今週も3万年前の航海 徹底再現プロジェクトの実験を見事成功させたお二人、国立科学博物館の人類学者 海部陽介さん、そして丸木舟キャプテンの原康司さんのインタビューです。
3万年前、私達の祖先の一部は、大陸から海を渡って、沖縄へやってきて、そして日本人となったということを実験で証明するプロジェクトなんですが、当時の技術、石の斧でつくった丸木舟が完成し、原さんが率いる漕ぎてチームはトレーニングを重ね、いよいよ丸木舟は旅立ったわけなんですが、原さんは、台湾から与那国へ行くときには黒潮という世界最大級の海流があって、それは経験したことがないので、どうかなと思ってたとおっしゃいましたが、実際に黒潮ってどういうものだったんでしょうか。
原:普通の川の流れは目で見てわかります。たとえば瀬戸内海の潮流なんかは目で見ればわかるのですが、黒潮は、広いときは幅が100kmあり、それが舟と一緒に流れていすわけです。ですから見た目で流れているというのは全くわかりません。漕いでいて、入ったということがわかるのも非常に難しい。出たときもわからないです。まあ入ったときは後ろに陸が見えるので、だんだん陸が北に向かっていって、舟が流れていっているのはわかります。あと、海水温が若干温かいので、注意していれば、なんか生ぬるいなと思ったときが黒潮に入ったサインです。
海部:南の方から熱を運んでくる暖流ですからね。
原:あと、深いところを一気に5000mくらい海底が深くなるんですけれども、海水がものすごく深いところにあると美しいブルーになるんですよ。黒いと言われるんですけれども、実は青いんですよ。
海部:台湾の沖と日本の沖では色が違うんだと思うんですよね。黒潮じゃなかったですよね(笑)
原:黒潮じゃない、青潮でしたよね。美しいです。深くてどこまでいってもブルーというか、透き通っていて、この色は表現のしようがない。
海部:写真に撮ってもあの色は出なかった。もう目にしか残ってないですね。実際に見ないとわからないと思います。写真撮ったけど全然使えない。
原:だから、ぬるくなったとか、色が綺麗になったら(黒潮に)入ったとか、そういう指標はあるんですけどね。そうやって美しい海に浮かんでいるというのは幸せなんですよ。でも実際はすごい勢いで北に流されている。


〜黒潮の幅は100kmくらいとおっしゃっていましたが、そのときは全員で抜けるまで漕ぐのでしょうか。
原:そうですね。だからとりあえず、出発地点から北東の方向に与那国はあるんですが、北東に向かっていくんじゃなくて、とりあえず横断する。だから東に向かっていっています。もしくはちょっと南寄りに。で、先に沖合100kmまで出る。それが最初の課題でした。黒潮を超えるということです。それまではなかなか休憩できないんです。僕たちは24時間という時間を自分たちの中で設定していました。
 出発して最初に、結構曇ってきて、普通だったら出発して5〜6時間は台湾が背中になって、東に間違えずに行けるんですが、このへんも1〜2時間すると陸が見えなくなってしまってで太陽で東に行ったんです。で、太陽を頼りに進んでいって、で夕方くらいになると、今度は北風が吹いてきます。黒潮が南から流れてるんで、、北風が吹くと三角波という波形します。で、その波というのは丸木舟のなかに入りやすいんですよね。丸木舟の最大の弱点は水が入ってきたら抜けないことです。自分たちで掻き出さいないといけない。大きい波がドーンと一気に入ってくると舟が転覆してしまいます。だから、最初の草と竹に比べて早いんだけれども、荒れた海に弱い。そういう弱点があります。舟足を止めることはできないので、4人、もしくは3人が漕いで、残りが描きだしているという状態です。
1日目の夜は、風が止むのが夜半すぎだったんですけれども、それまでは舟を止めることができないんです。流されてしまうし、舟を止めてしまうと波に対して舟が横向きになってしまうんです。横向きになると横から波がドーンと入ってくるんです。大きい波が来たら舟を立てて乗り越えて、また東に向かって、波が来たら舟を立て乗り越える。そういうコントロールをしています。舟は動かしていかないと舵がきかないんです。最初に休憩に入ったのは夜中過ぎた頃です。
海部:出発したのが日本時間で2時38分です。それから風が落ちたのが夜半ですね。
原:だから9〜10時間くらい漕ぎ続けて、でもまだ黒潮を超えていないですから、休憩も15分くらいで一人ずつ交代しながら進めているっていう形ですね。で、また星が見えないんですよ。月はぼんやり出ていたんですけど、月が沈んだ後、星が1つ、2つしか出なくて、その星を見て、周りの星はなんだろうかというのを想像して、方向を決めていました。


〜その方向を決める役割は原さんだったわけですが、ほかの漕ぎてと意見が割れてしまうようなことはなかったですか?
原:ないですね。間違ってたときは修正しますけど、こっちだ、こっちだっていうのはないです。島を見つけるときはあっちに見えるとか、こっちに行ってみようとかありましたが、基本的にナビゲーションに関して言えば信頼してくれていたんだろうと思います。
海部:それは他の漕ぎてたちもそう言っていました。やっぱり自分たちの役割は推進力だから、ナビゲーションは原さんと後ろの田中さんに任せて、自分たちはそれを一生懸命やるんだと。
原:よく喧嘩しなかったんですかと言われますけど、「喧嘩したら舟進まないでしょう」と先頭に立っていた人が言ってましたね。本当そうなんですよ。小さい舟のなかで水や食料も分け合わないといけないし、喧嘩してたら進まないですよね。したいときもありますよ。なんだ!と思うときもありますが、それをぐっと抑えて協力する。またはそういったことを笑いに変えるということはとても大事なことですね。
海部:原さんはそういうのがうまいんですよ。タイミングをよく見てやってると思いました。後で5人に聞きましたが、漕ぎての一人村松さんという方がとても印象的なことを言っていました。二日目の午後、島が見えなくてみんなが不安になるんです。そのときに「一人だったら辛かっただろう。だけど仲間がいるからやれた」と言っていました。そうじゃないとやれないんでしょうな。3万年前も当然そうしてたんでしょうね。そのへんが想像できるのがやってみることの面白さだと思います。



今回のお話、いかがだったでしょうか。今回お話を伺っている「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」の成果をまとめた本『サピエンス日本上陸 〜3万年前の大航海』が2月12日に講談社より出版されるそうです。こちらもぜひチェックしてくださいね。

【番組内でのオンエア曲】
・Viva la Vida / Coldplay
・春の歌 / スピッツ

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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