22.06.20
止まらない円安
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
止まらない円安
吉田:円相場は先週の13日に、一時1ドル135円台前半まで値下がりし、およそ24年ぶりとなる円安水準となりました。石油や穀物の資源高もあり、さらに円安が進むことへの懸念の声もあがっていて、今回の参院選の争点にもなりそうなんですが…。
今朝は、この円安はどこまで進むのか?私たちの生活への影響も含め、この止まらない円安について神庭さんに解説していただきます。
神庭さん:番組でも何度か「悪い円安」の話をしてきましたが、ガソリン代、電気代、食料品などのインフレに加えて、円安のダブルパンチでさらに生活が圧迫されるおそれがあります。
先日も、新潟の遊園地で年間の電気代が1820万円から3580万円に倍増するとして、Twitterに「やばい 大ピンチです」と投稿して話題になりました。今後は、こういった話がそこかしこで聞かれるようになっていくのかもしれませんね。
ユージ:そもそも、円安はなぜ起こっているのか?改めて説明してもらえますか。
神庭さん:大きな原因の一つが、日米の金利差の拡大なんですね。アメリカの中央銀行にあたるFRBは15日、27年ぶりに政策金利を0.75%引き上げ、金利の誘導目標を1.5~1.75%としました。今後さらに数回利上げをし、年末には3.4%まで上昇すると見込まれています。
一方、日銀は金融政策決定会合で、超低金利を維持する大規模な金融緩和の継続を決めました。投資マネーは運用益を最大化するため、金利が高い方へ高い方へと向かいます。なので、日米の金利差が拡大したことを受け、円を売ってドルを買う動きが広がったんですね。
吉田:「金融緩和」と「金利差」なかなか難しいですが、どうして日本と欧米でスタンスに違いが出てきたのか、わかりやすく教えてください。
神庭さん:「金融緩和」金利を下げるというのは、蛇口を緩めるようなもので、マネーがじゃぶじゃぶと市場に供給されます。そうすると、通貨の価値が下がって物価が上がるんですね。
もともと日本は、モノの価値が下がるデフレを脱却するために、2013年から2%の物価目標を掲げて、市場にマネーを注ぎ込む「金融緩和政策」をとってきました。このアベノミクスによって株価は上がったものの、物価の方はなかなか上がらずに、安倍政権以降も緩和路線が維持されてきました。そこへコロナが襲って、低迷する経済を立て直すために、さらに緩和へと舵を切りました。海外の他の国々も事情は一緒で、各国が“対コロナ”ということで、ゼロ金利やマイナス金利に踏み出したんですね。
ユージ:なるほど。ということは、そこまでは各国共通だったわけですね。
神庭さん:おっしゃる通りなんです。その段階では緊急対応として妥当な判断だったと思いますし、実際それで株価も急回復しました。ところが、インフレが加速してきて、ちょっと話が変わってきました。ウクライナ危機による資源高・食糧高もあいまって、「インフレ退治」が急務となり、アメリカは急速な利上げに動き出しました。利上げというのは利下げの逆ですので、蛇口を締めてマネーの供給を減らしていくことです。アメリカ以外でも、欧州中央銀行が量的緩和の終了と11年ぶりの利上げを発表しましたし、スイス国立銀行も15年ぶりの利上げに踏み切りました。
ユージ:そう聞くと、日本も金利を上げればいいのでは?と思ってしまうのですが…。
神庭さん:そう思いますよね。でも、実は利上げには副作用があって、インフレ退治には有効なんですけれど、景気を冷やすことにもつながってしまうんですね。
日銀の黒田総裁は17日の会見で「金利を上げる、あるいは金融を引き締めると、さらに景気に下押し圧力を加えることになる」と話しました。金利を下げれば円安、上げれば景気後退で、「行くも地獄、退くも地獄」な金縛り状態になっているんです。
ユージ:「為替介入」という言葉もよく耳にしますが、為替介入はできないんでしょうか?
神庭さん:これもなかなか難しくて、黒田さんは最初「円安は日本経済にプラスだ」と言っていたんですが、最近では「急速な円安は経済にマイナスであり、望ましくない」と述べるなど、発言のトーンを徐々に変えてきています。先日、財務省・金融庁・日銀が出した声明にも「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」と踏み込んだ言葉が使われています。が、これは「口先介入」と言われているもので、実際の効果は乏しいですし、実際に為替介入するとしても、日本単独では効果が薄いと言われています。かといって、アメリカを巻き込んで協調介入ができるかと言うと、それも難しいんですね。アメリカもインフレに苦しんでいますので、「強いドル」が維持されている方が都合がいいんです。中間選挙を前に、わざわざ日本のために自国内のインフレが加速するような、ドル売り円買いの介入を容認するメリットがないんです。
吉田:神庭さんのお話を聞いていると、なかなか円安の流れは止まりそうにないようにも思えるんですが…。この円安はいったいどこまで進むんでしょうか?
神庭さん:140円台も視野に入っているという人もいれば、150円までいくのでは?という人もいます。欧米でインフレ解消のメドがたって、金利が引き下げに向かうか、あるいは日銀が耐えきれなくなって、金利を上げる、緩和をやめる…といった金利差を縮める動きが出てこない限り、当面は円安基調が続くのではないかと思います。黒田さんは来年4月で退任ですが、それまでに大規模緩和の出口戦略に道筋をつけていってほしいなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 20, 2022
テーマは「止まらない円安」
海外から輸入する際にはコストがかかります。
食料品の値上げ等の影響があるなか、今回の円安によって、
これまで海外製品に頼っていたことに改めて気づきました。
ただポジティブにいえば、国内需要が高まるともいえます。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 20, 2022
続いていく円安のなかで、ポジティブな考え方のひとつとして、
“今までが安かったのかな”という考え方も持つべきなのかもしれません。
円安はこれからも向き合っていかなければならない課題ではありますが、
少し割り切って考えていく必要もあるのかなと僕は思いました。#ワンモ