network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.02.23

2021年度の国民負担率、過去最大の見込み
null
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『2021年度の国民負担率、過去最大の見込み』


吉田:財務省は今月17日、2021年度の『国民負担率』が48%になるとの見通しを示しました。過去最大になる見込みです。
神庭さん、『国民負担率』というのは何なのか、改めて教えてください。


神庭さん:『国民負担率』というのは、個人や企業の所得を合わせた『国民所得』に対して、税負担や社会保険料負担が占める割合のことなんですね。税負担には、所得税、住民税、法人税、消費税、固定資産税など、社会保険料に関しては、年金や健康保険、雇用保険、介護保険などが含まれます。負担率の高さは、公的負担が高まって、自由に使えるお金が減っていることを意味します。が、とはいえ、低ければ低いほど良いというわけでもなくて、高福祉・高負担型の国なら当然、負担率は高くなるということがいえると思います。


吉田:この国民負担率、2021年度は過去最大になる見込みです。これはどうしてなのでしょうか?


神庭さん:財務省によるとですね、2021年度の国民負担率は、前年度から0.1ポイントアップの48.0%となる見込みです。1970年度以来、過去最大なんですね。コロナのダメージが大きかった前年度から比べると、企業の業績が好転して国民所得は増えたんですけれども、それ以上に法人税負担などが膨らんだと。分母に対して、分子の伸びの方が大きかったということです。ネット上ではですね、収穫したお米の半分を年貢で持って行かれてしまったという江戸時代の重税になぞらえて、「五公五民じゃないか!」とか「一揆が起こるレベル」という声もあがっています。ちなみに、半世紀前の1970年度は24.3%で現在のおよそ半分でした。平成元年(1989年度)に37.9%、令和元年(2019年度)には44.4%というかたちで、高齢化による福祉負担の増大を背景にじわじわと上昇しているんですね。


ユージ:この『48%』という国民負担率、個人的には「大きいなぁ…」と思ったんですけど、他の国と比べると、これは高いのでしょうか?


神庭さん:財務省は国民負担率の発表のたびに、『国際比較』と称して各国のデータをグラフ化して紹介しているんですね。2019年時点の数字になるんですけれども、それによると、フランスは67.1%、スウェーデン56.4%、ドイツ54.9%と、軒並み日本の44.4%より高いんですね。一方でアメリカは32.4%なので日本より低いと。「海外もこんなに高いんですよ、日本はまだまだ低い方ですよ~!だから税金もっと上げましょう!!」と言われているみたいでちょっと腹が立つんですが、ただ、このグラフには数字のマジックがあってですね、先ほど言ったように分母が『国民所得』になっているんですね。国民所得ベースでみると、ヨーロッパのように間接税の税率が高い国では、国民負担率が大きく出やすいんです。分母を『GDP』にする比較法もあって、その場合だとフランス46.9%、スウェーデン37.1%、日本31.9%というふうに差がグッと縮まるんですね。ちょっと印象が変わりますよね?財務省の公表データには、括弧で括ってGDP比の数値も入っていますから、是非そっちも比較して、海外と比べてみてほしいなというふうに思います。


ユージ:はい、印象変わりますね。なるほどね!そこと比べたとしても、日本は、まだ低い部分もあったりするわけですね。日本の国民負担率、神庭さんはどのように受け止めていますか?


神庭さん:大事なのは“国民の覚悟と納得感”かなと。それさえあれば、『低福祉・低負担』でも、『中福祉・中負担』でも、『高福祉・高負担』でも、その国の人が選ぶことなので、覚悟で構わないと思うんですよね。


ユージ:ちゃんと“納得感”があればね。


神庭さん:そうなんですよ。『高福祉』のように錯覚させておいて実際には『低福祉』だったり、『高負担』の割に「どうも満足のいくサービスが得られそうもないぞ…」となると納得感は得られないわけじゃないですか。当たり前なんですけど、『高福祉・低負担』も、また逆に『低福祉・高負担』もあり得ないわけなので、もしそこで国民の期待と実態にミスマッチが生じているとしたら、どういう国家像を目指すのか、選挙を通じて国民と政府との間で“契約”を結び直す必要があるかなというふうには思いますね。


ユージ:負担が大きいのに福祉を受けているという実感がないと、もちろん納得できないし、そすうると不満もたまっていきますよね?


神庭さん:そうですよね。『負担』の担い手と『福祉』の受け手があまりにも乖離してしまうと、制度自体に疑念が生じてきてしまいます。年金、医療など公的部門を通じた受益と負担を考えると、現役世代と高齢世代の間では、差し引き1億円の世代間格差があると言われているんですね。例えばの話ですが、若者が実家の親のためにせっせと仕送りをしているんだけれども、実は、「実家の金庫に1億円入ってました!」となったら、「えっ?まずそこから出してくれんか?」というふうになると思うんですね。


ユージ:「出してくれんか?」どころか、「ちょっとこっちにも頂戴よ!」くらいの…。


神庭さん:そうなっちゃいますよね!日本の年金制度というのは、積み立てたお金を自分が受け取るわけではなくて、『賦課方式』といって世代間の仕送りシステムで成り立っているんです。お年寄りの中にも、超高級有料老人ホームに住んでいる人もいれば、明日の食べ物にもことかく人もいるわけで、誰でもいつかは年をとるわけですから、世代“間”の支え合いももちろん大事なんですけれども、同時に世代“内”での格差是正も考えてほしいなと思います。例えば、文化功労者に選ばれると350万円の終身年金がもらえるんですけれども、大半が社会的な成功者ですから、これは僕はいらないんじゃないかと思っていて、その350万円で1人、困っている人を救えるかもしれないわけですよね。むしろ逆で、「私は十分稼ぎましたから年金はいりません。若い人のために使ってください」と年金を返上した人に対して、栄誉を讃えて表彰してあげる方が良いんじゃないかなと思います。


ユージ:うん、いいアイデア!



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top