先週に引き続き、宮城県南三陸町・戸倉地区で林業の担い手を目指す若者・小野寺翔くんのインタビューです。
東日本大震災を経て、地元・戸倉波伝谷で始まった持続可能な新たな林業。翔くんはそこにどんな希望を持っているのか。お伝えします!



 ここにある木は、基本的には50年とか60年前なので、僕らのおじいさん、ひいおじいさんの代が植えたものが今こういう風に育っているんです。なので、僕の家もそうなんですけど、震災の被害で家やり財産がなくなったんですけど、山だけは残っていたので、やっぱりせっかくの代々の地域の財産なので、やっぱり守っていきたいなと思いますね。
 もともと小さい頃から牡蠣とかホヤといったシーフードが当たり前にもらったり買ったりして食べてはいたんですが、それが美味しく出来るのも、山に降った雨が川をめぐって海に来て、それがまた蒸発して山に戻っていくという循環なんです。山の栄養だったり土壌の良さがないと良い栄養が流れていかないんですね。それってやっぱり、今ある森をしっかり手入れしてあげることで大切なんです。すごく海が有名だったり漁業が盛んだったりするんですが、そこには山の手入れをする人が必要なんだなと感じますね。

 僕は林業のほかに、昔からあるししおどりという郷土芸能の踊りをやっているんですけど、そこでも木材が太鼓のばちなど道具に使われています。山に生えているムラサキシキブという木だったりするのですが、1本のバチがどこで取れるのか、山に実際に入ってみないと見えなかったりするので、子供たちにこういうところで取れるんだよと、一緒にバチになる木を取りに行こうということもできると思うんですね。やっぱり木と暮らしが密接なんだということをいろんな人に感じてもらうというのが大事かなと思います。
 僕もバチなんかの簡単なのは作ったことがあるんですけど、椅子とか家具だったりとかも木でできるので、それに関わってくれる人も増えると良いですし、木には可能性がいろいろありますね。今は一部で、全体的に広げるのはこれからなんですが、いろんな所の間伐した材を使って、木を生かした家を作ろうという取り組みをしています。建築の先生や山で木を切る人と、製材屋さんと大工さんがセットになって、木の家を作るためのチームみたいなのが出来上がったので、先に始められた皆さんの努力もあって、今ちょっとずつ広がっているなと思います。
 なんといっても木は生き物ではあるので、人が植えて一生そこで成長するしかないものなので、そこは人の手でしっかり管理して生かしてあげるというのが植えた人間の使命だと思うので、そこはやっぱりやっていきたいなと思います。限られた資源を、長年にわたって回していかなければいけない仕事ですし、自然相手の仕事なので、職人になるにはまだまだ何十年とかかるんだなという気がします。この仕事は結構頭も使うので、大変な仕事なんですが、なぜそれをやっているのかというと、この良い木を次の代に残したいとかって思いもありますし、良い海を作るためにこうやって手入れができているという実感があるので、大変でもやりがいはありますね。
 復興ってよく使われる言葉ですが、震災の教訓をプラスに変えて、これを後世に残していくという意味では、新しい街に作り替えるということもより良い街にするという意味では必要だと思います。でも昔からあってなくなったものを取り戻すということってすごく難しいと思うんです。今はみんなバラバラになって町の外に出た親戚だったり知り合いも多いんですけど、そこで昔からあるもの、山であったり郷土芸能をしっかり引き継ぐ中で、そういうキーになれる存在というか、出て行った人もなんとなく地元でつなぐということも考えながらやっていければ良いのかなと思います。



小野寺翔くんのインタビューいかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・フレア / Superfly
・October Road / James Taylor

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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