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04 SPECIAL COLUMNS 「甘い香りのマデイラワイン」 
マデイラ島

 
リスボンから飛行機で1時間半でマデイラの首都、フンシャル空港に到着する。 距離にして南西に約1000キロに位置しているが、実際にはアフリカ沿岸から約800キロの大西洋上にあるから、しばしば焦げた熱風がアフリカから吹きこみ、夏の到来とともにアフリカ生息の野鳥が飛来する。フンシャルのメインストリート、アリアガ通りには熱帯アフリカ産のジャカランダの並木が続いている。1419年にマデイラ島が発見されて以来、「大西洋の真珠」とも「愛の島」とも賛美されてきた観光地。19世紀にはイギリスの植民地になったせいか今でもイギリスからのツーリストが多い。
人口25万のフンシャルは島の南岸にある雄大な湾の上に築かれた町で、文字通り島の政治経済の中心地だ。古くからヨーロッパと新大陸を結ぶ重要な交易の中継地だったので、探検家コロンブスやクック船長、セント・ヘレナ島に流刑される途中のナポレオンなどが足跡を刻んでいる。ブランデーが添加された、甘い香りのマデイラワインのブドウ栽培地は急斜面を最大限に利用している。フンシャル湾の沖合いから遠望しても、飛行機から俯瞰しても、どちらの景観からもフレームをはみ出すほどの存在感がある。猫一匹通
れるような抜け道もないほどの狭い段丘に畑が密集している。ともかく海岸にまで手が届く所まで迫ったブドウ畑の眺めはダイナミックで感動的だ。
(続く)  
癒しの島を巡って
文|宇田川 悟