今週も日本の森・里山、そして私たち人間の営みにずっと昔からかかわってきた動物・馬をめぐるお話です。
お話を伺うのは、日本各地の在来馬を追いかける女性カメラマン・高草操さん。
高草さんは全国の馬に詳しいだけでなく、実は、岩手県遠野市という、古くから馬の生産が盛んな地域に長年関わり続けているということで、きょうはそのお話、伺います。


〜高草さんは岩手県遠野に長年通い、遠野馬通信の発行もしていらっしゃます。遠野市は用馬を育てるのが盛んなんですよね。
戦前は軍馬の生産で重たい大きめの馬を生産していました。人が農作業に使っていたので、大きめのずんぐり馬が多かったんですが、50年くらい前、戦後すぐに全てが機械化され、馬が減りました。遠野も馬の産地だったのですが、馬がいなくなりました。それではせっかくの伝統が途切れてしまうということで、愛好者、生産の人たちが、時代は乗用馬のニーズに広がっているということで生産をはじめました。馬産の伝統技術のすべてを注ぎ込み、組合も出来ました。軽くて女性も乗れる馬を作ろうと、サラブレッドの血を入れようと、中央団体から寄贈してもらって、かけあわせて少しずつ軽い馬を生産するようになりました。そのうち中央競馬会からグランドマーチスという、障害で顕彰馬になった馬がいて、それが種牡馬になりました。いまでも必ず年に一度せりがあります。本州では唯一の乗用馬のせりなんです。乗馬クラブ、障害協議、馬場馬術などにたくさんでるようになりました。

〜遠野では馬搬、馬を使って山から切り出した材料を運び出す文化がありますが、取材されていかがでしたか?
山にブルドーザなどを入れると山が荒れるため、遠野では機械のない時代から馬方さんが馬を連れて行って、切り出した木を馬に引かせて里に下りてくるのが盛んでした。遠野では山から馬が引いてきた木で家を建てるのが非常に一般的だったんです。私が通い始めた2004年くらいは、それでも馬方さん、地駄引きは、2人ぐらいが現役でした。足元が悪く凍った山に入り、そりにひとつひとつ手作業で木をつけて、長い道のりを下るというのを、天気にもよりますが、1日に5〜6往復していました。かなり厳しい仕事です。足場も悪いし寒いし…


〜高草さんの『人と共に生きる 日本の馬』に馬搬の写真がありますね。足が太いですね。
道産子など小さい馬じゃなくて、ばんえい競馬を引退したような馬を馬方さんが買ってきて、お仕事に使ってらっしゃいました。本当に山の中、足場も悪く、冬のさなかでした。

〜馬は平気なんですか?
平気なように馬方さんが使わないといけないので、やっぱり難しいと思いますね。

〜馬方さんの知識が重要なんですね。
馬の健康管理もしなければいけないですしね。私が通っていた頃、現役で馬方をやっていた方の家系で、代々言われてきたのは「馬に特別な感情を持つな」ということ。そのくらい厳しい仕事だったんですね。いまでも乗用馬を生産をしている方に話を聞くと、小さな頃から仕事だったそうです。田んぼから馬が帰ってくる時に鈴をつけているんですが、その鈴が響くと、馬小屋に水を用意して、わらなどを用意するのが自分の仕事だったと話してくれる人もいました。現在は引退していますが、技術を引き継ぎたいという人がいて、遠野市でも協会を立ち上げました。それで技術の継承してはいるんですが、それも生業かというと疑問はありますが。


〜東北の寒い時期の馬たちはどうしているんでしょうか。
夏山・冬里という形式で乗用馬を育てるのですが、夏は一斉にみんな高原の山牧場に半年くらい放牧に出します。冬は里におろします。、子どもたちは里に降りる時に離乳しているので、仔馬たちだけの放牧地で過ごし、親馬は親だけの越冬放牧地、それぞれの生産者の厩舎ですごす馬もあります。それで子馬を産ませて、また次の年の夏に放牧に出す、という繰り返しです。馬に携わる人達はとても忙しいと思いますね。


日本各地の在来馬を追いかける女性カメラマン・高草操さんのお話、いかがだったでしょうか。
高草さんが発行する「遠野馬通信」は「遠野 馬の里」というウェブサイトから見ることができます。
また、高草さんの本「人と共に生きる日本の馬」は JRA賞・馬事文化賞受賞した評価の高い本です。里文出版から出ています。是非チェックしてみてください!

『人と共に生きる日本の馬』高草操著 里文出版

【今週の番組内でのオンエア曲】
・海 / サザンオールスターズ
・花鳥風月 / ケツメイシ

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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