22.06.21
運営会社に賠償を命じる判決が出た「食べログ」をめぐる裁判

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!
『運営会社に賠償を命じる判決が出た「食べログ」をめぐる裁判』
吉田:飲食店情報サイト『食べログ』で、焼肉チェーン『KollaBo』を運営する『韓流村』が不当に評点を下げられて客が激減したとして、食べログ側に6億円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、およそ3840万円の賠償を命じました。
神庭さん、この裁判はどのような内容だったのでしょうか?
神庭さん:報道によると韓流村は食べログのアルゴリズム(お店の点数を算出する評価ルール)が2019年の5月に変更されて、運営している約20店舗で平均0.2ポイント、最大で0.45ポイント下落したと主張しているんですね。これによって毎月約5800人お客さんが減って、売り上げも月およそ2500万円落ちてしまったということで、損害賠償などを求めました。韓流村は、食べログのアルゴリズム変更でチェーン店が一斉に減点されたとして、独占禁止法が禁じる『差別的な取り扱い』、『優越的な地位の濫用』にあたると訴えていたんですね。
ユージ:『優越的な地位の濫用』というのは、どういったことなのでしょうか?
神庭さん:ちょっと難しい言葉ですけれども、優位な立場にある当事者がその地位を利用して取引先に不利益を与えることです。不公正な取引として独禁法で禁止されているんですね。この「優越的地位の濫用にあたるかどうか?」というのが、裁判の最大の争点になりました。朝日新聞によると、食べログを運営するカカクコムは当初、そもそも点数をつける行為は、独禁法の適用対象となる“取引に当たらない”と反論していました。そこで裁判所が公正取引委員会に意見を求めたところ、公取委はお店に点数をつけることも“取引にあたる”という意見書を出したんですね。ここでひとつ、裁判の潮目が変わりました。ただ、取引であるだけではダメで“優越的と言えるかどうか”も重要なポイントになります。食べログからすると、「いや他にもグルメサイトってあるよね?」という話で、『Googleマップ』とか、『ホットペッパー』、『ぐるなび』とか色々ある中で、お店側が「だったら、よそに乗り換えるよ!」と言えるなら、優越的な地位にあたるかどうかというのは、微妙になってきますよね。
ユージ:確かにそう言われてみたらそうですよね。載せるのをやめればいいということですね?
神庭さん:そう言えるかどうかということなんですけれども、ただ現実には、食べログは最大手でそこからの集客にお店は大きく依存していると…。東京地裁の判決は、減点による韓流村の経営への影響を認めて、今回のアルゴリズム変更が「優越的な地位の濫用にあたる」というふうに結論付けました。カカクコムの独禁法違反を認め、3840万円の支払いを命じたんですね。カカクコムはこれに対して、不当な判決だということで、即日控訴しています。
吉田:神庭さんご自身は、今回の裁判の結果、どのように見ていますか?
神庭さん:グルメサイトの在り方について一石を投じる判決だなというふうに思いますね。公取委の調査によると、飲食店のポータルサイトの加盟店の約11%が「サイト側から一方的な契約内容の変更を受けたことがある」と回答しました。そのうち約69%が「一方的な契約で不利益を受けたことがある」と答えているんですね。それでも“公平公正なジャッジ”で、いい飲食店とダメな店を選り分けてくれるんだったら、ある意味、消費者のためになるわけですけれども、実際には高いお金を払った飲食店ほど検索上位に表示されるといったことが横行しているわけなんですよね。なぜそういうことがまかり通ってしまうかというと、アルゴリズムがブラックボックスになっていて外側から検証不能だからなんです。今回の裁判では、裁判所と原告に対してアルゴリズム変更の概要が開示されたんですね。企業秘密ということで第三者には公開されなかったんですけれども、一部でも開示されたことは画期的で大きな前進だなと思います。そして、この事というのは、グルメサイトだけではなくて、ネット全体に大きな影響があるというふうに考えられます。
ユージ:グルメサイトにとどまらないというのは、例えばどういうことですか?
神庭さん:『Google』にしてもですね、『Amazon』にしても、アルゴリズムは秘中の秘であって公開していないわけですよ。なぜかというと、一部でも公開しようものなら、その情報をヒントにしてアルゴリズムを攻略・ハックしてですね、検索とかランキングの上位を狙ってくる輩が必ず出てくるんですね。ただし、ITプラットフォームが社会のインフラとして根付いてくる中で、「今まで通り完全にブラックボックスでいいのか?」、「正しくランク付けができているのか?」という議論は当然出てくると思うんですね。僕も4年ほど前に取材したことがあるんですけれども、Amazonではかつて、偽レビューを量産して高評価を偽装するような行為が横行していました。旧フェイスブックの『メタ』でもですね、2018年に怒りや分断を煽るようなアルゴリズム変更を行って、誤情報が拡散されやすくなったことで批判を集めたんですよね。なので、アルゴリズム性善説は危険ですし、アルゴリズムは全然万能ではないんです。どんな変数・パラメーターを重視するかというのをインプットするのは人間なんですよね。なので、アルゴリズムを監視するアルゴリズムが必要なんじゃないかなというふうに僕は思います。日本でもですね、去年、『デジタルプラットフォーム取引透明化法』というのが施行されたんですけれども、ヨーロッパに比べるとプラットフォーマーへの規制はまだまだ弱いんですよね。なので、今後、法規制のさらなる強化も検討していく必要があるのかなというふうに思います。
ユージ:いやぁ、これは結構、思ってた以上に、なるほど!と思うことがいっぱいありました。アルゴリズムを公開しちゃうと、そのアルゴリズムにうまく乗っかったかたちで上位に出る方法を見つけちゃおう!みたいなね…。
神庭さん:そこのイタチごっこの難しさはあるんですよね。
ユージ:ほんとですね…、これはまだまだ課題がいっぱいありそうですね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 21, 2022
「運営会社に賠償を命じる判決が出た【食べログ】をめぐる裁判」について
東京地裁は16日、約3840万円の賠償を命じました。
これはアルゴリズムに関するルールが食べログ側によって変更されたことに対して、
不満を持ったお店が訴訟を起こしたと。
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 21, 2022
アルゴリズムは食べログに関わらず、SNSなどでも活用されています。
どういったアリゴリズムかを開示してしまうと、
その仕組みにつけ込むような作戦がたてられてしまい、
本来伝えたい情報を伝えられなくなってしまいます。
#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 21, 2022
番組内で、口コミについて皆さんからの意見を頂きました。
正直なレビューは重要ですが、誹謗中傷になるようなことは避けて
言葉の伝え方に僕も気をつけようと思いました。#ワンモ