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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
読むと、送り主のことがもっと知りたくなってきます。
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民俗学者の島村恭則さんが登場 「民俗学」とは?

  • ON AIR
  • 2025/10/12

民俗学者の島村恭則さんをお迎えして

写真 今回はスタジオに、民俗学者の島村恭則さんをお迎えしました。
写真 写真 島村さんは1967年東京都生まれ。関西学院大学社会学部教授、世界民俗学研究センター長。専門は現代民俗学、民俗学理論、ヴァナキュラー文化研究。著書に『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』、『現代民俗学入門』などがあります。先月、辰巳出版から『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』が発売になりました。

宇賀「民俗学ってそもそも何なんだろう、と。社会学とか歴史学とはまた違うんですよね」

島村「いちばん私たちの生活に身近なものですよね。民というのは人々の意味ですよね。俗というのは、人間のいちばん本音の部分。生活のいちばん身近な部分を俗と言っていて、そういうみんなの俗を研究するのが民俗学です」
写真 写真 宇賀「島村さんの著書『現代民俗学入門』からお話をうかがいたいのですが、たとえば……どうしていただきますと言うのか? いただきますと言えば、薫堂さん」

小山「『いただきます』のいただきは、頂点のいただきですよね、きっと。それが天皇陛下の余った御食事を我々はいただいているんだということで、いただきますと手をあわせている……という説がありますよね」
写真 写真 島村「ありがたいものとか大事なものって、頭よりも上に持っていくわけです。これがいただく、山の頂と同じですよね。ごはんをいただきますも、感謝をしていてありがたいものだと上に持っていく。香川県の高松には行商の魚屋さんがいまして。自転車を改造したリヤカーみたいなものがくっついていて、そこに魚を載せて今でも街の中で売って歩いているんです。この人たちのことを“いただきさん”と言うんですよ。今から50年くらい前までは、頭の上のたらいに魚を入れて、頭上運搬で売りに来ていた。頭の上に載せることが、いただき。小山さんは、『おくりびと』の脚本を書かれていますよね」

小山「はい」

島村「あの中に、いしぶみが出てきて、最後に主人公のお父さんが亡くなった時に石を持って来て、それを主人公の妊娠している奥さんのお腹にあてるじゃないですか。あれがものすごく民俗学的なんです」

小山「僕も民俗学を意識して書きました」

宇賀「(笑)」

小山「嘘ですよ(笑)。どういうところが民俗学的なんですか?」
写真 島村「石というのは、魂が宿るんです。この石というのは亡くなった人の魂もそこに入って、そしてその石を赤ちゃんのそばに置いておくとか、あるいは妊婦さんが持つと。そこに入っていくという信仰があるんです。なので、あれは明らかにあのお父さんの霊魂が孫に入っていくということ。そして、その直後に『湯道』も観たんです。最初に民俗学から始まっていて」

小山「産湯ですか?」

島村「産湯の場合はあの水にですね、霊魂が宿っているんです。民俗学の研究成果では、最初に洗うというのもあるんですけど、あれは新生児に霊魂を宿らせる、つまり異界からパワーとか霊力、霊魂が流れてくるわけですよ、上流から。これを宿らせることで初めて人間として動き出しますということで、水に入っている霊魂を宿らせる行為が産湯なんです。だから『おくりびと』の最後と『湯道』の最初は、何でこんなに民俗学のセオリーが来るかな、と」
写真 写真 宇賀「学生さんや若い世代の方に民俗学を学ぶ価値というのをどうやって伝えていらっしゃいますか?」
写真 写真 島村「今、民俗学はSNSの世界で若い世代の人がすごい興味を持ってくれているんですよ。私の本も結構売れたりして。これはなぜかというと、完璧な異文化になっているんですよね。もっと上の世代だったら自分たちの生活の中に何となくあったよねというものなのですが、若者にとっては『日本の中にこんなものあるんですか?』みたいな異文化で、それを楽しむみたいになっている。これはこれで入り口としていいんですけど、それが民俗学ですよとなった時に、民俗学の考え方とかやり方というのが、“回遊”と私は名づけているのですが、民俗学者は回遊する生き物なんですよ。たとえば宮本常一という有名な民俗学者がいたのですが、あの人は地球4週分日本列島を歩いたんですね。とにかく1年中旅をして回遊しているんです。私も40何年間民俗学をやってきて、かなり歩き回っている。そうすると一箇所に留まって何かを詳しく突き詰めるのも大事なんですけど、煮詰まって来ますよね。なので、回遊することによってひらけてくるものがあるので、民俗学イコール回遊性のある学問だ、ということは授業で言っていますね」
写真 宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、島村さんはどこかお手紙が書きたくなるような場所はありますか?」
写真 島村「宮古島の空き家。1989年、まだ22歳の時だったのですが、大学4年生の夏にですね、3ヶ月半、宮古島に空き家を借りて住み込んでいたんです。民俗学の調査なんですね。宮古島はいろいろ古い文化が残っていたところなので、そこに住み込んで神様のお祭りとか神話、伝説を調べていたんですね。その時に、万年筆で書いてはがきとかをいろんな人に出していたんです。もう1回あそこで手紙を書いたらいいんじゃないかなと思い出しました」

宇賀「今日は島村さんに、『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」

島村「大学4年生の時のゼミの先生です」

宇賀「お名前は?」

島村「野口元大先生と言います。2016年に87歳で亡くなっているんですけども、この先生に今さらながら出したい手紙があるんです」
写真 島村さんから先生に宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
*10月19日まで聴取可能

宇賀「今日の放送を聞いて、島村さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 島村恭則さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」

島村恭則さん、ありがとうございました!
写真 今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。

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皆さんからのお手紙、お待ちしています

写真 毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆「文風」をプレゼントします。
引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
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今週の後クレ

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新発田住吉郵便局のみなさん


今回のメッセージは、新潟県〈新発田住吉郵便局〉佐藤 美紀さんでした!

「新発田市には全国的に有名な月岡温泉があり、国内外から多くの観光客が訪れ、とても賑わっています。私は小学校の頃に父の転勤で転校を経験しました。そのとき友人と文通をしていたのですが、便箋にこだわったり、余白に絵を描いたり、シールを貼ったりして、とにかくその時間が楽しかったのを覚えています。慣れない生活の中で、文通は心の支えであり宝物のような存在でした。大切な人を思いながら文字を書くことで、自分自身を表現できることに気づいたり、相手に気持ちが届くことを実感したりと、子どもながらに学びの多い時間でした。その手紙は今も大切に保管してあり、見返すたびに『あの時頑張れたから、今も頑張ろう』と前向きな気持ちになります。」

※出演した郵便局、及び郵便局員宛ての手紙はいただいてもお返事できない場合がございます。あらかじめご了承ください。
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