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04 SPECIAL COLUMNS (第1話)26才の旅。サンクトペテルブルグ
   旅は26才でするのがいい、と沢木耕太郎は言った。僕は‘仕事’でしか旅をしない。それを果たして旅と呼ぶの?。記憶を書き留める。忙しない日々の中で旧い傷だらけのポジフィルのようになってしまった記憶。フィルムを光りにかざしてみる。
 1999年。26才の夏、紀行番組のディレクターだった僕は企画立ち上げのため一人飛行機に乗った。企画のタイトル「世界のデートスポット」。機中‘マディソン群の橋’を読む。4日間の永遠のラブストーリー。
 ライカとリュックをぶら下げてアストリアホテルからネフスキー大通りへ。
カフェで気持ち悪くなるくらいコーヒーを飲み毎日成果無し、と日記に書き込む。一日一度は必ずエルミタージュ美術館へ足を運んだ。エルミタージュでは母親連れの女性に声を掛けた。女の子の方に取材を申し込むと断られ母親にお願いすると「写真だけなら、、、」と娘を説得してくれる。誰も‘デートスポット’には連れて行ってくれなかったけど。窓越しのネヴァ川を眺めた。往来する汽船。不思議に既視感があった。悲しい美しさがあって。閉館時間がやってきて再び暮れない街へと繰り出した。日本を発って十日が過ぎようとしていた。時計を見ると夜の七時だった。宮殿広場で座り込みサンクトペテルブルグ・タイムズを拡げた。その日は土曜日だった。次々目の前を行き交う人々。映画でも見よう!。調子が悪くなると僕は映画の世界に逃げ込む。オーロラという名の映画館でニキータ・ミハルコフが演ってる。僕は新聞を畳んだ。
(つづく)
AVRORA~オーロラ~
文|牧野耕一
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