森林ジャーナリスト・田中淳夫さんの新刊本「虚構の森」。
この本では私たちが当たり前だと思っていることが、実は真実とは限らないということを、
森や自然に関するデータや研究結果とともに紹介しています。
本当にいろいろ「え?そうなの?」ということがたくさん挙げられているんですが、
なかでもびっくりしたのがコレ。「ダンゴムシは・・・外来種である」。
ほんとに?と思った方、このあと詳しく田中さんに教えていただきます。


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高橋:ダンゴムシも外来種とかあるんですか?

田中:ほとんど本来の名前は
オカダンゴムシという外来種です。
明治時代にヨーロッパから入ってきたんですね。
それまで日本にはいなかった種類です。
日本にはもともと在来のダンゴムシはいるんですが
山奥にしかいなかった。広く世間にはいなかったんですね。
ところがオカダンゴムシは街に住みたがる、
適応できるので身の回りのダンゴムシをみんなオカダンゴムシですね


高橋:ヨーロッパからなぜやってきたんですか?

田中:貨物に入っていたという話ですね。
気がついたら増えていたから何から入ってきたか
わからないんですけどね。
はっきりは言えないけどどうもコンクリートが好きという話がありましたね。


高橋:そういうところにいるイメージがありますよね

田中:コンクリートは石灰岩から作るのでカルシウムが多いです。
そのカルシウムを好むんじゃないかという声もありますけどね。



高橋:ダンゴムシって土壌をつくりますか?

田中:というか、腐葉土を食べたりするんですね。
それでフンをするわけですからそれによって
土壌を作るということは言えますね。


高橋:ということはダンゴムシは外来種ですが悪くない?

田中:もちろん農作物も食べるから
そういう意味では害虫かもしれないんだけども
同時に土壌を豊かにする面もあるわけですよね。
外来種はすべて敵というわけではなくて
役に立つものもあるということですね。
ダンゴムシだけじゃなくていろんな虫がいることによって
土壌が作られるわけですから、
オカダンゴムシはよそ者だからと取り除く必要は無いわけですね。


高橋:ここまでお話を聞いていると外来種とひとくくりにしがちですが、外来種と日本の在来種の線引きは難しいですか?

田中:歴史的に見て人間が持ち込んだものが
外来種というおおざっぱな定義はあるが、
じゃあ遣唐使が持ち込んだのはどうなのか、
というのがありますよね。
日本人が今食べている野菜類は全て外から持ってきています。
白菜もキャベツもほとんどそうですよね。
日本古来の野菜なんてほとんどないですよね。
これは農作物として適応しているわけだし、
外来種が入ってきても在来種と喧嘩せずに共存しているのだったら
それはだんだんいつかは馴染んでくるんではないかという気がしますね。
逆にアメリカザリガニはわからないが、
ブラックバスとかが入ると在来の魚を全部食べてしまって
ブラックバス一色になってしまうということになる。
これは生物多様性もなくなりますし、
それまでのものが絶滅してしまうのだから問題ですよね。
いかに共存するかということを考えて、
外から入ってきたものが全て悪いと言ってしまうと
食べるものがなくなってしまうと言うことになりますよね。


高橋:外来種といっても持ってきたのは我々ですから。いかに共存するか?

田中:うまく日本の自然にゆっくり馴染んでくれたら
いいのですが急激に増えてしまうと
どうしても在来種を追い払ってしまう部分がありますのでね。


高橋:一方すごく気になるのが、人間社会だけじゃなくて植物にもパンデミックが起きている?

田中:最近わかったのは漆の木。
国産漆が足りないので植林しているんですが
植えても植えても枯れてしまう現象があって
何故かと調べたらある種の病原菌が見つかったんですね。
ファイトフトラ・シナモミ。
これが原因で、これを退治すれば良いと思っていたら、
同じ病原菌が世界中に広がっていることがわかったんですね。
欧米でもナラを枯らしたりあちこちでそういう現象が起きている。
なぜこんなに広がったのかと考えたら、
もともと熱帯の土にいる菌なんですが、
それがなぜかヨーロッパにも日本にも広がっているのは
おかしいと思って調べると、
土の移動が結構激しかったことがわかったんですね。
土なんか輸入しないと思っていたら実は結構しているんです。
わかりやすく言えば、
園芸店とかホームセンターで腐葉土が売っていますよね。
あれよく読んでもらうと原材料が東南アジアになっています。
インドネシアとかネパールとか。
海外の土を持ってきているんですね。
有機肥料なんかもそうですね。
有機肥料は海外のものが多いんです。
その中にもし菌が混ざっていて日本に持ち込んだら
日本に広がっていると言うことになりますよね。
あんまり植物の病気だからピンとこないんですけど
でも知らないうちに結構そういう
病原菌が広がっている可能性はありますね。
それをパンデミックというかもしれない


高橋:漆に限ってなんですか?

田中:ヨーロッパでは楢の木を枯らすとか、
あちこちのものが枯れています。


高橋:最近のことなんですか?

田中:そもそも調査がそんなにしていなかったので
最近わかってきたという。
その菌が病原菌となってというのが
結構世界中にあることがわかってきたんですね。


高橋:もしかすると世界中に広がっていて?

田中:この後どんどん枯れていくのかあるいは
植物のほうも耐性、免疫を持つのかわからないですね。
まさか世界中の植物にワクチンを打つわけにはいかないですから
植物の方が生き残れるかどうか淘汰される時代かもしれないですね。


高橋:本来私たちの手が届かなくて良いところに手を入れてしまうと人間だけでなくいろんなことが起きちゃうんですね?

田中:しかも人間はどんどん移動しますからね、
人間がその場所でその病気になるだけならいいが、
母国に帰って広めてしまうということが
今起きているわけですよね。
同じことが植物でも広がっているかもしれないですよね。


高橋:しかも発見されたのが最近で、もしかしたらどんどん枯れてしまうかもというのはすごく恐ろしいですね

田中:今のところそんなにたくさんの種類ではなく
いくつかの種類が枯れているんですが、
農作物にもし広がったらどうなるんだろうというのがありますよね。。


高橋:環境問題は複雑に絡み合った自然の中で起きることだというのがよくわかったんですが、そういうことを考えるときに大事なのが「虚構の森」ですね!

田中:何も全部嘘と言うのではなくて異論もあるよと。
世界のいろんな研究を見ていると、
全く違う見方も研究結果として出ていると言うことを紹介しています。
これを読んで今の常識と異論頭を突き合わせて
どっちが本当はいいんだろうと言うことを
考えてほしいと思って描きました。




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高橋: 4週に渡って、森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。



田中さんが発表した新刊『虚構の森』。この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。

(※当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。)

【今週の番組内でのオンエア曲】
・SAKURAドロップス/宇多田ヒカル
・We Are Here/アリシア・キーズ

森が土砂災害を防いでいるとは限らない、
森が炭素を固定してくれるとも限らない。
先週は私たちが知っている森の常識を“疑う”お話でしたが、
今週は、私たちのまわりに当たり前に生えている「あの植物たち」について
森林ジャーナリスト・田中淳夫さんに教えていただきます。
例えば春に咲くタンポポの世界では、いま「逆襲」が起きているらしいのです。




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高橋:アメリカザリガニが生態系に影響及ぼす外来種として規制されることになりましたが、外来種という存在の問題はもっと複雑だと本で書かれてらっしゃる。例えば園芸用の野生化による外来種の繁殖?

田中:園芸種は花が美しく咲くように品種改良した、
といった植物ですよね。それがどんどん野生化しているんですね。
わかりやすいので言えばミント。
実は繁殖力がとても強く、庭で増えたミントの葉っぱを積んで
ミント茶を作っているのはいいんですけど、
その種子がどんどん飛んで野生化しているんですね。
ミントは海外から来た種類ですからね。
おそらく在来種を圧迫しているのは間違いないですね。
本来日本古来の草花があったのにミントとか園芸種や
外来の草花が増えてくると
在来種は追い込まれていくんじゃないかなと思いますね。


高橋:どう楽しむのが正解なんですか?

田中:単純にきれいならどちらでも良いと思いがちですが、
それによって絶滅していく種があるとしたら
ちょっと問題があることになりますよね。


田中:菜の花は1種類ではなく、
大根の花とかキャベツでもブロッコリーでも
何でもアブラナ科の植物は全部菜の花なんですね。
河川敷なんかよく咲いていますが、昔はまさにそういった
日本古来のアブラナ、カラシナの菜の花だったんですけど、
ある時からセイヨウカラシナやセイヨウアブラナに変わっていたんですね。
カラシナやアブラナは種子を絞って油を取るための植物だったんですね。
ところが日本のアブラナのよりも西洋のアブラナの方が取れる油の量が多い。
そこでそっちに栽培を変えてきたんですね。
最近は栽培もせずに種そのものを輸入している。
主にカナダやアメリカから輸入してるんですが、
セイヨウアブラナやセイヨウカラシナの種子を利用して
それを日本で絞ってなたね油にしているわけですね。
でもそういう種はどこかでこぼれ落ちるんですよね。
それがどんどん広がっている。
気がついたら日本のアブラナ者はなく
セイヨウアブラナに変わっちゃっているということが起きています。
ここからは確実には言えないんですけれども、
セイヨウアブラナはアメリカとカナダで生産しているわけですよね。
そのほとんどが遺伝子組み換えなんですよ。
向こうはそれを合法的にできるんです。
農薬につよい種類を作ろうとかやっているわけですが、
その種子を日本が輸入して、あくまで油を絞るだけだから
栽培はしないと言ってもこぼれ落ちていますよね。
それが気がついたら河川敷を埋めていたりするわけですね。



高橋:それが日本の原産がどんどん追いやられてアメリカやカナダになってしまったときに何が起きるのですか?

田中:わからないですよね。
ほとんど絶滅危惧種になっちゃうかもしれないですね。
もう一つは、交雑するんですよね。
セイヨウアブラナと日本のアブラナの遺伝子が
まざっちゃって別の種類になっちゃうという問題も出てきていますよね。


高橋:見た目的にも違うんですか?

田中:専門家が見たらちょっと花の形が違うとか
ガクのカタチが違うんですがほとんどわからないですね。
私も分かりません。


高橋:私たちが近所で見ている菜の花は日本人なのか、海外から来たのかわからないですね?

田中:はっきり悪いと断言できるほどじゃないんだけれども
何か不気味と言うことですよね。
気がついたら入れ替わっていたと言う感じですよね。


高橋:あとはセイタカアワダチソウ。雑草と思われているものですが、減っているんですか?

田中:全国的にはかなり減っていると思います。
もともと外来種なんですけど、荒地によく入るんですね。
他の草がないところに入るんです。
都会だと昔は特に再開発で地面をほじくり返していたりして、
荒れて栄養がないところに入ってきて入るんです。
でもそういう開発が減っているんですよね。
ニュータウンを作るので山を崩すということをしなくなってきてますよね。
そうすると荒地じゃなくなってきているので
セイタカアワダチソウは住み心地が悪くなってきて
栄養豊富になってくるとほかのススキなどの方が強いと言うことですよね。


高橋:人の営みによって減ってくる外来種もあるんですね?

田中:だから、東京などはむしろ開発が多かったから
セイタカアワダチソウが増えたかもしれないけれども
地方だとだんだん開発がなくなってきて減ってくると言うことになりますね。


高橋:セイタカアワダチソウがなくなるのはちょっと寂しいですね。

田中:花が綺麗だと思う方もいらっしゃいますしね。
ちょっと原色ですけど。


高橋:西洋タンポポに対する在来たんぽぽの逆襲?

田中:日本のたんぽぽにはカンサイタンポポや
東海たんぽぽ、関東たんぽぽと地域ごとにあるんですが
それをまとめる日本タンポポとか在来たんぽぽと呼んでいます。
一時期西洋タンポポが圧倒的に繁殖力が違うので、
あっという間に在来を隅に追いやって
西洋タンポポの勝ちという感じだったんですが、
最近また変わってきたんです。気がついたらかなり
西洋タンポポが減っているんですね。
完全に全て在来に戻ったわけじゃないんですが半分半分ぐらいになっています。
一時期は8割から9割が西洋タンポポと言う感じで私は見ていたんですが、
最近は半分ぐらいはだいぶ在来に戻ってきた感じがしますね。


高橋:何があったんですか?

田中:西洋タンポポは遺伝子の幅が狭いといいますか
交配をせずに増える種類なので、
そうすると同じ遺伝子ばかり持っているわけですよね。
例えば夏がものすごく暑い、寒いというのがあると
一斉に適用できずに枯れてしまうと言うことが起こるんです。
ところが日本タンポポはいろいろ遺伝子の幅があるので生き残れると。
それがまた増えていく。いろいろな要因はあるんですが
意外と在来たんぽぽも強かったという事ですね。


高橋:繁殖力は西洋の方がつよい?

田中:種子を作っている量がものすごく多いとか、
年がら年中実らせているとかと言う部分があって強かったんですが、
種子をどんどん飛ばしても
そこの環境が良くなければ枯れてしまいますし、
交配せずに実らせるものですから同じ遺伝子だと
環境変化にものすごく弱いんですよね。


高橋:サクセスストーリーのドラマみたいですね。底力を持っていたと日本のタンポポみたいな。

田中:まだ完全に元に戻るわけではなく
ある意味共存しているような状態ですね。


高橋:見分け方は分からないですか?

田中:花が咲いていて裏側を見れば結構わかりますよ。
イガイガっぽいのが西洋タンポポで日本のタンポポは優しい感じです。


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高橋: 今週も、森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。



『虚構の森』。新泉社から出ているこの本は、
環境問題をめぐる常識、誰もがそうだと思っている情報が
実は必ずしも正しいとは限らない・・・そんな事例が数多く書かれています。
そして今回、この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。




【今週の番組内でのオンエア曲】
恋風邪にのせて/Vaundy
Re:やさしい気持ち | HALCALI
先週に引き続き、『虚構の森』という本を出されたばかり、
森林ジャーナリスト・田中淳夫さんのインタビューです。
虚構の森。このタイトルのとおり、私たちが森や自然に関して、
当たり前だと思っていることについて、この本は「本当にそうなのか」と
疑問を投げかけています。例えば、森はCO2を固定するという“常識”。
実はこれも、必ずしもそうではないコトもあるらしい・・・今日はそんなお話です。




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高橋:田中さんは本を出されたばかりで、
その本が「虚構の森」。この本では、わたしたちたちが信じて疑わない環境問題の
「常識」について、果たして本当にそうか、という目線を向けている。
例えば。最近は気候変動問題を巡って、「森」の存在が重要視されていますがここにも、
我々が誤解していることがある。例えば森がCO2を固定しているとは限らないのでしょうか?


田中:一般に言えば植物は光合成で
二酸化炭素を吸収して成長すると思われていますね。
1本の木だったらそういってもよろしいんですが
森は樹木だけでは無いですよね。
昆虫や野生動物もいますが意外と気がついていないのが
菌類なんですね。キノコやカビ。
小さくてあまり気がつきませんがものすごい量の菌糸が
森の中に広がっているんですね。
そういった菌類は例えば落ち葉や倒木を腐らせるわけです。
どんどん分解していく。
その過程ではCO2を発生させているんですね。
ですから森全体で見ると実は光合成で吸収している部分と
同時に菌類が呼吸をするとことで放出している面もあるわけですね。
全体としては± 0と言うことになります。
吸収している分と発生している分はほぼ一緒なので
ほぼゼロですが森としては生産と消費を一緒にやっている形ですよね。
ただ最近温暖化していますよね。
土の中にある腐葉土がどんどん分解速度が速くなっているんです。
そうしたらもしかしたら発生する量が多くなっているかもしれなくて
むしろ二酸化炭素を出しているかもしれないですよね。


高橋:でも森がCO2を固定しているとは限らないという事は、固定している段階もありますか?

田中:基本的には森が成長している、
面積が増える、そこに生えている木が太くなって森の持っている
バイオマス量が増えている場合は
当然二酸化炭素をどんどん体に吸収して、
その分が体になっているわけですから吸収していることになります。
だから森の面積が増えて初めて
二酸化炭素を吸収していると言えるので、
面積が全然変わらない状況だと± 0なんですね。。


高橋:あと、森が土砂災害が防いでいるとも限らない>

田中:森といっても放って置くとうっそうとしますよね。
中に光が入らず暗くなる。
地面に草が生えていないケースが結構ありますよね。
そういうところに雨が降ったらどうなるか。
森があれば雨が地面に直撃しないので土砂流出を起こさない
というイメージがありましたが、
ところが樹木の葉っぱに落ちた雨粒は枝葉にたまるわけですね。
零点何ミリの小さな雨粒が枝や葉っぱにたまってボトッと落ちる。
そうすると数ミリの大きな水滴が地面に落ちて
地面をえぐるわけですよね。
逆に土砂を流してしまうこともあり得ます。
だけど、もしそこに草が下草が生えていたら
土砂はあまり影響受けないですよね。
実は草が生えていることが重要なんですよ。
草が生えている森はそういう意味で防災にもなるかもしれないけれども
あまりにもうっそうとしていて草が生えていない状態だと
災害を起こす可能性があるかもしれないですね。


高橋:うっそうとして人の手が入っていないところでびっくりするくらい「昼間でも暗いし、下草なんて生えていないじゃないですか?

田中:むしろそういう森の方が歩きやすいんです。
草が生えていないから。


高橋:自分がアリになるとわかりますけど、上から大きい雨粒が落ちてくるのか、傘のように下草があって分散されて落ちてきますか?

田中:アリとしても0.1ミリの雨粒なら
良いかなと我慢できるけど、1ミリの雨粒が落ちてきたら
潰れるかもしれない。そういう感じですよね。


高橋:田中さんから全国の森を見ると、暗くて下草が生えていない森が多いイメージですか?

田中:多いですね。
杉林が暗いというのもありますが、
スギやヒノキは人工林で人が手を入れることもあるんですよね。
でも実は雑木林、里山の方が全然手を入れていないです。
そこの方が結構暗くて草が全然生えていない山もいっぱいあります。


高橋:家でも見た目はこんもりしている感じ?

田中:外から見るとこんもりして良いんですけどね、
中に入ったら寒々とした感じでむしろ暗くて不気味な森ですよね。
だから手を入れるかどうかは別として森さえあれば
防災になると言うものでもないという事ですね。


高橋:世界的に見て森はどんどん減っているとも限らない?

田中:世界中で森がなくなっているように見えるんですけど、
ネイチャーが35年間の間に森の面積がどう変わったかを
衛星画像で調べたんですね。
人工衛星が地球を撮って写っているどこが森なのか調べていくと、
7%増えていたんですね。
面積にしたら2,400,000平方キロメートルなので
日本列島が6個から7個入るくらい増えていたんですよ


高橋:全くその印象がなくて同じくらい減っているかと?

田中:減っているのは熱帯地方。
アマゾンだとか東南アジア、ボルネオ、アフリカ。
実は温帯では増えているんですね。日本も含めて。
実は一番増えているのは中国なんですね。
中国は国策としてものすごい大造林をやっているんですね。
毎年日本列島の何分の1ずつ増えている感じで木を植えているので
スケールが全然違うんです。1,000,000ヘクタールくらい
毎年増えているので地球全体としては植林したところが多く
全体としては増えていることになりますね。


田中:あくまで林業ですから広葉樹であっても
育ったら木材として使う。
じゅんじゅんに使うようにしていこうと言う事ですね。


高橋:本当に日本の森って高速道路を走ってると杉林が多いじゃないですか。それがもしその考えが浸透すると、こんもりした、いろんな樹木が生えた森になる可能性もありますね

田中:中国はなぜ増えているのか、
国策でこれまであまりにも砂漠が広まってしまって、
農地もなくなって黄砂も起こる。
そこで森を増やせという運動になっているんですね。
戦後すぐに森林率が7%くらいだったのが
20%超えていますからものすごい勢いで増やしているのは
間違いないですね。
他にもインドもどんどん増えていますし中南米でも
シリアアルゼンチンは植えているところが多いですし、
結構植林が進んでいるんですね。
そう考えていくと単純に面積で見れば地球上の森は
増えているんですね。


高橋:それはすごい良いニュース!

田中:悪いことではないです。
ただしいま言ったように人が植えた森ですよね。
しかも1種類が2種類だけを植えるんです。
日本だったら杉やヒノキ、中国はポプラやユーカリ、アカシア。
少ない種類ばかりを植えてもあまり森林生態系としては
褒められたものじゃないぞと言うことになりますよね。
結局、適地適木なのでその土地に合った木を植えないと
枯れたりちゃんと育たなかったりしますよね。
砂漠に木を植えるのはおかしいと思いませんか。
だって砂漠って水がないから砂漠なんでしょう。
そこに木を植えて植物は一体どうやって水を手に入れるのか
という感じですよね。植えたときに一生懸命地下水を組み上げて
水をあげているんですが、それでようやく育っている感じなので
砂漠に木を植えても育たないです。
本当のこというと砂漠に木を植えるのは無駄なので、
かつて木が生えていた地域で、
切ってしまってなくなったところに植えるのが正しいんですね。


田中:世界的な潮流として木を植える流れにはなっているんです。
そうですね。変な言い方ですが国が安定すると植えるんです。
貧しい国は残念ながら植えられないんですね。
それは後回しになって、
むしろ森を開発して農地に変えたほうが儲かるとか
そっちに行きますので。
本当はもうちょっと豊かになったら
木を植えだすんじゃないかと思いますけどね。


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高橋: 森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。
来週も引き続き田中敦夫さんのインタビューお届けしました。
田中さんは本を出したばかりです。


『虚構の森』。新泉社から出ているこの本は、
環境問題をめぐる常識、誰もがそうだと思っている情報が
実は必ずしも正しいとは限らない・・・そんな事例が数多く書かれています。
そして今回、この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。




【今週の番組内でのオンエア曲】
・Coffee Excess feat. Orono (Superorganism) & Lennon/mabanua
・Want You Back/Haim

最近、よく耳にする「SDGs」
この番組で触れる機会も多いですが、それらの情報が全て本当なのかというと、
実は疑ってかからないといけないこともあるようです。
今週のゲストは森林ジャーナリストの田中淳夫さん、3度目のご出演となります。
林業や環境問題をめぐる「不都合な真実」を
ジャーナリストの視点で解説していただきます。




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高橋:まずは環境問題をめぐって最近注目になっている言葉
「グリーンライ」「グリーンウォッシング」という言葉ですが?


田中:この場合のグリーンは環境ですよね。
環境に関するうそ、環境に良いと思わせる洗脳ですね。
どちらかと言うと本当は全然環境に良くないことを
環境に良いと嘘をつくと言う意味ですね。


高橋:例えばわかりやすいものだと?

田中:最近植物性油脂のヤシの実洗剤が
環境に良いと言っていますが、それを取るために
原生林を切り開いて植えているわけだから、
むしろ自然破壊だと言う面もあるわけですね。
特に、アブラヤシと言う樹木は何十万ヘクタールと言う面積の
熱帯雨林を切り開いて植えているんですね。
プランテーションを作ってやっているので
相当な面積の熱帯雨林が破壊されていることになるから、
環境破壊なのに、植物性だから環境に優しいと
思わせてしまうと言う所ですね。


高橋: 今東京都民の間で注目されているのが、
神宮外苑の再開発に伴う1000本の樹木が伐採される計画。
署名活動や反対の声も上がっているが、見解は?



田中:神宮外苑の計画が正しいのか
おかしいのか判断しかねるが、
この手の時に言われるのが大木は老木だから
二酸化炭素を吸収しないので切って若い苗を植えたら
成長するので二酸化炭素を吸収してくれるから、
大木を切って若い木に植え替えるのは環境に良いことだと、
街路樹だけじゃなく林業でもそうですし、
大木を切るときの言い訳みたいに使われている。
でも普通に考えたらわかるが大木はあの大きさ。
それが吸収している炭素の量と小さな若い木で植え替えたばかりのものでは
比べ物にならない。ただひとこと言っておくと
大木は基本的に老木でだんだん寿命がつきつつあるわけですね。
樹齢500年だったらそろそろ枯れてもおかしくない歳。
だんだん弱ってきて病気になることもあるし、
台風で枝が折れたりすることもある中で、
何が何でも残そうと言うのも不自然ではないかと思う。
自然の中で枯れていく木は普通に枯れていくのに、
一生懸命生かそうといろいろ努力される方がいるが、
そこまでするものから、自然に寿命が尽きたものは
そのまま見ていくのが1つの考え方じゃないかと思っています。


高橋:リテラシがついて老木はしょうがないと
意識が芽生えると良いかもしれない?


田中:丁寧な説明が必要です。
この太い木を切らなかったらいつか倒れて
大損害が出るかもしれないと説明をしっかりした上で
納得の上で切るべきで、議会で計画が決まったから
地元の意見も聞かずに切ってしまうとなると騒動が起こると思う。


高橋:一方で、街路樹は想像以上に生き物のオアシスになっていると言う調査結果も?

田中:街路樹は木が点々と生えているだけで
あまり自然としては大した事ないと思いがちだが、
実際そういう研究をされた大学教授もいらっしゃって、
意外と木を伝って野鳥が渡っていたり、昆虫もいるし、
動物や生物が結構多様だということがわかってきている。
木の列があることによって夏だったら気温が下がる。
ヒートアイランド現象を緩和する役割も果たしていたり
そういう研究はあちこちに出てきていて、
捨てたものじゃないと言う感じがしますね


高橋:街路樹だけを見ると森には見えないしスカスカに見えるが、動物にとっては?

田中:回廊みたいなもの。
それを伝わって次の大きな公園から次の公園に移ることもできるし、
人間の目に見える緑と言うだけではなく生物多様性にも
結構役に立っている気がします。


高橋:家の庭、ちょっとした樹木を植えることって鳥や動物の休む場所になる?

田中:あり得ます。
ベランダすべてを森にしろとは言わないが
1本そういう木を植えてみるのも手かもしれない




高橋:ここ最近の森や環境をめぐる話題の中で、注目している事は?

田中:林業の話だが、日本の場合は森づくりは、
そこに生えている木をすべて切っていちから全部植える。
皆伐して一斉に植える、造林する植樹する
パターンだったが、これだと森がなくなってしまう。
環境に良くないと言う声が広がってきていてでも
最近は木を切るときは抜き切りをする。
全部切るんじゃなくてすこし間を抜いていく。
その間に抜けたところに次の木が育つようにする。
それが育ってきたら残しておいた木を切る、恒続林。
そういう考え方がヨーロッパで始まって、
ヨーロッパで広がってきているんですが、
それが日本にも入ってきて少しずつ挑戦する方も現れたり。
期待をしているのは奈良県の林業としては、
これから恒続林を目指すと宣言したんですね。
そのための人材育成も始めているんですね。
フォレストアカデミーと言う学校を作って
恒続林の林業をできるような人材を育てようと言うことで、
卒業した人があちこちに赴任して、
これから挑戦していくことになるのかなと思っている。


高橋:林業に携わる方にとってはメリットはなんですか?

田中:手間がかかるのでデメリットなのかもしれませんが、
森がなくならなければそこに豊かな環境が
残って生物多様性も保てるし、持続的な木材生産ができる。
日本の場合は杉とかヒノキとかわずかな樹種しかないが、
恒続林と言う考え方ではいかに多様な木を植えるかというのがテーマなんですね。
しかも広葉樹も針葉樹も混ぜて植える。


田中:あくまで林業ですから広葉樹であっても
育ったら木材として使う。
じゅんじゅんに使うようにしていこうと言う事ですね。


高橋:本当に日本の森って高速道路を走ってると杉林が多いじゃないですか。それがもしその考えが浸透すると、こんもりした、いろんな樹木が生えた森になる可能性もありますね

田中:見た目は天然林と変わらなくなってきますよね。
いろんな木が混ざって生えているわけだから。
しかも樹齢もみんな混ざっている。
若い木も高樹齢もある森づくりと言う事ですね。


高橋:やっぱりいろんな木が混ざると?

田中:災害に強くなると言う事ですね。
いろいろ混ざっていた方が風水害にも強いし、
病気にも強いし、そういう点からも災害が多い時代には
こういう路線もあるんじゃないかなと思うんですけどね。


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高橋: 森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。
来週も引き続き田中敦夫さんのインタビューお届けしました。
田中さんは本を出したばかりです。




『虚構の森』。新泉社から出ているこの本は、
環境問題をめぐる常識、誰もがそうだと思っている情報が
実は必ずしも正しいとは限らない・・・そんな事例が数多く書かれています。
そして今回、この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・High And Dry / Jamie Cullum
・祈れ呪うな / キリンジ

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