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22.03.07

日本のウクライナ難民受け入れ
nullネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。

今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


日本のウクライナ難民受け入れ

吉田:ロシアによる侵攻を受けたウクライナでは、国外への避難を強いられた人たちが150万人を超えました。先週、岸田総理は避難民の受け入れを表明しましたが、いろいろ課題もあるようです。神庭さん、まずはウクライナ難民の現状について、改めて教えてください。


神庭さん:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアによる侵攻が始まってから周辺国に避難した難民の数は、先週末までで既に120万人を超えています。内訳はポーランド65万人、ハンガリー14万人、モルドバ10万人など東欧の国々が多く、戦況がさらに悪化した場合、400万人まで膨らむことも予想されています。
UNHCRは「ヨーロッパで今世紀最大の難民危機になるおそれがある」と警告していまして、EUはウクライナからの難民に対して「一時保護措置」といって、当面2年の間ビザなしでEUの国に滞在できるようにしています。


ユージ:そんななか、日本は難民受け入れに厳しい国という印象がありますが、先週、岸田総理は受け入れる考えを発表しましたよね。


神庭さん:日本では2日に岸田総理が「ウクライナの人々との連帯を示す」と述べ、避難民の受け入れを進めていく考えを示しました。「まずは親族や知人が日本にいらっしゃる方々について受け入れることを想定しているが、それにとどまらず人道的な観点から対応していく」と話していて、新型コロナの水際対策とは別枠にして受け入れる、とのことです。
また、地方自体でも受け入れの動きが広がっていまして、ウクライナ南部のオデッサ市の姉妹都市である横浜市は、難民受け入れ要請があれば、前向きに検討するということで、群馬県の大泉町も受け入れを表明しています。


吉田:日本企業からもウクライナ難民を支援する動きが出てきていますよね。


神庭さん:ユニクロを運営するファーストリテイリングは、UNHCRに対して11億5千万円寄付しまして、こちらは避難所の設置や救援物資の配布などに当てられるとのことです。また、ポーランドへ避難した難民向けに、ヒートテックの毛布や下着、エアリズムのマスクなども提供する予定だそうです。ソニーグループもUNHCRへ1.7億円の寄付を決めていまして、ドン・キホーテを運営する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」は、人道支援の一環として100世帯の避難民を受け入れると発表。経済的支援や生活面のサポート、グループ店舗での雇用機会の提供などに取り組む、とのことです。もしドンキで、慣れない手つきでレジ打ちをしている人を見かけたら、優しく見守ってあげてほしいですよね。


ユージ:神庭さんは、日本の難民受け入れについてどう思われていますか?


神庭さん:未曾有の人道危機で、国際的な助け合いは不可欠ですし、日本も先進国としての務めを果たすべきだとは思うんですが、日本に来ることが本当にウクライナ難民の幸せにつながるかと言われれば、正直わからない部分もあります。というのも、日本の難民認定は非常に厳格で、2020年に日本で難民申請があった数3936人のうち、実際に認定されたのは47人(1.19%)ですし、入管施設での長期収容も問題化しています。今回の受け入れでも、首相官邸は「避難民」という言葉を使っていて、「難民」とは言っていません。ちょっとうがった見方をすれば、あくまでも「難民」は受け入れませんよ、という強い意志も感じてしまいます。
そしてこれに関連して、先日暗い気持ちになるニュースがありました。ウクライナ侵攻を受けて、日本国内のロシア料理店のGoogleマップのレビュー欄に嫌がらせを書き込んだり、死体の写真を貼り付けたりといった陰湿なことが行われていました。しかも、ウクライナ出身の方が経営しているお店までこういった嫌がらせの被害にあっているそうで、難民の受け入れには摩擦も伴いますし、こういう排他的な話を聞くと、果たして受け入れ態勢が整っているのか…「ぜひ日本に来てください!」と、自信を持って言えなくなってしまう部分があるな、と思います。


ユージ:あともうひとつ、先週末の大きな動きとして、ロシアとウクライナの停戦協議で「人道回廊」の設置が合意されましたが、こちらも上手くいっていないようですね。


神庭さん:そうなんです。「人道回廊」というのは、民間人を戦争に巻き込まないように、安全に避難できるルートを確保する、ということなんですね。「人道」とついているので、平和に向けて一歩前進した、とか、良い方向に向かっているのではないか?と考える人もいるかもしれませんが、その見方はちょっと違いまして、過去にロシアが軍事介入したシリア内戦でも「人道回廊」が設置されたことがあるんですが、その後も空爆や砲撃が続いたんですね。つまり、対外的に「民間人は逃しましたよ」というエクスキューズをつくっておいて、「まだウクライナに残っているのは戦闘員だけだから、思う存分攻撃してやる」という方向に傾斜しないか…そこを非常に懸念していますね。
プーチン大統領は核の使用をちらつかせた脅しを繰り返していますから、これが単なるブラフ(はったり)ではなく、「プーチン大統領なら本当に核兵器を使うかもしれない」と危惧する声が世界中からあがっています。「こいつは何をするかわからないぞ」と思わせて脅迫材料に使う戦術を「狂人理論」と言うんですけれど、理論が理論であるうちはまだ良いんですが、理論がとれてしまったら本当に大変なことになりますから、ウクライナ情勢は依然として予断を許さない状況にあるな、と思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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