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大分県・小鹿田焼の里の音/山口謠司先生と年賀状について学ぶ

  • ON AIR
  • 2019/12/01

小鹿田焼の里から

写真 今回ご紹介するのは、大分県日田市の「小鹿田焼(おんたやき)の里」から届いた音です。

宇賀「300年の歴史がある焼き物“小鹿田焼”。薫堂さん、知っていました?」

小山「僕はLEXUS NEW TAKUMI PROJECTというものをプロデュースしているのですが、その匠の一人に小鹿田焼の方がいらっしゃいましたね」

宇賀「スタジオにも実物が……ご飯茶碗ですね。かなりシンプルというか、素朴な色合いですよね」

小山「素朴なんですけど、おしゃれな感じがしますよね。刷毛とか、引っ掻き傷の模様が特徴らしいですよ」
写真 写真 大分県日田市、小鹿田焼の里には、四六時中ある音がこだましています。それは、「唐臼」の音。川の水の力を利用し、大きな鹿おどしの先についた杵で、土を細かく砕いていく装置です。
写真 写真 写真 写真 小鹿田焼の里の窯元の一つで、小鹿田焼協同組合 理事長の坂本工さんに、この土地の歴史について聞いてみました。
写真 「300年前に伝わってきたという言い伝えがあります。江戸時代後期、お兄さん窯である福岡県の小石原焼の窯から、作り手である柳瀬三右衛門が来て、裏山の集落から黒木という家が資金を提供して、地元の坂本家が土地を提供して……坂本・黒木・柳瀬で土地・お金・技術を持ち寄って、小鹿田焼はスタートしたと言われています」

その後、民藝運動を起こした、柳宗悦(やなぎ・むねよし)やイギリスの陶芸家 バーナード・リーチが高く評価したことで、小鹿田焼は日本はもとより、世界でも知られる存在になりました。小鹿田焼の里は重要文化的景観に選定、技法は重要無形文化財にも指定されています。今は9軒の窯元が小鹿田焼の伝統を守っています。

集落を歩けば、至る所で小鹿田焼づくりの風景と音と出会うことができます。
写真 写真 写真 写真 写真 今でも、300年前とほとんど同じ製法で作られている小鹿田焼。今でもほとんどの職人が、足で蹴ってろくろを回し、器を作っています。しかしなぜ、機械に頼らず、300年前の製法で作り続ける必要があるのでしょうか。坂本さんによると……

「小鹿田以外では、私たちの1ヶ月の工程を30分で行うところもあるんです。でも、ここは機械を置く土地がないからどうにもならないんです。30日間の手作業と、30分間の機械。悪条件の中で300年間やってきた、使う人からは見えない、作り手の我慢ですね。行けるところまではこのやり方でやっていきたいですけど、後々は、変わらざるを得ない時代も来るだろうな、と思います」
写真 父・工さんの跡を継いで、陶芸家の道を選んだ坂本創さんは、小鹿田焼を作ることについてこんな話を聞かせてくれました。

「小鹿田焼じゃなくても、他に生活ができる手段があれば、それはそれでいいと思う。田んぼとかをやったり……。終わらせる勇気の方が大事ですよね。いつかは、終わらせないといけないから。誰が終わらせるのかは、続けるよりも難しい判断だと思います。続けることが目的ではないので。この生活が意外と捨てたもんじゃないっていうのを理解してくれる奥さんと子供と一緒にやれれば、幸せでしょうね」
写真 小山「坂本創さんがまさに、NEW TAKUMI PROJECTの一人なんです。創さんの作品、かっこいいですよ」

宇賀「創さんはいま29歳で、お若いんですね。終わらせる勇気、なんていう言葉もありましたけど……」
写真 写真 小山「でも、よっぽど自信がないと言えない気がしますよ。中途半端にやっていたらなかなか出てこない言葉だと思いますね」

宇賀「やっぱりそれだけ大変な作業なんだろうなと思いました。せっかく300年続いているんだから、いつまでも続いてほしいと思ってしまいますが……」

小山「続けることが目的ではない、と言い切るのもすごいですよね」
写真 宇賀「唐臼の音も印象的でしたね。この土地に嫁いできた方は、音に慣れるまでは睡眠不足になるそうなんです。でも、この土地で生まれ育った坂本工さんは、この音がないと気になって眠れないそうです」

唐臼の動画は、SUNDAY’S POSTのツイッター等にアップされています。そちらもぜひ、見てみてください。

手紙文化を盛り上げよう! ポスト会議#27

全国におよそ2万4千局ある郵便局と連携を取りながら商品開発をしたり、手紙文化を盛り上げていく企画コーナー「ポスト会議」。
先週に引き続き、中国文学と日本文学に詳しい、大東文化大学准教授の山口謠司(ようじ)さんをお迎えしています。前回は、年賀状を書くときに役立つかもしれない? 来年の干支「子年」についてうかがいました。
写真 宇賀「今週、山口先生には、年賀状にまつわるお話をうかがいます」

小山「そもそもお聞きしたいのが……謹賀新年の“賀”。この“賀”ってどういう意味なんですか?」
写真 山口「賀は、お祝いの品物をうず高くいっぱいにしていることを表しています。“加える”は、どんどんたくさんということ。そして貝は財産だったり、贈り物だったり……とにかくお祝いの品物をたくさん集めて、積んでいるような状態を“賀”というんです」

宇賀「では、賀状は、たくさんいいものをお贈りします、という意味なんですね。なるほど!」
写真 小山「正月は、正しい月と書きますよね。これはなぜなんですか?」

山口「“行き止まり”ということを意味します。“正”は、“一”に“止まる”と書きますよね。止まるという字は、もともと一歩一歩進んでいく足を表しています。そこに一本線を加えて、もうこれ以上はいけない、ということを表しているのが“正”の字なんです。頑張っても、もうこれ以上は進めない、ということを表すのが、“正しい”という字なんですね」

小山「でも、止まっている月、というと、12月みたいな印象がありますけど」

山口「一度、ぜんぶ正してしまった、ゼロの状態にした月ということです。だから本当は、1月というよりもゼロ月なんです」

そして、文豪たちのエピソードにも詳しい山口さん。もともと所有していたという、夏目漱石の年賀状のレプリカを見せてくださいました。

山口「“恭賀新年”と書かれていますが、これは、じつは名刺なんです。お正月に歩いて友達のところに行き、いない時は、これをドアに差し込んで帰って来ていたんです。今は初めて会った人に名刺を差し上げて、ということをしますが、明治時代は人が家にいなかった時に、置いていくために名刺を持ち歩いていたんです」

小山「なるほど」

山口「古いお墓に行くと、名刺入れのポストがあるのに気づきませんか? 入り口にポストのようなものがあって、名刺を入れる穴が空いているんです。そこに日付を書いて名刺を入れておくと、その人が来たことがわかる。年賀状もそれと同じで、昔は電話をかけて会いに行くということができませんから、フラフラ行って、いなかったら名刺に一言を添えて置いていたんですよ」
写真 宇賀「山口先生は、年賀状の価値というのはどんなところにあると思いますか?」

山口「大事にしたいものではありますよね。年末に年賀状のデザインを考えたり、イラストを描いてみたりするのも楽しいことですし。自分で手書きで書くということは、やっぱり残していきたいですね」

小山「書いている間って、その人のことを考えますもんね」

山口「そうですよね。1枚ずつ住所を書いて、裏に何か一言を書く。1枚1枚、大事にしていくといいな、と思いますね」
写真 そして、番組オリジナルの年賀状をどんなものにするか、まだ悩んでいる薫堂さんと宇賀さん。隙あらばアイデアを探しています。

宇賀「どうしましょうね、私たちの年賀状……」

小山「漱石の名刺スタイルもいいなと思いつつ……」

宇賀「先ほど、賀正の“賀”のお話がありましたけど、私の名字も“宇賀”で」

山口「宇宙の“宇”なので、宇賀は、お祝いがいっぱい、という意味ですね」

宇賀「そうなんですね。ハッピー! っていうことでいいですか?(笑)」

小山「もう、年賀状に“宇賀正”って書きますか?」
写真 写真 写真 山口さんは、“宇賀正”の文字も書いてくださいました!

小山「これは、宇賀さんの自分の年賀状にした方がいいんじゃないの?」

宇賀「そうします! 改めて、いい名前ですよね(笑)」

山口「おめでたいことが満ちている、という意味ですからね」

山口謠司さん、ありがとうございました!

そして、まだどんなデザインのものになるかは決まっていませんが、引き続き、SUNDAY’S POSTからの年賀状がほしい! という方は、下記の宛先まで、「年賀状希望」と明記してお手紙かはがきでご応募お願いします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM 「SUNDAY’S POST」】
たくさんのご応募お待ちしています!

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは<丸森郵便局>小野光明さんでした!

「台風19号で、丸森の町内の道路でかなりの箇所が崩れてしまったり、通れなくなったりしてしまい、配達に行けなくなりました。次の日、遠回りながらも行き、お客様に郵便を届けられた時、お客様のお家自体も被災しているのですが、それでも私たちが行くと『よく来てくれたね。わざわざ大変だったね、ありがとう』と言われて。逆に私たちも元気をもらっています。まだまだ被災して通れない道路もいっぱいあるのですが、一軒も多く配達できるように、日々頑張っています。」
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