野辺山宇宙電波観測所の所長 西村淳さんが登場!
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- 2025/08/24
野辺山宇宙電波観測所の所長 西村淳さんをお迎えして
今回はスタジオに、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の所長である西村淳(にしむらあつし)さんをお迎えしました。
宇賀「西村さんは大阪府のご出身。東京大学特任助教を経て、令和3年から国立天文台特任准教授、令和6年から観測所長。専門は電波望遠鏡の開発で、なかでも電波分光計開発においては国内第一人者。また、それらを使った星間ガスの探査も行われています」小山「初めて聞く言葉がいっぱい出てきました。何ですか? 電波分光計開発……」
西村「宇宙から来る電波は、いろんな種類の電波が混ざっているんですけど、簡単に言うとテレビのチャンネルを分けるみたいな、そういう装置ですね。分けると、いろんな宇宙の側面を調べることができて、そういうのを作ったりとか」
宇賀「電波望遠鏡というのが、それですか?」
西村「電波望遠鏡はいくつかの装置からできているんですけど、まず大きなアンテナがあって、それで電波を集めて。電波はとても弱いから強める受信機という装置もあるんですけど、最後にその強めた電波を分けて整理すると言いますか、調べやすくするのが分光計、というところです」小山「星を電波で見るわけですか?」
西村「星だったり、星じゃないものも見たりとか。宇宙には星以外にも、ガスとか塵というものが漂っていてですね。そういったものは電波が得意分野になっています」
小山「不思議。きっと西村さんは昔、星を見るのが好きだったわけですよね?」西村「それがそうでもないんです。僕は電波天文学者というジャンルになるんですけども、電波天文というのはどちらかというとアマチュア無線とか、それに似たようなメカメカしている世界で。機械が結構好きだったもので、それがどんどん発展して宇宙を調べて楽しいからということで、電波天文学者になったんですけど。天文学者の中でも光を使った天文学者の方は、小さい頃から星が好きだったよという方が多いんですけど、電波天文学者の人は僕みたいな装置とか機械が好きだ、という人が多くて。だから案外、星座とか知らなかったりとか」
宇賀「へー!」
西村「結構ね、だからがっかりされちゃうんですよ」
小山「あまり星空を見ることはないんですか?」
西村「きれいだなとは思います(笑)」
小山&宇賀「(笑)」
西村「だからリスナーのほとんどの皆さんと同じくらいの軽い気持ちで……」
小山「所長、大丈夫ですかそれで(笑)。でも、電波観測所ですからね。電波で星が見えるということが不思議ですよね」
宇賀「不思議ですよね」
小山「野辺山宇宙電波観測所は何県にあるんですか?」西村「長野県です」
小山「これまで大発見はあったんですか?」
西村「よくぞ聞いてくださいました! うちの観測所は40年以上の歴史があってですね。この40年間の中で最大の発見が何だったかというと、異論を挟む人はいないと思うんですけど、ブラックホールの発見です」宇賀「そんなに最近、発見されたものなんですか?」
西村「30年ほど前ですね。1990年前半にうちの大きなアンテナを使ってブラックホールだと思われる天体を見つけてですね、その前はブラックホールというのはおとぎ話というかSFの世界だったんですよ。それを現実の世界に引きずり込んだのが、野辺山観測所」
宇賀「ブラックホールはどのくらい遠いところにあるんですか?」
西村「その時見つかったブラックホールは2300万光年でした」
小山「2300万光年ということは、光が届くまでに2300万年かかるということですよね。そんなの観測どうやってするんですか?」
西村「観測はですね、望遠鏡を向けておけば自然と勝手にやって来てくれるのを、キャッチしてやるということですね。遠くなれば遠くなる程どんどん暗くなっていくんですよ。そういう遠い光を見つけようと思うと、とっても大きな望遠鏡を使ってたくさん集めてやらないと難しいということですね」小山「でも、その光が届くまでに2300万年かかっているわけですよね。今はもうなくなっている可能性もあるわけですよね」
西村「その可能性もあるけれど、2300万年というのは天文学の世界では、一瞬」
小山「一瞬!」
宇賀「不思議……。その大きな望遠鏡ってどのくらい大きいんですか?」西村「野辺山にある一番大きな望遠鏡は、45メートルです。マンションでいうと14階建てですね」
宇賀「今まで触れずに来たのですが、今日はどうしてその格好をされているんですか?」西村「赤い蝶ネクタイですよね、これは私のユニフォームのような感じで着させていただいています」
宇賀「普段からその格好なんですか?」
西村「外の方と相手をする時は、この格好の時が多いですね」
小山「コナン君のような出立ちで。これは何かきっかけがあったんですか?」西村「きっかけはもちろん、某映画が始まって、うちの野辺山の観測所が主な舞台になるということで」
宇賀「その映画というのが、今年の4月に公開されました『名探偵コナン 隻眼の残像』!」
小山「野辺山の施設が舞台なんですか?」
西村「すごくたくさん出てくることになりまして。この映画も大ヒットで」宇賀「コナンの映画ってすごいですよね、毎回」
小山「映画を見て天文台を見に来る方も増えたんですか?」
西村「もうめちゃくちゃ増えてます。去年に比べたら6倍、7倍に迫る勢いで」
小山「そんなに! それでそこの所長がまるでこんな感じだったら皆さん喜ぶんじゃないですか」
宇賀「夏休みになるとお子さんも多いですか?」
西村「夏休みになってからお子さんが急に増えてきて。やっぱり45メートルの望遠鏡がとっても大きいから、誰が見ても『おおー』となります。お父さんとかがはしゃいでいる感じがよく見かけます」小山「いろいろ学べるような施設もあるんですか?」
西村「所内にアンテナの実物も見てもらえるようになっていますし、天文学の解説のパネルなんかも置いてあって、一通りいろいろ知ってもらうことができるようになっています」
小山「自由研究にぴったりですね」
宇賀「そしてここで、嬉しいお知らせがあります。来週の土曜日、8月30日に、我らがポストカーが国立天文台野辺山宇宙電波観測所にお邪魔することになりました!」西村「8月30日に、年に一度の特別公開日をやっておりまして。普段から自由に見学できるので一般公開とは言っていないんですけど、その日は普段触れない45メートルのアンテナに触ることができたりだとか、コナン君の映画でも黄色い列車が出て来て活躍するんですけども、今は普段使っていなくて動かしていないんですけど、この日は動かして皆さんに見ていただけたりとか。そういった天文台の年に一度の総力を上げたイベントに、今年は郵便局さんからもポストカーを出動していただけるとうかがっております」
宇賀「ポストカーでは、電波望遠鏡と一緒に撮った写真をポストカードにして、お手紙を書くことができるということです。また、ここで出されたお手紙にはポストカーと国立天文台がデザインされた 特別な消印が押されます。時間は、9時30分から午後4時まで。詳細は、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の公式ホームページをご覧ください。混雑が予想されますので、時間に余裕を持ってお越しください」
小山「ぜひ皆さん行かれたら、コナン君を探してみてください」
宇賀「ぜひ、コナン君とも写真を撮ってください」
西村「私は当日、うろちょろしていると思います。ぜひ声をかけていただければ」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、西村さんは大阪ご出身ということですが、どういうところで手紙が書きたいと思いますか?」西村「海外に出張でイギリスのオックスフォードに行ったことがあって、歴史的な建物がいっぱいあって、お土産物屋さんにポストカードがあってですね、つい買って手紙を書いちゃいましたね」
宇賀「やっぱり旅先とか異国の地に行くと書きたくなりますよね。今日は西村さんに、『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」
西村「ベタなんですけど、妻に書いてきました」
西村さんから奥様へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。 (*8月31日まで聴取可能)
宇賀「今日の放送を聞いて、西村さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 西村淳さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
西村淳さん、ありがとうございました!
国立天文台野辺山宇宙電波観測所 ホームページ
ポストカーは8月30日(土)、31日(日)に長野市内で開催される「ナガノカルチャーフェスタ」の31日の部にも参加します。詳細は、ザ ローカル ナガノの公式インスタグラムをご覧ください。お近くの方はぜひ、お気軽に遊びに来てください。ザ ローカル ナガノ公式インスタグラム
今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。
「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆「文風」をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
池田畑郵便局のみなさん
今回のメッセージは、大阪府〈池田畑郵便局〉坂田 博さんでした!
「大阪府の北部にある人口約10万人の池田市には、入園料が無料の動物園があります。その動物園で一番の人気者が、ウォンバットです。池田市内の郵便局すべてに、ウォンバットがデザインされた風景印を用意しています。お客様との交流の中で、日本の切手と手紙が取り持つ、心のあたたかさを実感する出来事がありました。そのお客様は東京にお住まいで、ご趣味の風景印の収集を郵便でご依頼いただきました。通常であれば、風景印を押してお返しするだけなのですが、『ありがとうございます』のメッセージとあわせて『この近くにも、こういった風景印を取り揃えた郵便局がありますよ』という一覧表を同封して送りました。それをお客様がとても感激してくださって、『こんな切手を集めているのですが、よかったら受け取ってください』と、いくつかのコレクションを送っていただいたことがありました。私のことを思って送ってくださった気持ちがとても嬉しく、感激しました。」
※出演した郵便局、及び郵便局員宛ての手紙はいただいてもお返事できない場合がございます。あらかじめご了承ください。
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
SUNDAY'S POST宛








