午後2時05分
部員全員も自己紹介を済ませ、いよいよアジカン先生によるロックの授業がスタート。もちろん、教科書なんてない。ノートも鉛筆もいらない。
1時間目は、楽器も使わない。
「まずは、僕たちについて質問がある人いますか」
部長が手を上げる。「みなさんは初めて組んだバンドがこのバンドだと伺ったんですが、最初に始めた時の思い入れとかあるんでしょうか?」
「思い入れみたいな話はうまく言えないけど・・・」後藤先生が言葉に詰まる。
「最初、後藤がいきなりオリジナル曲を持ってきたんだよね」山田先生が続ける。
普通のバンドなら、好きなバンドの曲をコピーするところから始める。
でも、アジカンは結成初期からオリジナル曲に挑戦することが多かった。
それはなぜか?
ひとつは、初心者だからスコアを見ても意味が分からないっていう理由があった。
でも一番のきっかけは後藤先生の浪人時代にさかのぼる。
部屋でoasisの曲を繰り返し練習していた時に気づいたひとつの事実。それは「曲は3つか4つのコード進行でも作れる」ということ。これをきっかけに、後藤先生は自分で曲を作り始めた。
「自分で作った曲なら、鳴らした音は全て正解になるんだ。少なくともその人にとっては」
音楽に正解も不正解もない。
そんなことに縛られるよりも自由に音を楽しむ気持ちを持って欲しい。
そうすれば練習を練習と思わなくなる。
課外授業1時間目が幕を閉じた。
午後2時35分
課外授業2時間目は、各パートに分かれての質疑応答。
後藤先生と喜多先生のギターボーカルパート。
山田先生のベースパート。
伊地知先生のドラムパート。
体育館に3つの輪ができた。
授業も次第に熱を帯びてくる。