今週は、私たちが普段 歩いていてあまり気に留めることのない、街中のちょっとしたところに存在する、小さな小さな森のお話です。
その名も、スキマ植物。
なんとなく、あ、あれのことか・・・と感じた方もいるのではないでしょうか。
今日はこの「スキマ植物」を追いかけ続ける植物学者の方のインタビュー、お届けします。
お話を伺ったのは、東京大学 大学院 教授で 植物学者の塚谷裕一さん。
塚谷さんは先日、こんな本を出されています。
タイトルが『スキマの植物図鑑』。

この本は、アスファルトの割れ目、電柱の根本、ブロック塀の穴、石垣など、街中にある色んな「スキマ」から生えている植物だけを紹介した写真図鑑なんです。
あまりジャンルにこだわらず、植物学全般、興味のあるものを研究しているという塚谷さん。なぜまた、「スキマの植物」に目をつけたのでしょう。

◆スキマに生えている植物
小さい時から植物を見て歩くのが好きだったんですけども、テーマとして狙うことにしたのは、だいぶ前に「ど根性大根」というのが話題になったときがきっかけですね。
あれは大根だと確かに珍しいけれども、その後「ど根性」シリーズってなんでもかんでも出てきたんですが、多分みんなが感違いしています。ああいうとこに生えている植物は、「逆境に耐えて我慢と根性で〜」というトーンで語られているんですが、寧ろ隙間にいると植物にとってはかえって良いことがいっぱいあるんです。
そういうところを好んでるやつもいっぱいいるし、いろんな植物が隙間に入りたがっているんです。だからそれを写真でこんなにいますよっていうのを見せると、みんなの見方変わるんじゃないかなって思ったのが、ひとつの狙いですね。
もちろん、やむを得ずスキマに生えているのもいますが、人間が普通に思うほどには困ったところではない。かえって「めっけもの」としてそこにいる。
人間の場合はある程度周りに仲間がいないと暮らしていくのは難しいわけですけども、植物は多くの場合、仲間がいるとかえって窮屈なわけです。というのは、食べ物にしてるのは自分で光合成で作ってる糖分なので、光が当たらないと何も始まらないわけです。
人間の場合近くに誰かがいたからって食べ物の取り分が減るかって言うと、まあ少しは減りますけど、そんなに影響しない。だけど植物の場合は隣に誰かいるとその分自分が影になってしまう可能性が強いわけです。だからその分植物って独り身でいた方がよっぽど生活は楽なわけですよね。
そうすると隙間って場所が狭いので、横に余計な人がくることはあまりない。そういう意味ではとっても楽なはずなわけです。


つまり、私たちが勝手に、「あんな狭いところから芽を出して、すごいな〜。たくましいなー」なんて思っている、あのスキマ植物は、 実は好んであの場所を選んでいるということなんですね。
そんな、アスファルトの割れ目やブロック塀から芽を出す「スキマの植物」は、本当に多種多様なんだそう。例えば、どんなものがあるのでしょう。
そして彼らはいったい、どこからどうやってスキマに入り込んだのでしょうか。

◆都会のまんなかのスキマにも
街中でどこ行っても見られるっていうのだと、ひとつはオニタビラコですね。小さな黄色い花が咲きます。花のサイズが小さいんで、子どもだと目線が低いので、小さくても割とそれなりに存在感を認めると思うんですけど、大人になってくると背が高くなることもあって、あんまり興味を持たなくなるかもしれませんね。
花が咲くとすぐ綿毛を作って種を飛ばすのでその種でいろんなところに散らばっています。他にはツメクサですとか、意外に都会の真ん中でもあるのはスミレの仲間。
都心になればなるほど、あまり珍しいものがないかというと、そんなことなくて、例えば銀座の有楽町の辺りなんかでも、こんなものが生えてるのかっていう珍しいものが生えてることがよくあります。思いもかけないものが隙間に生えてることがよくあります。
ケースバイケースですけども、オニタビラコみたいに風で種が飛んできて、たまたま隙間に着地したっていうのがあります。それから種が細かいやつですと、雨が降った時にどこかから流れてきて、ちょうど隙間に来たものもあります。スミレだとかの仲間は、種に餌がついていて、それを蟻が自分の巣の前まで持ってきて、種と餌のところ切り離して、種はいらないから捨てます。そうすると、ちょうど蟻の巣がある隙間に芽が生えるっていうのもあります。
また、街中でときどきあるのは、宅地を作ったり道路を作っていくうちにだんだん狭くなっていって、最後に隙間に取り残されたってやつもたまにありますね。
あとはアスファルトで固められちゃっても根が生きてれば割と植物がアスファルトぐらいだったら割ってしまうので自分で隙間を作ってって出来たっていうケースもあります。


植物ってアスファルトを割ることができるんですね!
また、いつのまにか道端のスキマに植物が芽を出す理由は、その「種」が持つ、すごい能力が関係しています。

◆チャンスが来るまでじっと待つ
大概の植物は隙間に入るときは種でやってくるんですけど辿りつけなかった種は死んでしまうのもありますし、寿命がすごい長くてチャンスが来るまでどっかでじっとしてるってケースもあります。
例えば洪水などがあったときに上手く流れて隙間まで辿り着くとか、道路は補修のため、よく工事をしますよね。植物によっては光が当たらないと芽が出せないっていう植物がいて、種は生きてるんだけど上がアスファルトで真っ暗になってると芽が出ないってやつも、掘り返してくれれば芽が出るってやつもあるので、そういった工事にチャンスを得るやつもいますよね。
朝顔なんかは、よく小学校の時種蒔きますが、蒔きそびれて2〜3年たってから蒔いても全然平気でしょう。ああいう数年大丈夫なやつもいますし、よく街路樹に植えてある、柳の種みたいに数時間しか寿命がないやつもあります。


以前、東京白金台の森を取材した時に、そんな話に触れましたが、「シードバンク」というんですよね。森の木の種は、土に落ちたあと、実は何十年も芽を出さず生きていられる。ある日、隣の大きな木が枯れて倒れると、そこから光が差し込んで、その光を浴びた種は、何十年越しに芽を出すことができる・・・。
まさに、スキマ植物の中にも、同じような形で芽を出したものがいるというわけなんですね。
さて、今回取材したのは、塚谷先生の職場、東京大学本郷キャンパス。歴史的な建物なので、石畳や石垣もたくさん残っています。
というわけで、東大の周りにある、スキマの植物たちを案内して頂きました!

◆踏まれにくいところから芽を出す
石畳の隙間のところにチドメグサというセリ科の植物ですけど、ツルになって狭いところを這うのが得意な植物です。それがここに生えてますね。

元々ここら辺全部繋がってたのがだんだん独立してきてるんでしょうね。春から秋の間の暖かいときに、わーってこの辺りを、この3倍くらいの大きさの葉っぱになってこの隙間をはみ出してくると思いますね。
ちょうどここが出っ張っているので、そんなにひどく踏まれなくて済みますよね。
もちろん、スキマの植物も踏まれるのはあんまり好きじゃないです。踏まれるのに弱いのと強いのはいます。オオバコなんかは踏まれてもあんまり強いダメージは受けないですけども、やわらかい植物だとやっぱり踏まれた途端潰れちゃうのでそういうのは踏まれないような隙間の方にしか出てこないですよね。


塚谷さんのお話いかがだったでしょうか。
来週も引き続き、スキマの植物のお話をお届けします。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・タイム・トラベル / スピッツ
・Peruna / Akeboshi

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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