「映画のままのロサンゼルスに乾杯!」
映画批評家という仕事をしていると、個人的な趣味を抜きにして様々なジャンルの映画を観る。それはジャンルに留まらず、フランス、インド、香港、韓国と世界中の国々の映画を観ることになる。が、私はアメリカ映画、それも“全米初登場ナンバー・ワン”とか“アカデミー賞最多ノミネート”といったコピーが派手に踊るハリウッド系超大作映画が大好きだ。そういう理由から、訪れる国も当然アメリカ。それもロサンンゼルス、サンフラシスコ、と映画の舞台として登場する場所に自然と足が向いてしまうのだ。
ロサンゼルスは、カリフォルニア州南西部に位置する港湾都市。確かに、気候が温暖で気分も開放的になる。空港を出て真っ先に向かったのは、ビーチではなくビバリーヒルズだ。
タクシーの運転手が、タクシー・ガイドとなったのは助かった。目の前の銀行が、エディ・マーフィーをスターダムにのし上げた『ビバリーヒルズ・コップ』の撮影に使用された銀行だという。冒頭の窓を突き破って男が飛び出すシーンが甦ってくるようだ。ウィノナ・ライダーが万引容疑で訴えられた高級百貨店サックス・フィフィス・アベニューを横目に、カリフォルニア・ドライビングを満喫。タクシー代がかさんだのは言うまでもない。
映画の中では、おびただしい数の人間が殺されているぐらいに物騒なイメージのあるロス。実際に物騒だった。ショルダーバッグを背後から強奪されそうになり、パニックになった。その時、慌てながらも、映画さながらのアメリカへ来たのだ!という思いに浸ってしまったのもまた事実。こうして一味違う観光を始めた。
(続く)
映画狂ならではのアメリカ探訪と楽しみ方!
文|大滝功