network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.05.23

日米首脳会談を読み解く3つのキーワード
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【日米首脳会談を読み解く3つのキーワード】

ユージ:就任後、初の来日となったアメリカのバイデン大統領は、今日、岸田総理と日米首脳会談を行います。対面で、なおかつ長時間の日米首脳会談は初めてということで注目されています。そこで今朝は、「日米首脳会談を読み解く3つのキーワード」というテーマで、神庭さんに今日行われる日米首脳会談の注目ポイントをわかりやすく解説してもらいます。


村田:まず1つ目のキーワードからお願いします。


神庭さん:1つ目のキーワードは、「拡大抑止」です。
首脳会談で出される日米共同声明には「拡大抑止」の強化について盛り込まれる見通しだと報じられています。普通、抑止力といえば自国が攻撃を受けた際に「核などで反撃してくる可能性がある」と相手側に思いとどまらせる効果のことを言うんですが、拡大抑止はこれを同盟国にも適用する考え方です。つまり、アメリカの同盟国である日本が攻撃された場合にも「アメリカは核や通常戦力で報復するよ。分かってるよね?」ということですね。


ユージ:それって今までとどう違うんですか?


神庭さん:戦後、日米安保体制のもとで日本はずっとアメリカの「核の傘」に守られてきたわけですので、何かが大きく変わるわけではありませんが、改めて確認するということです。最近のロシアのウクライナ侵攻を受けて、「アメリカは有事の際に本当に日本を守ってくれるのか?」という声が出ました。核を放棄したウクライナが侵攻を防げなかったことで、安倍元総理がアメリカの核を自国に配備する「ニュークリア・シェアリング」(核共有)についての議論を求めたことも話題になりました。岸田総理はニュークリア・シェアリングを否定していて、アメリカも否定的だと言われているんですが、とはいえ、ロシア・中国・北朝鮮と「厄介なおとなりさん」たちに囲まれて、日本国内でかつてなく危機意識が高まっていることは確かです。そこで、「安心してください。核の傘、入ってますよ」と強調することで、改めて周辺国へにらみを利かせる意味があるんじゃないかなと思います。日米首脳会談に先立って開かれた、日韓首脳会談でも同じように拡大抑止の方針を確認しています。


村田:続いて、2つ目のキーワードは、何でしょうか?


神庭さん:2つ目のキーワードは、「防衛費の引き上げ」です。
ANNによると、岸田総理はバイデン大統領との首脳会談で、日本の防衛費の増額を表明する見通しだということです。GDPの2%程度を念頭に置いているそうです。日本の防衛費はこれまで1%ほどに抑えられてきました。現状だと世界9位の規模ですが、倍増して11兆円まで増やすと、米中に次いで世界3位の規模になると東京新聞が伝えています。
NATO各国はもともと2%を超えている国が多いです。ドイツは1.5%ほどでしたが、ウクライナ侵攻後、2%以上に引き上げると表明しています。中国は日中中間線付近の東シナ海で一方的にガス田開発を進めており、つい先日も新たに構造物を1基設置しようとしていることが確認されました。
北朝鮮も近く大陸間弾道ミサイルの発射や核実験に踏み切るのではないか、と危惧する観測が出ているんですね。こういった状況下ですから日本もアメリカにおんぶに抱っこではなく、独自に防衛力を高めていく必要があります。決して安い金額ではありませんが、現状では2%への引き上げもやむを得ないのではないかと思います。一方で何が足りていないのか、憲法上許される範囲はどこまでなのか、きちんと精査する必要があるとも思います。


ユージ:最後、3つ目のキーワードは何でしょうか?


神庭さん:3つ目のキーワードは「IPEF(アイペフ)」です。
IPEFというのは「インド太平洋経済枠組み」のことで、日米首脳会談でバイデン大統領が発足を宣言するとみられています。日経新聞によると、日米韓、オーストラリアのほか、シンガポールやタイ、ニュージーランドなどが加入する見通しです。
IPEFの4つの柱は、
① 貿易
② サプライチェーン(供給網)
③ インフラ・脱炭素
④ 税・反汚職
と言われています。すでにTPPやRCEP(アールセップ)といった自由貿易の枠組みがあるなかで、わざわざIPEFを立ち上げる意味は何なのか?ということですが、一番の大きな目的は、軍事だけでなく経済面でも対中包囲網を敷くこと。そもそもRCEPは中国が入ってるし、アメリカは参加していない。TPPはトランプ大統領時代に離脱してしまった。その隙を突くように、中国がTPPに加入申請したりしているわけです。そんななかで出てきたのがIPEF構想です。


ユージ:シンプルにアメリカがTPPに復帰すればいいのでは?


神庭さん:その通りなんですが、アメリカの国内世論を考えると難しいんです。TPPは関税の撤廃や削減が盛り込まれていて、安い輸入品がガンガン入ってくると、国内の産業が衰退してしまうのではないか、という懸念がアメリカ側にはあります。トランプ時代にTPPを離脱したのもそれが理由です。バイデンさんも11月に中間選挙を控えており、世論の反発を買うような政策は取りづらいんです。アメリカにとってはそれでいいかもしれませんが、日本やアジアの国々からすると関税をなくしてドンドン自国製品を買ってほしいわけですから、IPEFは「うまみ」が薄いとも言えるわけですね。そのあたりのバランスが難しく、課題ですね。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top