片野秀樹さんから「休養学」を学ぶ!
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- 2025/11/30
日本リカバリー協会代表理事 片野秀樹さんをお迎えして
今回はスタジオに、日本リカバリー協会代表理事で、著書に『休養学』がある片野秀樹さんをお迎えしました。
宇賀「片野さんは神奈川県出身の医学博士。日本リカバリー協会代表理事。疲労科学・休養マネジメントを専門とし、休養の7タイプを体系化した研究などをされています。著書『休養学』は16万部を超えるベストセラーに。企業の働き方改革やスポーツ現場のコンディショニングにも携わっていらっしゃいます。
そもそも疲れって何なんですか? どうして私たちは疲れるんですか?」
片野「皆さん普段、『疲れる』という言葉を口にしますよね。ただ、よくわかっていないで使っていらっしゃるんですよね。疲れにはしっかりと定義があるんです。これは疲労の定義なんですけど、疲労とは過度の肉体的・精神的活動のあとの活動能力が減退している状態、つまり低下している状態というのが疲労というものの定義となります」
小山「肉体的と精神的、2つあるんですね」
片野「そうですね。たとえば体を動かすと、体の動きがだんだん鈍くなりますよね。あるいは頭を使ったお仕事を続けていると、頭のはたらきがだんだん緩慢になったりしますよね。これがまさに『疲労』という状態です。ただ、ちょっと皆さんが勘違いしがちなのが、『疲労が溜まった』、『疲労が取れない』という言い方をしますよね。これは状態なので、溜まったり取れないということはないんです。疲労が出てきている時には、疲労感、というものが出てくるんですね。この疲労感と疲労を皆さん一緒にしてしまうんですけど、実はこれは別のものなんですね。この疲労感を感じた時に、体がアラートを出しているということなんですね」
小山「つまり、運動をした時に疲れたのは、動いたから疲れた。でも、精神的や何か心配事があった時に体がアラートを出すということなんですか?」
片野「そうですね、肉体的な活動も精神的な活動も、活動すると活動能力が下がるんですね。この時に、『危険だよ、これ以上続けるとダメだよ』『そろそろ注意してね』という信号がまさに疲労感というアラートなんですね」
宇賀「そのアラートが取れない、なくならない状態を『疲れが取れない』と言っているわけですか?」
片野「おっしゃる通り、そういうことなんですね」
小山「その時に『休養学』というものが役に立つんですね。でもなかなか、昭和的な考えだと『根性がない』とか『休んだら怒られる』とか、そういうイメージが強いですけど、スペインなんかに行くとみんなシエスタで休んでいますよね。国民性もあるんですか?」
片野「ありますね。日本人の特徴は私は2つあると思っていまして。1つはですね、働くことの美徳感が非常に強いということですね。あと、もう1つは全体主義ということ。周りの目を気にしてしまうということ、この2つが日本人の特徴としてあるのかなと思います。ただ、休まないとしっかりと活動ができないと思っていただいた方がいいと思うので、私がよくお話しするのは、土曜日と日曜日があるのを権利だと思わないでください、と。これは義務だと思ってください、とお話をするんですね。それは次のアクションのためにその休みを自分自身で使って、そこでしっかりと元気を取り戻して、そして次の仕事をしっかり行う義務なんだと思っていただけると、ちょっと休み方も変わってくるかなと思います」
小山「先生は7タイプに休養を分類されていると聞きました」
片野「まず休養を大きく3つに分けているんですね。生理的な休養、心理的な休養、社会的な休養。生理的な休養をさらに3つに分けています。休息タイプ、運動タイプ、栄養タイプ。心理的な休養をさらに3つに分けまして、親交タイプ、娯楽タイプ、造形・想像タイプ。最後の社会的休養は転換タイプと、7つに分けていまして。上手に組み合わせて取っていただくことによって、上手に疲労回復を促すということが皆さんにぜひ知っておいていただきたい、というのが休養学になります」
小山「お風呂に入っているのも休息ですか?」
片野「体を安静にするというのが休息なので、昼寝をするであるとか動かさないで座っていらっしゃる、休憩を取るというのが休息なんですね。運動タイプは激しい運動をするわけではなくて、血液の流れをしっかりと作ってくださいね、というのが運動タイプなんですね。血液を回すことが、疲労回復を早期に行うということでは大切なんですけれども、それをやるために体を軽く動かさないといけないんですね。お風呂もどちらかというと血液の循環を促すので、運動タイプに入れています」
小山「へえ! 栄養タイプはわかりやすいですね」
片野「この栄養はですね……」
小山「ごはんを食べるだけじゃないんですね」
片野「そうですね。疲れた時に精のつくものを食べよう、たくさん食べようと思いがちなんですが、そうではなくて。胃腸をどう休ませるかを意識しているんですね。時には取らない、あるいは腹八分目を意識して、体の中をいかに休ませるかを意識するということですね」
小山「どうしても、おいしいものをゆっくり食べようかとなりますけど、腸を休養させているわけではないですもんね」
片野「たくさん食べてしまうとどうしてもエネルギーを取られてしまうので、少しゆっくり、軽くお食事をすることを意識していただきたいですね」
片野さんには他の休養タイプについても詳しくお話しいただきました。詳しくはぜひradikoでお聞きください。
(*12月7日まで聴取可能)
宇賀「手紙を書く、というのも休養になったりするんですか?」
片野「とてもいいと思います。7タイプを上手に組み合わせてたくさん取るというのが大切なんです。たとえば、ご旅行に行かれました。旅行に行って街を散策するというのは、転換タイプと、運動タイプが同時に取れるわけですよね。さらにそこでお手紙を書くなんていう行為があれば、自分自身でその方を思い浮かべながら、ある意味では造形・想像といったものを取りながら、より積極的に休養が取れる。私たちはこれを“攻めの休養”と呼んでいます」
小山「攻めの休養! 手紙を書くのは親交タイプにも繋がりそうですね」
片野「おっしゃる通りですね。それがさらに上乗せできますね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、片野さんはお手紙が書きたくなるような場所というと、どこか思い浮かぶところはありますか?」
片野「田舎に住んでいるんですけれども、近くに富士山が見えるようなところで、富士五湖のほとりにファミリーレストランがありまして。そこでコーヒーを飲みながらホッとした時に手紙を書きたい、という気持ちにはなります」
宇賀「今日は『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」
片野「私の友人に宛てた手紙です」
片野さんから、“友人”へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
(*12月7日まで聴取可能)
宇賀「今日の放送を聞いて、片野さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 片野秀樹さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
片野秀樹さん、ありがとうございました!
片野さんの著書『休養学』(東洋経済新報社)もぜひお手に取ってみてください。
休養学
今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。
「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
そもそも疲れって何なんですか? どうして私たちは疲れるんですか?」
片野「皆さん普段、『疲れる』という言葉を口にしますよね。ただ、よくわかっていないで使っていらっしゃるんですよね。疲れにはしっかりと定義があるんです。これは疲労の定義なんですけど、疲労とは過度の肉体的・精神的活動のあとの活動能力が減退している状態、つまり低下している状態というのが疲労というものの定義となります」小山「肉体的と精神的、2つあるんですね」
片野「そうですね。たとえば体を動かすと、体の動きがだんだん鈍くなりますよね。あるいは頭を使ったお仕事を続けていると、頭のはたらきがだんだん緩慢になったりしますよね。これがまさに『疲労』という状態です。ただ、ちょっと皆さんが勘違いしがちなのが、『疲労が溜まった』、『疲労が取れない』という言い方をしますよね。これは状態なので、溜まったり取れないということはないんです。疲労が出てきている時には、疲労感、というものが出てくるんですね。この疲労感と疲労を皆さん一緒にしてしまうんですけど、実はこれは別のものなんですね。この疲労感を感じた時に、体がアラートを出しているということなんですね」
小山「つまり、運動をした時に疲れたのは、動いたから疲れた。でも、精神的や何か心配事があった時に体がアラートを出すということなんですか?」
片野「そうですね、肉体的な活動も精神的な活動も、活動すると活動能力が下がるんですね。この時に、『危険だよ、これ以上続けるとダメだよ』『そろそろ注意してね』という信号がまさに疲労感というアラートなんですね」宇賀「そのアラートが取れない、なくならない状態を『疲れが取れない』と言っているわけですか?」
片野「おっしゃる通り、そういうことなんですね」
小山「その時に『休養学』というものが役に立つんですね。でもなかなか、昭和的な考えだと『根性がない』とか『休んだら怒られる』とか、そういうイメージが強いですけど、スペインなんかに行くとみんなシエスタで休んでいますよね。国民性もあるんですか?」片野「ありますね。日本人の特徴は私は2つあると思っていまして。1つはですね、働くことの美徳感が非常に強いということですね。あと、もう1つは全体主義ということ。周りの目を気にしてしまうということ、この2つが日本人の特徴としてあるのかなと思います。ただ、休まないとしっかりと活動ができないと思っていただいた方がいいと思うので、私がよくお話しするのは、土曜日と日曜日があるのを権利だと思わないでください、と。これは義務だと思ってください、とお話をするんですね。それは次のアクションのためにその休みを自分自身で使って、そこでしっかりと元気を取り戻して、そして次の仕事をしっかり行う義務なんだと思っていただけると、ちょっと休み方も変わってくるかなと思います」
小山「先生は7タイプに休養を分類されていると聞きました」片野「まず休養を大きく3つに分けているんですね。生理的な休養、心理的な休養、社会的な休養。生理的な休養をさらに3つに分けています。休息タイプ、運動タイプ、栄養タイプ。心理的な休養をさらに3つに分けまして、親交タイプ、娯楽タイプ、造形・想像タイプ。最後の社会的休養は転換タイプと、7つに分けていまして。上手に組み合わせて取っていただくことによって、上手に疲労回復を促すということが皆さんにぜひ知っておいていただきたい、というのが休養学になります」
小山「お風呂に入っているのも休息ですか?」
片野「体を安静にするというのが休息なので、昼寝をするであるとか動かさないで座っていらっしゃる、休憩を取るというのが休息なんですね。運動タイプは激しい運動をするわけではなくて、血液の流れをしっかりと作ってくださいね、というのが運動タイプなんですね。血液を回すことが、疲労回復を早期に行うということでは大切なんですけれども、それをやるために体を軽く動かさないといけないんですね。お風呂もどちらかというと血液の循環を促すので、運動タイプに入れています」小山「へえ! 栄養タイプはわかりやすいですね」
片野「この栄養はですね……」
小山「ごはんを食べるだけじゃないんですね」
片野「そうですね。疲れた時に精のつくものを食べよう、たくさん食べようと思いがちなんですが、そうではなくて。胃腸をどう休ませるかを意識しているんですね。時には取らない、あるいは腹八分目を意識して、体の中をいかに休ませるかを意識するということですね」小山「どうしても、おいしいものをゆっくり食べようかとなりますけど、腸を休養させているわけではないですもんね」
片野「たくさん食べてしまうとどうしてもエネルギーを取られてしまうので、少しゆっくり、軽くお食事をすることを意識していただきたいですね」
片野さんには他の休養タイプについても詳しくお話しいただきました。詳しくはぜひradikoでお聞きください。
(*12月7日まで聴取可能)
宇賀「手紙を書く、というのも休養になったりするんですか?」片野「とてもいいと思います。7タイプを上手に組み合わせてたくさん取るというのが大切なんです。たとえば、ご旅行に行かれました。旅行に行って街を散策するというのは、転換タイプと、運動タイプが同時に取れるわけですよね。さらにそこでお手紙を書くなんていう行為があれば、自分自身でその方を思い浮かべながら、ある意味では造形・想像といったものを取りながら、より積極的に休養が取れる。私たちはこれを“攻めの休養”と呼んでいます」
小山「攻めの休養! 手紙を書くのは親交タイプにも繋がりそうですね」
片野「おっしゃる通りですね。それがさらに上乗せできますね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、片野さんはお手紙が書きたくなるような場所というと、どこか思い浮かぶところはありますか?」片野「田舎に住んでいるんですけれども、近くに富士山が見えるようなところで、富士五湖のほとりにファミリーレストランがありまして。そこでコーヒーを飲みながらホッとした時に手紙を書きたい、という気持ちにはなります」
宇賀「今日は『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」
片野「私の友人に宛てた手紙です」
片野さんから、“友人”へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。(*12月7日まで聴取可能)
宇賀「今日の放送を聞いて、片野さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 片野秀樹さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
片野秀樹さん、ありがとうございました!片野さんの著書『休養学』(東洋経済新報社)もぜひお手に取ってみてください。
休養学
今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。
「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
ポストカー冬のイベント出店のお知らせ
12月5日(金)から12月7日(日)の3日間、大阪府吹田市の万博記念公園・東の広場で開催される「関西蚤の市’25」にポストカーが登場します。ポストカーブースは会場中央になる予定です。会場では、雪が降った冬仕様の限定ポストカードでお手紙が書けます。さらに、会場では東京蚤の市で大きな反響があった「こむぎフェス」を開催! パンに焼き菓子、様々な小麦をお楽しみいただけます。また、各国のあらゆるジャンルの麺を生み出すスペシャリストが集結した「めんめん横丁」にも注目です!
ポストカーの参加費は無料ですが、関西蚤の市は入場料がかかります。詳しくは公式ホームページをご覧ください。
関西蚤の市 公式ホームページ
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆「文風」をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
岩美大谷郵便局のみなさん
今回のメッセージは、鳥取県〈岩美大谷郵便局〉平家 千春さんでした!
「長男からもらった、似顔絵付きの手紙が心に残っています。長男が親戚の子どもたちと一緒におばあちゃんの家に泊まる際に書いてくれたもので、『今日おばあちゃんの家に泊まります。でも、お母さんよりおばあちゃんの方がいいというわけではなく、兄弟たちが心配で行くことになりました。安心して悲しんだりせずに、一日過ごしてください』というメッセージが添えられており、とても嬉しかったです。さらに、手紙の裏には自分の似顔絵も描かれていて、寂しくないように自分の代わりとして顔を描いてくれたのだろうと思いました。人のことを気遣える、優しい子だなと感じました。私自身も小さい頃から話すことが苦手で、家族や友人に自分の思いを上手に伝えられませんでした。特に感謝の気持ちは恥ずかしくて、手紙にして伝えることが多かったです。長男が自分のことを考えながら書いてくれたのだと思うと、どんなに短いメッセージでも、とても幸せな気持ちになります。」
※出演した郵便局、及び郵便局員宛ての手紙はいただいてもお返事できない場合がございます。あらかじめご了承ください。
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
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