけて食べる。そんなこともしてもらいたいと思います。

 完成見本のカッティングボードの持ちての部分を見てください。特徴的な形をしていますね。アイヌの人の墓碑はエンジュという、100年たったら土に帰る丈夫な木です。直径10センチ位の丸太をただ突き立てたのが墓碑なんですけども、女性はドーナツ状の穴が上に削ってあります。男性は矢尻が削ってあります。女性のドーナッツ型の穴は針の穴をイメージしています。女性は針でアイヌ文様をつくりますね。冬の厳しさをしのぐ衣類も針で作ります。ですので針は女性の象徴なんです。男性は刃物で、狩りして家族の糧にします。もしくは隣の部族と刃物で戦って家族を守る。また、刃物で生活の道具を作り、アイヌ文様を彫刻しています。だから男性の象徴は刃物なんです。それが墓碑にも刻まれているわけですね。名前は全然書いていないんです。それを組み合わせたのが、この持ち手の部分になります。




ではさっそく板を切るところからスタート!


先生に教わりながら…


持ち手に穴を開けます。


ウッドカービングナイフという道具を使って削っていきます…


先生はやっぱりうまいですね。


最後に、モーラナイフアンバサダー 長野修平さんに、アイヌ民族と森の関係についてお話を伺いました。


 森っていうのはいろんなものを与えてくれるものなので、どんどん捕りに行きます。動物も彼らは獲っていました。でも、親子熊がいたら子熊は自分の古潭でしばらく飼って育てるんですね。僕は山菜料理屋の出身なのですが、山菜を採るときは、また来年、その次の年も必ず同じかそれ以上の量を採れるようにするんです。採れるだけ採るのではなく、育成を考えるんですね。アイヌ民族にとって、森は”守ろう”とかじゃなくて、自分たちが生きるために必要なものなんです。それがなければ自分たちが生きていけない。そういう意味で彼らは自然のことや森のことをカムイと呼んで崇めてきました。
 よく、先住民族の人たちが言うのは、ものを教えるとき、教わった人にはそこで授かった知恵を次の世代に義務と責任が生じるんです。このワークショップに来ている人もそうです。カービングナイフで削るのも、次は誰かに伝える義務がすべての人に生じています。それが知恵の伝達ということなんです。そして、昔からある普通のメノコイタを作るのではなくて、現代風にアレンジするのが本来の知恵のあり方なんだと思うんです。知恵をそのまま伝えるのは、博物館にしまったもの。今の暮らしで何の実用もないものを、そのまま伝えてもしょうがなくて、雑貨だったり、おしゃれな食卓を作るのにも、アイヌの知恵を活かすことができるんですね。
 今日参加されたみなさんは、僕が伝えたものさらにアレンジして次の世代、またその次の世代にも伝えてくれると思います。それがアイヌがいたことのありがたみということになってくるのかなと思うんですね。




今回のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。
また、番組内でご紹介しているKapiw & Apappoさん、気になった方はぜひこちらのサイトをチェックしてみてください。
https://kapiw.jimdo.com/kapiw-apappo/
番組でかかっていた曲が入ったCDも購入することができます。


『PAYKAR』Kapiw&Apappo


来週も引き続きモーラナイフアドベンチャー in Japanの模様をお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・プライベート サーファー / UA
・ORORO PINNE / Kapiw & Apappo

今日は、日本の森と生態系に関するちょっと変わった活動をご紹介します。スタジオにお招きするのは、「オオカミと森の研究所」という団体の朝倉裕さん。この団体は、オオカミを日本に復活させよう!と訴えている団体なんです。朝倉さんにその活動内容や、オオカミと森の関係についてお話を伺いました!


〜朝倉さんが活動する「オオカミと森の研究所」はどういった活動をされているんですか?
以前は日本オオカミ協会というところで、日本の自然にオオカミを復活させようという運動をしていました。いまはちょっとそこから離れて、一人で活動を始めたんですけれども、オオカミの再導入のためには、いろんな人の理解を得たいということで、いろんな活動をしています。

〜日本のオオカミは絶滅してしまったということは知っているんですが、そのオオカミを森に戻すということですか?
はい。絶滅というのも、日本列島からいなくなったということで、大陸にはまだたくさん残っているわけですね。だから、生息地が縮小したと考えれば、人間が手を貸して戻してあげようということですね。

〜オオカミを日本の森に戻すと、どういったいいことがあるんですか?
各地で鹿とかイノシシが増えて、いろんな被害が出ているんですけれども、元々森のなかの生き物にはそれぞれ役割があって、鹿はおそらく植物の多様性に関わりがあるんですね。いろんなものを食べて、ひとつの植物だけが増えるのを抑えて、いろんな生き物が生きられるようにしていると思うんですん。ただし、それは生息密度が適当であればなんですね。その鹿の生息密度を適当なところにおさえ、コントロールする役割はオオカミだったんです。日本の場合、捕食者のオオカミがいなくなって以降、人間が狩猟によって抑えていた部分が大きいんですが、鹿を狩猟で獲る目的としては毛皮として使う目的が大きかったんではないかと思うんですね。そうすると、その部分が高度成長期にフェイクファーに置き換わったりといったことで、鹿を獲る動機がなくなってしまったんです。それ以降、鹿が増え始めました。

〜そこにオオカミを戻すことができたら、どういうったことが起きるんですか?
アメリカで「緑の世界仮説」というものが発表されたのが1960年なんです。要約すると、世界が緑で覆われているのは、捕食者がいてくれるからだと、仮説として掲出されて、それをいまアメリカでは実験が進行中という段階なんですね。実際にオオカミがいなくなると、鹿が増え始めて、植物が無くなる減少が起きるんですね。これは世界のどこでも起きていることで、いま現に日本で起きていることです。そこにオオカミが戻ると、その逆の減少が起きるんです。鹿が減って、植物が増えて、ほかの動物たちが増えていく。

〜オオカミが鹿を捕食することで減るんですか?
食べることでも減ります。オオカミが戻ると鹿そのものも群れとして健康になると言われているんです。オオカミが捕食するときには、立派な角を持った体の大きな個体を狙うと自分も危険なので、弱い個体から捕り始めるんですね。病気であったり、ケガをしていたり、あるいは子どもだったり、歳をとっていたりていう個体にに狙いをつける。そうすると、鹿の群れそのものも健全な個体が残っていくんですね。また、オオカミは捕食するためにまず、追いかけるんですよ。オオカミは走る動物ともいわれていまして、ネコ科のトラとかヒョウとかと違って、待ち伏せをあまりしないんです。まず姿を見せて走らせるんですね。追いかけていくんですよ。そうすると、鹿は安心して一ヶ所で食べ続けられないので、それまで鹿に食べられていた植生がちょっとずつ回復します。すぐにその減少は始まる。つまり鹿が減る前に植物が回復するんですね。

〜オオカミには天敵はいないんですか?例えばクマはどうですか?
オオカミに天敵はいません。クマとオオカミの関係は面白くて、アメリカの例ですけど、オオカミは主に鹿とかバイソンを獲って食べるんです。そこに後からクマが現れて、オオカミが倒したものを横取りして行くんです。クマそのものはほぼ植物食なんです。肉食獣のくせに木の根や小動物を食べているんですけれども、オオカミがいると、一部肉食が復活するんですよね。

〜そこでオオカミとクマがぶつかることは無いんですね。
クマが勝ちます。オオカミはクマが自分の獲物を食べ始めると、周りで見ていることしかできません。それはアメリカのグリズリー、あるいはクロクマの例なんですけどね。日本でツキノワグマがどういう関係になるかはちょっとわかりませんけどね。

朝倉さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Memories / MAN WITH A MISSION
・Passage / 山崎まさよし
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パーソナリティ

高橋万里恵
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