森が土砂災害を防いでいるとは限らない、
森が炭素を固定してくれるとも限らない。
先週は私たちが知っている森の常識を“疑う”お話でしたが、
今週は、私たちのまわりに当たり前に生えている「あの植物たち」について
森林ジャーナリスト・田中淳夫さんに教えていただきます。
例えば春に咲くタンポポの世界では、いま「逆襲」が起きているらしいのです。




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高橋:アメリカザリガニが生態系に影響及ぼす外来種として規制されることになりましたが、外来種という存在の問題はもっと複雑だと本で書かれてらっしゃる。例えば園芸用の野生化による外来種の繁殖?

田中:園芸種は花が美しく咲くように品種改良した、
といった植物ですよね。それがどんどん野生化しているんですね。
わかりやすいので言えばミント。
実は繁殖力がとても強く、庭で増えたミントの葉っぱを積んで
ミント茶を作っているのはいいんですけど、
その種子がどんどん飛んで野生化しているんですね。
ミントは海外から来た種類ですからね。
おそらく在来種を圧迫しているのは間違いないですね。
本来日本古来の草花があったのにミントとか園芸種や
外来の草花が増えてくると
在来種は追い込まれていくんじゃないかなと思いますね。


高橋:どう楽しむのが正解なんですか?

田中:単純にきれいならどちらでも良いと思いがちですが、
それによって絶滅していく種があるとしたら
ちょっと問題があることになりますよね。


田中:菜の花は1種類ではなく、
大根の花とかキャベツでもブロッコリーでも
何でもアブラナ科の植物は全部菜の花なんですね。
河川敷なんかよく咲いていますが、昔はまさにそういった
日本古来のアブラナ、カラシナの菜の花だったんですけど、
ある時からセイヨウカラシナやセイヨウアブラナに変わっていたんですね。
カラシナやアブラナは種子を絞って油を取るための植物だったんですね。
ところが日本のアブラナのよりも西洋のアブラナの方が取れる油の量が多い。
そこでそっちに栽培を変えてきたんですね。
最近は栽培もせずに種そのものを輸入している。
主にカナダやアメリカから輸入してるんですが、
セイヨウアブラナやセイヨウカラシナの種子を利用して
それを日本で絞ってなたね油にしているわけですね。
でもそういう種はどこかでこぼれ落ちるんですよね。
それがどんどん広がっている。
気がついたら日本のアブラナ者はなく
セイヨウアブラナに変わっちゃっているということが起きています。
ここからは確実には言えないんですけれども、
セイヨウアブラナはアメリカとカナダで生産しているわけですよね。
そのほとんどが遺伝子組み換えなんですよ。
向こうはそれを合法的にできるんです。
農薬につよい種類を作ろうとかやっているわけですが、
その種子を日本が輸入して、あくまで油を絞るだけだから
栽培はしないと言ってもこぼれ落ちていますよね。
それが気がついたら河川敷を埋めていたりするわけですね。



高橋:それが日本の原産がどんどん追いやられてアメリカやカナダになってしまったときに何が起きるのですか?

田中:わからないですよね。
ほとんど絶滅危惧種になっちゃうかもしれないですね。
もう一つは、交雑するんですよね。
セイヨウアブラナと日本のアブラナの遺伝子が
まざっちゃって別の種類になっちゃうという問題も出てきていますよね。


高橋:見た目的にも違うんですか?

田中:専門家が見たらちょっと花の形が違うとか
ガクのカタチが違うんですがほとんどわからないですね。
私も分かりません。


高橋:私たちが近所で見ている菜の花は日本人なのか、海外から来たのかわからないですね?

田中:はっきり悪いと断言できるほどじゃないんだけれども
何か不気味と言うことですよね。
気がついたら入れ替わっていたと言う感じですよね。


高橋:あとはセイタカアワダチソウ。雑草と思われているものですが、減っているんですか?

田中:全国的にはかなり減っていると思います。
もともと外来種なんですけど、荒地によく入るんですね。
他の草がないところに入るんです。
都会だと昔は特に再開発で地面をほじくり返していたりして、
荒れて栄養がないところに入ってきて入るんです。
でもそういう開発が減っているんですよね。
ニュータウンを作るので山を崩すということをしなくなってきてますよね。
そうすると荒地じゃなくなってきているので
セイタカアワダチソウは住み心地が悪くなってきて
栄養豊富になってくるとほかのススキなどの方が強いと言うことですよね。


高橋:人の営みによって減ってくる外来種もあるんですね?

田中:だから、東京などはむしろ開発が多かったから
セイタカアワダチソウが増えたかもしれないけれども
地方だとだんだん開発がなくなってきて減ってくると言うことになりますね。


高橋:セイタカアワダチソウがなくなるのはちょっと寂しいですね。

田中:花が綺麗だと思う方もいらっしゃいますしね。
ちょっと原色ですけど。


高橋:西洋タンポポに対する在来たんぽぽの逆襲?

田中:日本のたんぽぽにはカンサイタンポポや
東海たんぽぽ、関東たんぽぽと地域ごとにあるんですが
それをまとめる日本タンポポとか在来たんぽぽと呼んでいます。
一時期西洋タンポポが圧倒的に繁殖力が違うので、
あっという間に在来を隅に追いやって
西洋タンポポの勝ちという感じだったんですが、
最近また変わってきたんです。気がついたらかなり
西洋タンポポが減っているんですね。
完全に全て在来に戻ったわけじゃないんですが半分半分ぐらいになっています。
一時期は8割から9割が西洋タンポポと言う感じで私は見ていたんですが、
最近は半分ぐらいはだいぶ在来に戻ってきた感じがしますね。


高橋:何があったんですか?

田中:西洋タンポポは遺伝子の幅が狭いといいますか
交配をせずに増える種類なので、
そうすると同じ遺伝子ばかり持っているわけですよね。
例えば夏がものすごく暑い、寒いというのがあると
一斉に適用できずに枯れてしまうと言うことが起こるんです。
ところが日本タンポポはいろいろ遺伝子の幅があるので生き残れると。
それがまた増えていく。いろいろな要因はあるんですが
意外と在来たんぽぽも強かったという事ですね。


高橋:繁殖力は西洋の方がつよい?

田中:種子を作っている量がものすごく多いとか、
年がら年中実らせているとかと言う部分があって強かったんですが、
種子をどんどん飛ばしても
そこの環境が良くなければ枯れてしまいますし、
交配せずに実らせるものですから同じ遺伝子だと
環境変化にものすごく弱いんですよね。


高橋:サクセスストーリーのドラマみたいですね。底力を持っていたと日本のタンポポみたいな。

田中:まだ完全に元に戻るわけではなく
ある意味共存しているような状態ですね。


高橋:見分け方は分からないですか?

田中:花が咲いていて裏側を見れば結構わかりますよ。
イガイガっぽいのが西洋タンポポで日本のタンポポは優しい感じです。


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高橋: 今週も、森林ジャーナリスト 田中淳夫のインタビューお聴きいただきました。



『虚構の森』。新泉社から出ているこの本は、
環境問題をめぐる常識、誰もがそうだと思っている情報が
実は必ずしも正しいとは限らない・・・そんな事例が数多く書かれています。
そして今回、この本を番組お聴きの方の中から3名様にプレゼントします。
欲しい方は、番組HPのメッセージフォームから「田中さんの本・希望」と
書いてメッセージをお寄せください。




【今週の番組内でのオンエア曲】
恋風邪にのせて/Vaundy
Re:やさしい気持ち | HALCALI

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高橋万里恵
高橋万里恵

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