自然科学ライターでイラストレーターの川上洋一さんのお話をお届けします。
川上さんはTV番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の、東京・新宿の生きものを探す企画でもおなじみ。東京はじめ、都会に住むいきものに、とっても詳しい方です。
今日はそんな、東京の水辺の生き物のお話。川上さんによれば、実は最近、東京の水辺にいきものが戻りつつあるらしいんです!

〜東京では昔に比べて自然が再生した場所もあって、それが東京の荒川区にある尾久の原公園、大田区の東京港野鳥公園ということですが、ここはどういうところなんですか?
 尾久の原公園は隅田川のほとりで、東京港野鳥公園は完全な埋立地ですね。もともとは自然が完全に壊された場所です。

尾久の原公園


東京港野鳥公園

 尾久の原公園は、元々工場が立っていたんですが、それが移転した後に広い更地ができた。これをどう活用しようかと会議している間にどんどん水が溜まって、池ができて、水草が生えて、そこにトンボが集まり始めたんです。5年ぐらいで30種類ぐらい来たのかな。そのまま放置した状態で、非常に豊かな自然が戻ってきたんですよね。この環境を残してくれと言った人たちは、トンボの保護に関心がある人たちで、いろんなトンボが住めるように池を作ったり、少しずつ環境を変えていったんですね。
 トンボって意外と、水たまりがあればどこでもやって来る種類のものもあるんです。だから学校のプールなんかは、掃除をするとヤゴがいっぱい出てきたりします。それはあまり自然度が高くない所でも暮らせるトンボの種類。でも広い水面が好きなものや、水辺に草がうんと茂っているような場所を好むもの、低い草が生えていて、田んぼのような環境が好きなものもいて、それに合わせて環境を作ってあるんです。
 それからここは川が近くにあるので、川沿いにいろんな生きものが来れます。道路ひとつ挟んだ向こう側が荒川で、それを伝っていろんな動物が移動して来られるというのがあるんじゃないかと思うんですよね。


尾久の原公園の湿地

〜オニヤンマも見られますか?
 オニヤンマは日本で1番大きなトンボですが、残念ながらここにはいません。オニヤンマは森のヘリの流れみたいなところが好きで、湧水みたいなのがあって、そこが細かい砂利みたいになっているところが好きなんです。どちらかというと山沿いですね。例えば郊外の斜面の下にちょっと川があったりしますよね。ああいうところにはいたりします。でも、ギンヤンマは逆に広い水面が好きなので、そういうところに来るんですけども、環境によって種類が違う。日本はそれだけいろんな水辺の環境があるので、トンボの種類がすごく多いんですよ。

ギンヤンマ 撮影:佐久間聡

季節ごとにも違うし、環境ごとにも違う。昔は日本のことを秋津島といいましたが、トンボ島という意味なんです。秋津というのはトンボという意味なんです。昔、天皇が狩りに行った時にアブがいっぱい来て悩まされた。けれどもトンボが飛んできて食べてくれた。それでここは秋津島という名前にしようと言ったんです。ですから、日本はトンボの国なんです。例えばイギリスなんかは、イギリス本土、グレートブリテン島は日本と面積が変わらないんですけれども、トンボの種類は日本の数分の1しかいないんですよ。

〜人の手で更地になったところに自然が再生して、野生の生き物が戻ってくる。改めて自然の再生する力、能力って凄いですね。
 そうですね。これはある意味、自然のシミュレーションでもあるんです。例えば川のほとりなんかだと、昔は洪水が当たり前のことだったじゃないですか。洪水が起こると、岸辺が流されて、更地になってしまう。そこにまた草が生えてきて新しく自然がよみがえってくる。海辺でもそうです。台風が来て、高潮で押し流されて更地になったところにまた水が溜まる。埋立地も、更地が作られたことによって自然が復活するパワーが働いたんですね。
 ただ1つ、問題なのは、もともとこれは自然が一度壊された、かく乱されたところなんですよね。そこは、かく乱が止まるとどんどん陸地になっていくんです。そうするとトンボがなかなか住めない環境になっていく。ちょうど良い所で留めておくのには人間の力が必要になっていくんです。草が多すぎたらそれを抜いたりとか、泥がたまったらそれをかき出したり、そういうことをやっていないと環境はどんどん変わってしまうんです。だから、森なんかもそういうような手入れが必要だというのがありますが、雑木林でも、池や湿地も人の手入れがどうしても必要になってくるんですね。都市の中である程度限られた場所の自然をキープしておくのは、それなりに人間の働きかけが必要になってくるんですね。


川上さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!


「東京いきもの散歩――江戸から受け継ぐ自然を探しに」川上洋一(早川書房)

そして、きょうの番組の冒頭で紹介した、福島県霊山町のボルダリングスポットの情報は、以下のFacebookページで御覧ください!
https://www.facebook.com/poletboulder/

【番組内でのオンエア曲】
・SURELY / never young beach
・Summer Sun (feat. Yukimi Nagano) / KOOP

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

あなたからのメッセージ・ご意見をお待ちしております

各放送局の放送時間

  • JFNヒューマンコンシャス募金は鎮守の森のプロジェクトを応援しています。

ポッドキャスト

  • ポッドキャスト RSS
  • ※iTunesなどのPodcastingアプリケーションにドラッグ&ドロップしてください。
  • 鎮守の森のプロジェクト
  • EARTH & HUMAN CONSCIOUS
  • LOVE&HOPE〜ヒューマン・ケア・プロジェクト〜
  • AIG損保 ACTIVE CARE

PAGE TOP