高橋:東北・東松島の森は、どんな植物によって形作られているのか。
「三陸の沿岸部に、本来根付く植物」は一体なんなのか。
東京農大の西野文貴さんとフィールドワークしてきました。
縄文時代から人が暮らしていたという高台の「タブノキ」を見た私達が
次に向かったのは、「宮戸島」の漁港にもほど近いところにある、神社です。
この神社の周辺にも、三陸の植物を知るヒントがいっぱいありました。



(八幡神社のタブノキ)

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西野:ここは津波を受けた神社、八幡神社です。震災の時に本殿はどうやら全壊を免れたんですが鳥居などいろんなものは流されてしまったとところ。背後も含めて周りにどんな植物が実際にあるのかを見ようと思って来ました。本殿の裏にお邪魔させてもらっていますが、いつも植えている木がやっぱり目の前にありました。植樹では、構成比率と言って高い木は何%、低い木は何%にしようというのがありますが、いま目の前にある木はちょっと低い低木で縁の下の力持ちの木。実はこれも、いつも植えている植樹の中にある種類でして。

高橋:大きい葉っぱですね。楓の葉っぱの超ビッグ版みたいな。?/font>

西野: これはヤツデといいます。
楓のように「八つに分かれる」から縁起が良いということで
庭なんかにも植えられるんですが、
数えてみると・・・葉は9枚。
実は学生の時に本当に八つなのかと思っていっぱい調べたんですけど
「9」が多かったんです。7もあります。
八つを見つけると幸福が訪れるということがあるかもしれません。
といっていたら八つのがありました。



(ヤツデ)

高橋:そう考えて8つのを見つけられるとハッピーになりますね。高さは1メートルもないですね

西野:これは植樹の時に植えられている木々の1つであって、
さらにその横にまた縁の下の力持ち。
これも植樹でいつも植えているトベラ。
高さ1メートルくらいですが、
大きさからしておそらく震災より前からある雰囲気。
津波を耐え抜いた種類だと思います。「
耐え抜いた」には2つの意味があって、
植物が実際に津波の引波で流されずに
根っこがちゃんと入って耐え抜いたと言う意味、
津波の塩の影響、海水の影響からも耐え抜いた、
という2つを耐えたということです。


高橋:この場所である意味証明されているんですね

西野:いつも木を植えていただいていますが、そのタブノキは自然界ではどこにあるのかを見ていきたい思って。それで今日は話の冒頭で出た潜在自然植生みたいな話も織り交ぜつつ見ていこうかなと。

高橋:例えば浸水の潮の影響を耐え抜いた
というのはどういうことかと言うと、
当時東北沿岸で人工林や経済林として重要な杉林が
結構あったんですが、海水にちょっと浸っただけで、
3ヶ月か4ヶ月で葉っぱが茶色く変色して
最終的に枯れてしまったという報告がすごく多かったんです。
一方でこのヤツデやトベラはこういう風に
海水に近い場所でも生きていける種類。
他にもありますね、ここにはいろいろマルバシャリンバイだとか、
さっきも出たトベラ、マサキ、ヤブツバキ。
いままで植えた木々たち自生地として自然に。



(トベラ)

高橋:おそらく津波の時もここにあって耐えた子たちもいるということですよね

西野:それで一番大事なのは自分たちで
また種を落として自己修復していく。
これがものすごく大事なことなんじゃないかなと。
植物は何百年も生きるので、
彼らからすると津波自体が織り込み済みだと
思っているんじゃないか。
そういう生存戦略をとっているんじゃないかと。


高橋:海から近くてこんなに低い土地にいるということは植物の歴史から見たら津波が来ることも想定している?

西野:そうなんですね。
我々がみんなで一緒に植樹をしているというのは、
そういうことを踏まえて、
何とか持続可能なこれからの社会の人と
自然が両方うまく生きていけるような
植樹方法なんじゃないかなと改めて思いましたね。
いまは縁の下の力持ちの木を見ていただきましたけれども、
ちょっと上を見上げて高い木はどんなものがあるか見てみると・・・。


高橋:上のほうに高い木がありますよ。あれ、もしかして?

西野:タブノキ!そうなんですよ。
そう考えるといつも植樹をしているタブノキは
自生地として全然彼らとしては問題ないと言うことなんです。


高橋:もちろんあのタブノキも震災前からですよね?

西野:そうです。
そういう視点で本殿の周りを歩いてみましょう。
見ていると一番多く赤ちゃんが出ているのは
葉っぱの裏が白いシロダモ。
これもおそらく震災の後、こうやって出てきたんですけど
震災前から大きな、このシロダモが震災の時に耐
え抜いたものかもしれないですね。
実際僕も他の場所で調査をした時は
シロダモは津波にも耐えて生き残った樹種のひとつです。
いま探しているのはタブノキの実生、
次の世代が出ているのかなというのを見ています。
そう思って見ていたら頭上にやっぱり
タブノキの2メートルくらいの大きさのがある。
やっぱりちゃんと更新しているんですよね。
おそらく上の母樹から種が落ちて次の世代がスタンバイしている。
東北の海岸沿いにおいては宮脇先生が
おっしゃっていたようにタブノキが重要なものだと言うのは
間違いないかなと。植物から歴史や地域にも信頼されている、
関わりがあるというのがわかったと思うんですが、
植物学的にもちゃんと自生しているんだというのが
今回こうやって現場に足を運ぶことで
見てわかってきたかなと言うことですよね。


高橋:規模は違うと思うんですがわたしたちが植樹した場所は、こんな感じになっていくんだろうというのが想像できますよね

西野:これは良い体験になるんじゃないかなと思いますね。

高橋:低い木も高い木も見られる。自分たちが植えた木も、いつかこういう姿になるって思ったら凄くないですか。

西野:ワクワクしますよね。植える時もまたさらに


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高橋:東京農業大学の林学博士、西野文貴さんと行く、
東松島の潜在自然植生をめぐるフィールドワーク
レポートをお届けしました。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・忘れられないの/サカナクション
・Fingers Crossed/Lauren Spencer-Smith

高橋:さて、この番組「鎮守の森のプロジェクト」、「潜在自然植生」という言葉があります。かんたんに言えば「その土地に本来根付く植物」。
人の手が加わらず、ずっと自然の成り行きに任せると、その土地で生き残り育つ植物。

今回はこんな取材です。東北・東松島の森と潜在自然植生について
若き研究者と一緒にフィールドワークして、謎を解く! という企画。クエストです。
番組ではおなじみ、東京農大の研究者で、私の植樹の師匠・西野文貴さんとともに、
森を歩いてきました。


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高橋:ここは何度も訪れている場所で景勝地として有名な松島の奥にあり「奥松島」とも呼ばれていますが、入り組んだ海岸線から松島湾を一望できる山、縄文時代の貝塚なども残る自然豊かな場所となっています。今日はここを西野さんと一緒に散策するということで早速ちょっと歩いてきましたが。

西野:いま目の前に、いつも植えているタブノキが、
樹齢は何年かわからないですが
例えば九州のタブノキだとまっすぐ上に伸びて
15mから30mは伸びるんですが、東北は寒さや霜、景勝地で
海から近く風も強いのでずんぐりむっくりした東北っぽい形なんですね。
これがこっちのタブノキの顔で僕としては見所なんです。
上に行くというよりずっしり横に力を蓄える感じ。
そうすると樹齢は分かりにくくなるんですが、
これで100年以上経っていると思います。
大人が3、4人ぐらいで手をつないでようやく届くくらいの太さですね。






高橋:タブノキは植樹で小さいのを植えているじゃないですか。

西野: 50センチから70センチくらいですよね。
あれがこうなるとはちょっとびっくりですね。


高橋:上を見上げると神様がいらっしゃいますねという感じがしますよね

西野:やっぱり地域の人がこの木が大事だとしているので、
そこにお社を立てらっしゃって大事にしていますね。


高橋:タブノキが楽しみだとおっしゃっていましたが、この大きなタブノキはなぜ見に行きたいと思ったんですか

西野:いつも木を植えていただいていますが、そのタブノキは自然界ではどこにあるのかを見ていきたい思って。それで今日は話の冒頭で出た潜在自然植生みたいな話も織り交ぜつつ見ていこうかなと。

高橋:確かに潜在自然植生を毎年植樹していますが、
植樹を経ちょっと大きくなったのを見たけど目の前にいるのがまさに自然の中の潜在自然植生?


西野:そういうことなんです。
人の活動が一切なくなったと仮定したときに
そこにどんな自然が目の前で繰り広げられるのかというのが
潜在自然植生の概念みたいなものなんですけど、
それって言葉で言うと難しいんですけどいま
目の前の大きなタブノキ、100年以上経つタブノキを見ると、
やっぱりこの地域を支える故郷の木はタブノキなんだなというのが
改めてわかっていただけたかなと。




高橋:こんな立派な木が、私たちが植樹をしたところに何十年・何百年かけて大きくなっていくことがここに来ると想像できますね

西野:しかも、これは桜ですね。
これは山桜ではなくて園芸の桜で、園芸的な桜、植えられている。
ということは間違いなく地域の人たちにとって
このタブノキの周りは大事な場所で、
ここでお花見をしたり壊さないようにというシンボル的なものもあるのかなと。


高橋:園芸用ということはこのタブノキが先にあって、この周りでみんな憩いの場を作ろうとしたと言う事ですね

西野:そういうことです。
ちゃんと歩けるようにして来られるようにして社も作って、
みんなでお花見をしよう、この土地を守っていこうと。
では、タブノキってそもそも人々に利用されてきたのか。
実はタブノキは皮を剥いでそれを粉にして、
昔は蚊取り線香のつなぎ粉として使っていたんです。
ちょっと近づいて触ってみると、分厚くてうろこ状みたいになっている、
パリッと剥けます。この樹皮をはいで乾燥させて粉にして
つなぎ粉にしていたんです。やっぱり植物と人間は、
僕の恩師である宮脇先生もおっしゃっていましたが、
いろんなことに利用されますし、人間と常に共存共栄をしてきたので
今日もその辺が垣間見られるところがあると良いなと思いますね。
でもちょっとせっかくなので木の近く、周りも見てみようかと思います
。面白いのが下にあります。ちょっと小さいんですけど、
10センチちょっとくらいの小さな木々があります。
これはヤブコウジといいます。
これは僕がいろんな自然林を調査したときに
タブノキの林やスダジイなど常緑樹の林に自然に見られる小さな木なんです。
大きくなっても大体これぐらいなんですね。
10センチ20センチ。いわゆる、良い森林は4層構造と言って、
高い木、次に高い木、低い木、そして草もある。
これは植樹もしてないのにここにいるということは
僕らがいつも植えている木々も成長すれば、
こいつらがいつか入ってくるということなんです。
これはまだ植樹祭でヤブコウジを植えるかと言うと植えないですよね。
植えないけれどこういう樹種がだんだん入ってくれば
本当の自然の森に近づくと目安になっているんですね。



(ヤブコウジ)

高橋:じゃあヤブコウジはは鳥が運んできたりしてということですか

西野:そうなんです。
それで今日はスーパーラッキーでヤブコウジの実がついているんですよね。
真っ赤な実。実は赤い実ってこの時期って結構縁起が良いと言ったりしますね。ヤ
ブコウジも別名があって「十両」と言います。
「マンリョウ」がよくホームセンターでこの時期に
縁起が良いということで販売されたりしていますが、
それは実の量によって名前が決まってくるんです。
目の前にあるヤブコウジは実がひとつ。
万両までは多くないよということで十両と名前がついているんですね。



(ヤブコウジ)

高橋:低い木も入ってきているということはここは良い森

西野:だんだんなっていくはずなんですね。
でもこの場所って先ほど話に出たように桜もありますよね。
だから完全に自然林にすると言うより、
自然も残しつつ人々の営みもありつつ、
ちょうど良い折り合いの場所なんじゃないかなと。
それで実はそういうのって昔から奥山は自然林として結構守られていて、
人が生きる場所を里山と言ったりするんですけど、
その境目にどういうものがあるかというとこういう風に
社があったり神社があったり、ここから奥は自然だよ、
ここから先は里山だよという合図の場所があったりしますね。


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高橋:東京農業大学の林学博士、西野文貴さんと行く、
東松島の潜在自然植生をめぐるフィールドワーク
レポートをお届けしました。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Life/Des'ree
・Oslo/The Little Hands Of Asphalt

高橋:絶海の孤島・小笠原諸島 西之島。少しおさらいをすると・・・
海底火山によって1973年と2013年に大きく噴火し、それぞれ陸地をつくっていき
最近では2019年からまた新たな噴火が起こって、ものすごい量の溶岩と火山灰が出て
過去の島は全て埋まってしまい、全く新しい島が出来上がったというのが
西之島の生物学者にとって興味深いところになります。
ということで調査チームのメンバー、鳥類学者・川上和人さん
インタビューの続きをお聞きください。




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川上:今後の調査としては、
まずは上陸調査をちゃんとしたいと思っています。
鳥なんかは大きいのでドローンで十分調査ができるんですけど
なかなか昆虫や植物はドローンだけでは
わからない部分がたくさんある。
あとは土の中がどうなっているかもわからないし、
鳥でも地上で繁殖するものと地中に穴を掘って
その中に巣を作るものもいるんですね。
実は去年の調査でも、地中に穴を掘って巣を作る
ミズナギドリの仲間オナガミズナギドリが島に飛来している事は
確認できたんだが、巣を作っているかどうかはちゃんと
地面の下をみないとわからないので、それはわかっていない。
もしかしたら近いうちに巣を作り始めるかもしれないので
それも含めて今どうなっているのかを本当に調査したい。
というのは、これから長い変化をしていくと言いましたが、
変化していくその姿を見ていくためには変化する前の
最初の状態を記録しておかなければいけないわけですよね。
そうじゃないと本当にいつ何が起こったかがわからなくなっちゃうので、
まずはスタート地点を記録したいんですね。




高橋:それには上陸ですね!

川上:それを2019年に環境省の調査で、
まさに最初の状態がどうかというの記録しなきゃいけない
というので上陸調査をやったんですね。
その調査の3ヶ月後に噴火をしてしまって、また全部なくなってしまった。
だからもう一度ゼロの状態を確認しに行きたいんですね。


高橋:いつ頃上陸できるようになりますか?

川上:全くわからないですね。
去年の調査を行ったのが7月と9月だったんですけど、
その頃は噴火がちょっと落ち着いていたのでこのままいけば
もしかしたら今年上陸できるんじゃないかなんていう
淡い期待も抱いていたんですけど、
その後10月と11月に結構な噴煙をまた出し始めているので、
これはちょっと無理かなと思っているんですね。
これは本当に予想できないですね。


高橋:そうなると、私たちもいつか島を見てみたいと思いますが、私たちが上陸できるのはまだまだ先ですね。

川上:2013年噴火が起こった後で
小笠原海運というおがさわら丸を出している会社が、
西之島を見に行くツアーを組んでくれて父島から
西之島の周りをぐるりと回ってそれで帰ってくるツアーがあったんです。
またそういうことをしてもらえれば、
まずどんな状況なのかを見られると思うんですね。
それは期待しちゃいますね。


高橋:おがさわら丸で1周っていいですね。

川上:見るだけでインパクトがあるので。

高橋:運がよければ鳥も見えたりしますか?

川上:前にそういうツアーをやったときには
船の上から陸上で繁殖している姿が見えましたし、
船が来るとなんだなんだと鳥も近くにやってきたりするので、
その時は海鳥だけじゃなくてツバメが飛んできたこともあって、
こんなところにツバメがやってきているんだと
びっくりしたこともありますね。


高橋:本当に未開拓の土地、西之島に上陸する時ってすごく気を使うというか、注意しなきゃいけないことがたくさんあるんですよね

川上:我々が見ているのは何かというと、
新しい生態系が何もないところにどうやってできていくかを
見ているわけなんですよね。
言って見ればそれがガラパゴスでありハワイであり小笠原であり、
いろんな島の生物相の始まりの部分です。
そこを見ていくためにはやっぱり人間の影響がない状態で
何が起こっているのかを知りたいわけですよね。
そうすると外来生物を持ち込まないように
荷物をなるべく新品の道具を持っていったり、
海につかって体を洗ってから上陸したり。
あとは外来生物だけではなく例えば海鳥が繁殖をしていることによって、
その生物相ができていくんだと考えているので、
我々の調査のせいで鳥が繁殖を止めてしまったりとか、
そういったことがあると島の歴史に影響与えてしまうことになると
思うんですね。西之島の価値というのが一体何かと言うと、
やはり人間が一切関係しないような自然の原生の状態の生態系で
一体どうやって島に生物が定着して、成立していくのか、
生物相が成立していくのか、これを知ることが
西之島の最大の価値なんですね。
そこにいかに影響与えないかというのがやっぱり研究をしていく上で
大きなテーマになっていますね。


高橋:何も持っていかないという事ですね。

川上:植物の種ひとつ紛れ込まないように、
ものすごいチェックをしていくんですけれども。


高橋:お話を伺うと、すごいものが首都東京の中にあるんだなと感じましたが、川上さんは西之島の存在というのが私たちにどんなことを伝えてくれていると思いますか?

川上:例えば僕らも研究をしていると、
私は小笠原の鳥の研究をしているんですが、
人間の影響で絶滅しかかっている鳥がいたり、
どうしても保全を考えなきゃいけなくなっちゃうんです。
そういうのって大切なことだけれどもなかなか大変なことなんですよね。
ところが西之島は、保全とは離れた、完全な独立した感動というか、
自然の凄さを余計なことを考えずに目の当たりにできる場所なんですね。
見るだけで感動できるものって世の中にはあると思うんですが、
その1つになっているんじゃないかなと思います。何の説明もいらない、
そういうインパクトがあるんですよ。
そういう意味では、外来生物を持ち込まないために
なかなか多くの人に上陸してもらうというの難しいと思うんですけど、
船でツアーのようなものがあれば多くの人にあの状態を見ていただくことで、
いかにあそこが素晴らしいところなのか、
面白いところなのかとを多くの人に見てもらいたいと思いますね。



高橋:西之島の10000年後をタイムマシンがあったら見てみたいとおっしゃってましたが、それは現実問題できない。研究者としてはそのもどかしさは感じられるんですか?

川上:それを知りたいという大きな希望あるんですけれども、
幸いなのが世界には島がたくさんあるんですね。
例えば小笠原の中にもいろんな島があって、
西之島は出来立てだけれども、父島は4千万年経っている。
火山列島の南硫黄島は数万年。
いろんな年月が経った島が世界中にたくさんあるんですね。
それを見ることによって、ここは数千年の島なんだ、
という事は数千年経つとこうなるんだとかですね、
ここの島は隣の島と近いから変化のスピードが早いんだとか、
この孤立島で500万年経っていると
こういう感じなんだということがわかるんですね。
そうすると我々はすでにタイムマシンを持っているようなもので、
同じ時間の中でいろんな年代の島を見ることができるんですね。
そう思うとたくさん僕も勉強をして、
いろんなところにいて生態系を見ることによって、
その1万年なり1千万年なりを自分の中で作り上げていくことが
できるんじゃないかと思っています。


高橋:教材がたくさんあるんですね、世界には。

川上:そしてその中で今まで、できたての、
孤立した島の0年というのが今までなかったわけですね。
数万年も数百万年も数千万年もあったけど、
0年の島は我々は持っていなかった。
ところがそれをようやくわれわれは手に入れることができた。
この最初の数年、数十年をきちんとモニタリングして
どういう変化が起こっていくのかを記録に残せば、
おそらく何百年何千年後の研究者たちがそれを参考に、
こうやって変化したんだということが
理解できるようになってくると思います。


高橋:そう考えると0年の島を研究できる年代に生まれた川上さんはめちゃめちゃラッキーですね。

川上:ものすごく研究者としてはラッキーですね。
向こうから飛び込んできてくれたので。
何か起こったらもう一度ゼロからを見ていくチャンスができますし、
発表していきますので期待して欲しいなと思います。


高橋:過去ぜひまた新しいことがわかったら教えていただければと思います。ありがとうございました。

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高橋:川上さん、鳥に関する面白い本の日本語版を監修されたばかり。
タイトルは『鳥になるのはどんな感じ?見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』(羊土社)
ぜひ、お手に取ってみてください!



【今週の番組内でのオンエア曲】
・Scars / Nenashi
・その線は水平線 / くるり

高橋:海底火山の噴火で、もともとの自然が全てリセットされた小笠原諸島・西之島。火山灰に包まれたこの島に最初に定着する生き物は、
どうやら「鳥」かもしれない! 先週はそんなお話でしたが、
じゃあ、鳥をきっかけに生態系ができるのはいつなのか。
もっと言えば森ができるのは何年後なのか。何百年後なのか。何千年後なのか。
今日はそんなお話を、西之島の調査チームのメンバー
鳥類学者・川上和人さんに聞いていきます。




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高橋:生き物がリセットされた絶海の孤島。具体的にどうなっていくと考えていますか?

川上:2013年から15年の大規模噴火で昔の島が埋まり、
小さい島が残された。緑もあり昆虫もいたが
2020年までの噴火で全て埋まり陸上生物のいない島が出来上がった。
そこに海鳥が生き残っているので海鳥のおかげで
急速な変化をするのではないか。
海鳥がいるとたぶん、たくさん死んじゃうがそうすると
有機物が分解されて死体を食べる昆虫が偶然海の向こうから
飛んできたりすることがある。それが定着しやすいかな。
また我々の研究で海鳥は体に植物の種子を
たくさんくっつけて飛んでいくので、
タネをくっつけて他の島からやってくるんじゃないか。
そのタネが落ちて、海鳥のフンを養分に成長する。
そうすると海鳥がいるところに植物がどんどん増え、
それを食べる昆虫が定着して、海鳥の繁殖地を中心に
緑が広がっていくんじゃないかと思っている。


高橋:130キロ離れていて昆虫は鳥にくっついてくる?

川上:それは珍しいが、例えば台風や風が強かったりすると
羽のある昆虫は飛ばされてやってくることがある。
流木の中にカミキリムシなど木材を食べる昆虫がいるので
それがたどり着く。そこに何もなければ死んじゃうが、
海鳥が作った生態系があれば定着できるかもしれない。
たとえばトカゲも漂流物に乗って分布を広げると考えられている。
植物が生えれば、それを食べる渡鳥がやってくる。渡鳥のフンには他の植物の種子があるかもしれないし、鳥が作る生態系ができるんじゃないかと思っている、
ただ一方で、2019年の噴火が起きるまでは植物も残っていて、
そこから生物が広がるだろうと話していたが、
たった1年の噴火で覆された。そう考えると、
まだ噴火が落ち着いていないので、
本当に何が起こるか全くわからない。
もう一度大噴火が起きてまた環境が変わって、
さすがの海鳥も見捨てていなくなるかもしれない。


高橋:なんとか海鳥からのスタートを見たい?

川上:僕の研究の一つのテーマは鳥が何の役割を果たしているか、
自然の役割は何かを研究している。
島に生物が定着するときの島を作る創造主のような役割を
果たしているんじゃないかと思っているが、
それが証明できるなら西之島じゃないかと思っている。
フンも運んでくるという意味でも全部海鳥のおかげ。


高橋:じゃあ噴火など予期せぬことが起きず、
海鳥のまわりに植物が増えて生き物が集まるということなら、
どのくらいの年月で森ができるか?


川上:実は1973年に噴火して
2013年の噴火まで40年あったが、
その40年で増えた植物は3種類。
そのまえ1973年までの植物の種類は3種類。
3種類が6種類になっただけ。
10年に1種類入るかどうかくらいのスピードだった。
もしそのくらいのスピードだとすると森になるには
ものすごい時間がかかる。
そう考えると島全体が森に覆われるのは1万年かかるかもしれない。


高橋:そう聞くと、島に独自の生態系ができたのはすごく尊いこと。

川上:とんでもないこと。
父島や母島は海底火山の噴火でできたが、
それは4000万年以上前。4000万年かけてできた生態系。
それだけ時間をかければいろんな生物が進化するが、
西島でそういう進化が起きるにはまだ時間がかかる。
島の生物は特殊な進化をすることが注目されやすい。
ここにしかいない生物がいるとかが注目されるが、
まずはそうではなくどこにでもいるような、
広い範囲を使う生物がまず到達すると思う。
そして定着して生き残ることができるのが第一段階。
そして長い時間をかけて、
もとの集団から隔離されることで進化が起こる。
まずは普通の種類が入ってきていかに進化するかが、
何千年何万年かければ見られるかもしれない。


川上:いままで小笠原でいろんな調査をして、
父島は4000万年。
南硫黄島はできて数万年といわれている。
そう考えると1万年経ったらどうなるかが興味がある。
まずは1万年先にいってみた。



川上まだ森もでき始めていない、
植物が入ってきて森林もできつつあって、
全体がもしかしたら緑に覆われていて、
森林もあるかもと期待はしているが
本当に何があるかわからないのが面白いところ。


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高橋:川上さん、鳥に関する面白い本の日本語版を監修されたばかり。
タイトルは『鳥になるのはどんな感じ?見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』(羊土社)
ぜひ、お手に取ってみてください!



【今週の番組内でのオンエア曲】
・One Right Now /Post Malone, The Weeknd
・ワタリドリ/アレキサンドロス

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