プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森~voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。



相模湾に突き出た半島の町・神奈川県 真鶴町。
その半島の先端に広がっているのが、地元の方に「お林」と呼ばれる大きな森です。



このあたりは、もともと火山の溶岩でできた土地なんですが、
そこに人々が木を植え、そして自然の力で森が更新を重ねることで
数十メートルの巨木が生い茂る、東京ドーム30個分の森になったのだと言います。



そして、この森は、真鶴で暮らす人たちにとって、
昔からずっと、心の拠り所でした。
それはなぜなのか?
ガイドの山﨑陽軒さんは森に鎮座する、小さな神社に案内してくれました。




山﨑:山の神社。いつからあるのか定かではない。
ただこの山、森全体を守ってくれているところでもあり、
海を守る神様でもある。真鶴町はもともと漁師町。
漁業関係者が山の神社にお参りする。
山を登ってきて、海に出る漁に出るときは航海の安全を祈ってから
行くという習慣があった。


高橋:海の近くの神社ではなく山の神様に?

山﨑:なんでかというと真鶴では海と山の森は一体。
魚つき保安林になっていて、
山があるおかげで森があるおかげで魚がやってくる、漁業で身を立てられる。
木陰を作る。松は海の方海の方に崖に生える。
日が下にプランクトンが寄ってくる。お林は雨がたくさん降る。
この森だけ降ることアアル。降水量がかなりある。
屋久島みたいな雰囲気。降水量もある。川はないので地面に雨が染み込む。
真鶴半島全体が溶岩の安山岩で細かい切れ目があり、そこに染み込む。
それが海の底から湧いて出る。
ミネラルをいっぱい含んだ淡水がでることでプランクトンが集まり、
魚が黒潮に乗ってやってくる。




高橋:山と海がつながっているという意識が強いんですね

山﨑:昔の人が分かっていたかはさだかじゃないが、
そういう生活の知恵が合った。
山の自然を守ることで海の方策が期待できるという。
いまも漁業関係者あ山を手入れしたり、松を植えたりしてます。
森自体が神様。お参りしましょう




高橋:森の養分が、海へ流れ、豊かな漁場を作る・・・というのは
この番組で何度もお伝えしてきたお話ですが、
真鶴の人たちも昔からそれに気づいて、森を守ってきたということなんですね。

さあ、こんな感じで真鶴の「お林」散策を終えた我々一行。
すっかり喉も渇きました。
ということで、真鶴の港にほど近い、地元の方が「集う場所」へ向かいました。




高橋:山崎さんありがとうございました、
乾杯しましょう。お疲れさまでした。連れてきていただいたこちらは?



山﨑:草柳商店という酒屋。真鶴の安らぎの場として集う。
しげさんです。


高橋:真鶴のお林、ここちがよくて木々も立派で魅了されたが、地元の方にとってどういう存在なんでしょうか?

しげさん:お林は漁業にとって重要なものと考えられている。
「お」がつくということで神様がいらっしゃるところでもあり、
いのちの森というか、東京の近くにこんな森があるということで、
それが素晴らしいと真鶴町に移住した方も大勢いる。
人を引きつける魅力があるのかな。
お林がなければ心臓がないようなもの。我々の生命の源のような場所。
子供の頃は今以上に真っ暗で、
木が生い茂っていて昼に行っても鬱蒼としていた。
どこか怖い感じがした。夜はそれこそ真っ暗。
異次元の世界に迷い込んじゃったような怖さがあるので遊ぶことはなかった。
が、海岸に行けないので、暗くなる前に逃げるように帰ってきた。
海岸はお林を通らないと。
だから子どもたちは帰りは暗くなっちゃうと怖い場所という印象。
夜は怖すぎる。夕方も暗がりが怖い。
お林に入る入口に山の神様のお社がある。
あそこに挨拶してから入るような、
子供心に文化的なことを親や祖父から教わった気がする。



お林があることで森への畏敬の念が自然と身についているのかも知れない。
真鶴育ちの人はみんなそうかも知れない。
以前は森の駐車場でイベントをやった。
お参りもしてお祓いも出演者スタッフでやったが、
そのあと音楽イベントだったので
大きな音を出してしまって野鳥がいなくなってしまった。
鳥の守る会から苦情を頂いて反省して、大きな音を出してはいけないと。
若気の至り。先生みたいですね。そんな木が。
なにしろ3デイズでお祭り騒ぎ。
一年鳥がいなくなった。
いまは鳥も戻ってきて野鳥の会の皆さんも報告しているようです。



お話をしてくださったのは、しげちゃんこと、
真鶴の観光協会副会長、草柳さん。
町の仕掛け人としていろんな企画を展開している方で
真鶴の「お林」についても、地元の方として色々教えてくれました。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・I Ain't Worried/ OneRepublic
・風をあつめて / はっぴぃえんど

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今週も先週に引き続き、神奈川県南西部
熱海と小田原のあいだにある小さな半島の町・真鶴の森のレポートです。

東京ドーム30個分というこの広大な森は現在、県立の自然公園になっていますが、
もともとは、火山の溶岩でできた土地で、萱原…つまり、草っ原だったそう。

実際に見ると、かつて草っぱらだったとは信じられないくらい立派な森が、
これは江戸時代の人々がクロマツを植え、明治時代の人々がクスノキを植え、
その後、人ではなく自然のチカラでスダジイが育ち、
数百年かけて植生が変化していった結果、今の姿になったのだと言います。

そんな真鶴の「お林」には、他にも人と自然の営み、歴史が刻まれています。
ガイドの山﨑陽軒さんの案内で、さらに森の中へと進みました。




山﨑:今度は森林浴遊歩道いきましよう。
ここを進むと灯明山という半島先端部で一番高いところです。



このクスノキ。樹齢150年。明治政府が植えたものだとしたら。
クスノキは全国的にはでっかい木が多い。
巨木ってだいたいクスノキ。
600,700年経ったクスノキでこれの3倍位のもあるので
どれだけでかくなるのかな。200,300年後に見てみたい。



おはやしの入り口にバス停があって、
そこで待っているとネコバスが来そうですよ。


高橋:虫が怖いと思ってきたがいまのところ襲われないですね



山﨑:少なくともそのへんぶんぶん飛んでいるのを見かけない。
たぶんクスノキの出すフィトンチッド、天然物質が影響している。
幹からも葉っぱからも物質を出している。
だから週に何度も歩くがほぼ虫には刺されない。
こんなにうっそうとして見た目は原生林。
クスノキは葉っぱをお風呂に浮かべたり、木そのものを入れてもいい。
香りが良い。あと松の葉っぱも集めて袋に入れてお風呂に入れるといい。
ちょうどここが一番高いところ。あんまり登ってこなかったけど96m。
灯明山という山。もともと灯台があったらしい。


高橋:木がいっぱい生えていて海も見えないですね

山﨑:そのころは萱原だったんですね。
だから海が見えた。江戸時代の初期です。
ただ台風で崩壊してしまって、そのあとはクロマツを植えられたので
灯台再建はされなかった。
でも江戸の初期は真鶴の港はものすごく栄えていた。
なぜなら江戸城の石垣は真鶴から運んだんですね。
真鶴半島中が石場だったんです。
ここから何トンもの石を2つずつ積んで運んだ絵を見たことがあります。
いまも採石場はあるがほとんど取られていない。
小松山でとれる小松石。真鶴半島は全部溶岩、安山岩でできていて、
それを切り出してどんどん運んでいったあとがいまでも残っているんです
。だからもっと真鶴半島はでかかったんじゃないか。
昔は伊豆半島くらいあったのではないか。


高橋:お魚が美味しい街、漁業の盛んという印象はあったが砕石していたとは?

山﨑:今はそうなんですけど、
平安時代から産業だった。源頼朝が鎌倉の街を作るのにも使われた。
鎌倉になって東京になって江戸になって




山﨑:お林のルールが4つある。
とらない・すてない・もやさない・ふみこまない。
遊歩道の入り口位ルールの看板がある。
本当にみなさんに着てほしい。海もあるし町は美の基準条例という、
昔ながらの景観を守ろうという条例があって、
街の散策が楽しい。大きな建物がない。
港があってもともと真鶴は漁師さんや石を運ぶ船を持つ人たちが
港の近くに家を立てて、
朝起きて海の様子がどうかを観るために
どこの家からも海が見えるようになっていた。
だんだんになったところに互い違いに家を建てる。
ある程度のスペースを確保して港が見えるようになっている。
逆に海から見ると全ての家が見える。
伝統的に作られていて、家と家は細い裏道で繋がっていた。
背戸道。みんな背戸道をとおって交流するという町の風景があった。



今回も、「お林」のレポートお伝えしました。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Skylight / ガブリエル・アプリン
・渚 / スピッツ

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高橋万里恵
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