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「ユー!俺に話しかけてるのか?」
 
私がデ・ニーロに心射抜かれたのは、映画『タクシー・ドライバー』。主人公トラビスが夜な夜なNYをタクシーで流し、正義感に駆られて狂気の果てから悪に鉄槌を食らわす。帰還した兵士が陥る都会病を通じて、ベトナム戦争の狂気をえぐり出した誰もがひれ伏す最高傑作なのだ。
この映画の中で、大統領選候補が演説をしていたのが“コロンバス・サークル”。NY名所といえば、“セントラルパーク”が有名で、本当に名物の馬車がパカパカ通りすぎていた。そのすぐ横に“コロンバス・サークル”はある。円形の広場の中心にはクリストファー・コロンブスの金色の像が立っており、デ・ニーロがモヒカン頭で演説を聞いていた名シーンが、まさに蘇るようだ。
実は劇中のデ・ニーロと同じ服を着てそこに行っていた。“タンカース・ジャケット”という代物で軍服。デ・ニーロは終始そのジャケットを来ているので映画を観ればすぐ分かる。そしてレイバンのサングラス。ほとんど危ない奴である。観光者だらけの中で一際目立っている私に、当然のことながら警官が話かけてきた。悪く言えば、職質だ。一瞬、同映画の名セリフである“ユー!俺に話しかけてるのか?”と、よっぽど言おうと思ったが、名刺を出したりして取材だと誤魔化してみた。ここで捕まるワケにはいかない。こうして映画狂のアメリカ探訪は幕を閉じる。名所と言われる観光スポットではなくて、“自分だけの名所”をひたすら訪ねる旅も悪くない。さて次の旅先はどこになるか、2004年もロケ地を訪れてみたいと思わせる名画を求めて、映画鑑賞を続けることとしよう。
(完)
映画狂ならではのアメリカ探訪と楽しみ方!
文|大滝功