スギの花粉が飛び始めるのは例年2月頃からですが、
今年は例年よりも早いことが観測されています。

花粉症の症状がクルマの運転に影響を与えて事故に繋がることもあります。
今回は自動車ライター 近藤 暁史さんにお話を伺い、気をつけるべきことを考えました。





クルマが60km/hで走っている時には1秒間で約16m進みます。
一般にくしゃみをする時にかかる時間は0.5秒ほど。
となるとくしゃみをした時、「クシュンッ」という間に約8m走っています。

その時に目を瞑る、手や足に変な力が入ってしまうこともある。
それが8mも進んでる間に起こるのは、とても危険だということを頭に入れておきましょう。

実際に花粉症でくしゃみことが死亡事故に繋がった実例もあります。
2016年4月に愛媛県で起こった事故。
ドライバーが連続したくしゃみの影響でハンドル操作を誤り
対向車線に自車をはみ出てしまい、軽自動車と正面衝突しました。
軽自動車を運転したいた方が亡くなり、同乗者2名も重軽傷を追っています。
花粉症での運転を軽く考えないほうがいいでしょう。





また、道路交通法の第66条には、
「過労、病気、薬物の影響、その他の理由により、
正常な運転ができない恐れがある状態で運転してはならない」とあります。
花粉症は病気の1つ。安全な運転ができない可能性があれならハンドルを握ってはいけません。

一方でクスリの服用にも注意が必要。
薬は飲むと眠くなったり、ボーッとしてしまうことがあります。
特に花粉症の薬は抗ヒスタミン薬で眠くなる成分が入っていて
知らないうちに眠くなる状態になりがち。
どうしてもという用事があってクルマを運転する必要があり
薬を飲まないといけない時は、市販薬ではなく医師に運転する状況を話した上で、
副作用が少なく眠たくならない薬を処方してもらうようにしましょう。





他の配慮としては事前にマスクをする
くしゃみが出ることを想定して、いつもよりスピードを出さずに車間距離をとる
同乗者がいるのであれば運転を変わってもらう
そういったことも考えて事故の危険をなるべく遠ざけるように心がけて下さい。

車内でとっさのくしゃみや目の痒みなどに襲われないためには、
花粉を持ち込まないことが大切になります。

身につける衣服の素材は、綿などの自然繊維だと花粉がつきやすいので
ナイロン製のパーカーなど、払った時に花粉が落ちやすいものがベター。
クルマを走行している時に車内に花粉入っていると感じた時は外気循環。
窓を少し開けると、外に車内の空気が流れ出るのと一緒に花粉も出てきます。

最近のカーエアコンはエアコンフィルターがついていて
高機能の製品だと花粉を除去してくれるます。
また、カーエアコンでも除菌機能がプラスされている製品は
スイッチを入れておくとエアコンの中で取り込んだ花粉を破壊してくれるので
高機能エアコン付きの車を選ぶのも一つのポイントです。





花粉症の方には憂鬱な時期。
「なりたくてなっているわけじゃないのに」という気持ちはわかりますが、
だからといって、クルマの運転に影響が生じて、
万が一、事故でも起こしてしまったら、それは悲劇。

事前のケアと、運転中の注意を怠らず、
このイヤな時期を安全にやり過ごしましょう!
この時期は、まだ思いがけない大雪が降ることがあります。
昨今では、これまで積雪があまりなかった地域でも
相当な雪が降ることもあり、そんな時に起こりかねないのが渋滞。

今回はモータージャーナリスト 藤田竜太さんにお話を伺い
積雪による渋滞の対処法と注意点をお伝えしました。





まず、積雪についてドライバーが最初に意識すべきは天気予報のチェック。
雪への備えだけではなく、クルマに乗る前は、どんな気象状況になるのか? 
チェックする習慣を身につけておきましょう。
ただ、多くのドライバーが天候をチェックしていたとしても
大雪になると“渋滞が発生して身動きが取れなくなる”という事態があります。


雪による渋滞の原因はタイヤのスリップと視界不良が。
国土交通省のまとめによると大雪の影響で2020年末に関越道で
2100台以上の車が立ち往生した時は、立ち往生した車の24%が
冬用タイヤ未装着だったことがわかっています。

また、全体の89%はタイヤチェーン未装着で
スタッドレスタイヤなど冬用タイヤを装着していた車でも
スタックしていた例がたくさん報告されています。
そして、吹雪などで視界が悪い時はノロノロ運転になったり一時停止が続出します。
これらが積雪時に渋滞する主な原因です。





積雪時に渋滞を発生させず、安全を確保する走行を考慮することも必要。
クルマが進む流れが悪くなったら、車間距離をしっかりとりつつ進みます。
一時停止すると、再発進時にスリップして動けなくなる可能性があります。
いざという時に引き返すため、スペースを残して進むようにしましょう。
追突事故の防止にもなります。

ヘッドライトはもちろん点灯。大雪ならフォグランプも併用してください。
渋滞の最後尾に並んだ際は、ハザードランプを点滅させて後続車にアピールしましょう。
高速道路であれば、立ち往生して長時間閉じ込められる前に直近の出口で一般道に降りるか
サービスエリア、パーキングエリアなどに退避するのも一つの手段です。
一般道でも山道は立ち往生のリスクが増えます。
回避ルートを考えるか引き返して、安全な場所で状況が良くなるのを待ちましょう。





もしも、積雪による渋滞に巻き込まれてしまったら
NEXCOや国土交通省の公式アプリで情報を確認しましょう。
もちろんラジオも有力な情報源です。
反対に不確かな情報に惑わされないことも重要です。

次に防寒対策。
車内でも上着や予備の服を着込んだり、ブランケットをかけたり、防寒対策をしっかりと。
この時、基本的にはエンジンを切っておきます。雪の立ち往生で一番怖いのは一酸化炭素中毒です。
エンジンをかけたままマフラーの出口が雪でふさがれてしまうと
排気ガスが車内に流れ込み、約20分で命の危険がある濃度に達してしまうとされています。

寒さに耐えきれなくなったらマフラーの出口付近をしっかりと除雪。
一時的にエンジンをかけてヒーターをつけて暖をとりましょう。
車内がある程度暖まったら、再びエンジンを止めて、
エンジンをかけてる間は、こまめな除雪を心がけて下さい。

あとは、エコノミークラス症候群の対策も忘れずに。
定期的に手足の指を開いたり閉じた、ふくらはぎを軽く揉んだり、運動しましょう。
水分補給も大事。1時間に一度は体を動かして水分を摂るようにして下さい。





渋滞に巻き込まれてしまった時は、ガソリンの残量を確認することもお忘れなく。
車内に“もしも”の時に備えた物を用意しておくことも大切です。
スマホの充電ケーブル、使い捨てカイロ、毛布、
携帯トイレ(1人当たり1日5個が目安と言われています)、
食べ物・飲み物も2〜3食分確保しておくと安心です。
他にもスコップ・長靴・手袋・牽引ロープ・スノーブラシ・ブースターケーブル・解氷スプレーなど。

冬の運転は、まず天気予報をチェック。
雪の予報が出ていたらタイヤと携帯品で備えをする。
万が一、渋滞に巻き込まれてしまったら、
今日お伝えした注意点を思い出して対処して下さい。
       
1年を通して最も寒いこの時期。
クルマの走行で気をつけなければいけないことの1つが路面の凍結です。
積雪がない地域でも朝早い時間帯などスリップ事故の危険はあります。





日本自動車ジャーナリスト協会の会長で
以前、氷上でクルマを走らせる実験をしたことがある
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員 菰田潔さんによると
アイスバーンは、スケートリンクと同じようなもの。

乾いた路面であれば、急ブレーキを踏むとABSが作動して約40mで止まります。
ところが、ツルツルの氷の上では、性能がいいスタッドレスタイヤでも
摩擦力は小さくなりブレーキの効きは悪くなります。

かつて氷結した沼で100km/hで走るクルマの急ブレーキテストをしたところ
何と300mも進み、菰田さんでさえ驚いたことがあるそうです。
ここからはブレーキをかけて停まろうとしても停まれないという状況に
陥らないような運転をすることが大切だとわかります。





道路がアイスバーンになる状況や場所を覚えておきましょう。
まずは積雪がなくても外気温3度以下で路面が凍る可能性が高くなるデータがあります。

路面が凍結しやすい場所としては、1つは橋の上。
地熱が届かず、橋の下を風が吹き抜けるため
冷やされて舗装道路の表面の水分が凍ることがあります。
手前が乾いた路面だったとしても要注意。

また、トンネルの中は温度が低くなりにくいのですが、
入口や出口付近は、トンネル内の湿気が外気温が低い影響を受けて
凍ってしまうということもあって注意が必要です。
確実に先の方まで路面を見て、車のスピードを落とすことが安全に繋がります。

それから、山道では北斜面もずっと陽が当たらないので
路面温度も低く、凍ってるかもしれないと想像して車を走行させて下さい。





道路の凍結が考えられる状況でどんな運転を心がければいいか。
直線の道路を走っていて先行車がある時は車間距離を2秒取るのが世界標準ですが
それよりも長い時間の間隔をとって、自分がスリップしたり前のクルマがスリップしても
事故を回避できる確度を高めましょう。

また、カーブでの冬のスリップ事故にも要注意です。
カーブでの事故はスピードを出しすぎて外側にはみ出してしまうケースが多数。
そうならないためには、直線を走行中にしっかりスピードを落とすこと。

カーブに入ってからスピードを落とそうとすると
タイヤのグリップは曲がる」とブレーキで止まる力の両方を使うことになり
滑りやすい路面ではグリップが限界を超え、滑ってしまいます。

直線の内にブレーキでしっかりとスピードを落として
カーブに入るところではゆっくりとハンドルを切る。
出口が見えたらゆっくりアクセルペダルを踏んでいき
タイヤのグリップを分散して使うようにすることが大切なポイントです。





冬のスリップ事故対策は、まずは路面の凍結を予測する。
その上でスピードを出さず、前のクルマとは間隔を空けて、
ハンドルを急に切るような状況をつくらない。
充分に気をつけてハンドルを握って下さい。
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