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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.12.27

冬の電力需給がひっ迫
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『冬の電力需給がひっ迫』


吉田:この冬は、電力需給が過去10年で最も厳しくなると予想されて、予想外の気候の悪化や発電所のトラブルなどが重なれば、大規模停電が起きる恐れもあると言われています。
さっそくですが、神庭さん、どのくらい厳しい状況なんでしょうか?


神庭さん:ピーク時の電力需要に対して供給側にどれぐらい余裕があるかを示す『予備率』という指標があるんですけれども、電力の安定供給には、予備率が3%は必要だと言われているんですね。資源エネルギー庁が“10年に1度の厳しい寒さ”がくると仮定して試算したデータによるとですね、東京電力管内では、来年2月にこの予備率が3.1%まで落ち込んでしまうかもしれないと…。沖縄、北海道、東北あたりはですね、比較的余裕があるんですけれども、中部、北陸、関西、中国、四国、九州はいずれも3.9%で3%台の危険水域に突入してしまうということで、全国7エリアで予備率が3%台に低迷してしまうのは、エネ庁によると“過去10年間で最も厳しい”ということなんですよね。


ユージ:なんで、そんなにひっ迫しているんですか?


神庭さん:2つあってですね、1つは『気候の問題』なんですね。昨日から各地で大雪が降っていますけども、今年は寒さが厳しくなるというふうに予想されていまして、気象庁は10日に、「ラニーニャ現象が続いているとみられる」と発表したんですね。『ラニーニャ現象』というのは、南米ペルー沖の太平洋の海水温が低下する現象で、これが発生すると日本では西高東低の気圧配置が強まって、気温が下がって、日本海側で大雪が降る恐れもあるということなんですね。で、寒くなれば、当然、電力需要も増えるということなんですよね。


ユージ:もう1つの原因はなんですか?


神庭さん:10月にも一度解説しましたけども、もう1つは『LNG(液化天然ガス)の高騰』なんですね。コロナ禍で化石燃料の需要は落ち込んでいたんですけれども、各国で経済活動が再開されるにつれて、再び需要が戻ってきました。これに伴って、火力発電に使うLNGが高騰しているんですね。日本で発電された電力のうちLNGの比率というのが全体の37%を占めていて、最も依存度が高いので、供給がひっ迫すればその分ダメージも大きいんですね。また、長期的な脱炭素の流れも影響しています。


ユージ:というと、どういうことですか?


神庭さん:日本は、2050年のカーボンニュートラルを目指していて、『カーボンニュートラル』というのは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることで、化石燃料の消費を減らして再生可能エネルギーを増やしていくのが世界的な潮流になっていますよね。ただし、太陽光や風力を一気に増やすのは難しいわけです。そこで、石炭に比べればCO2排出が少なくて、環境負荷の小さいLNGを“当面のつなぎ役”というふうにして、そこに注目が集まっていて、国際的な争奪戦が起こっているんですね。例えば、中国は、『青空作戦』と銘打って環境対策を強めてまして、LNGを爆買いしているんですね、その結果、LNGの高騰にもつながっているということなんですよね。


ユージ:なるほど!


吉田:このところ、上がり続けている電気料金も心配なんですけれども、こちらはいかがでしょうか?


神庭さん:燃料価格の高騰を受けて、電力会社も電気料金の値上げという形で消費者に転嫁せざるを得なくなってきているんですね。電力大手10社は来年2月の電気料金をそろって値上げするんですが、この値上げが6ヶ月連続になります。東京電力の場合、平均モデルで7961円。今年の1月は6317円だったということを考えると、1年ちょっとで1644円も値上がりしているということで、年間に直すと2万円近くで、これは非常に痛いですよね。「じゃあ、ガスヒーターでも使おうか!」と思っても、ガス代も上がっているということで、つらいですよね。


ユージ:これは、つらいですね~。


吉田:私たちにできること、対策といえば、やっぱり節電になるんですかね?


神庭さん:そうですね、萩生田経済産業大臣は「使っていない部屋の電気を消すなど、無理のない範囲での効率的な電力の使用、省エネにご協力いただきますようにお願いいたします」と呼びかけているんですけれども、具体的な省エネ術についてはですね、資源エネルギー庁のサイトの『無理のない省エネ節約』というコーナーがとても参考になります。
暖房時の工夫として、厚手のカーテンを使用する。床まで届く長いカーテンの方が効果的ですよ。とか、あと、これは僕はびっくりしたんですが、扇風機を併用する。暖まった空気を循環させるという事だと思いますけれども、要は、サーキュレーター代わりに使って、暖かい空気が部屋の上に集まっちゃわないように撹拌するということだと思います。あとは、室外機付近に物があるとれ暖房効果が落ちるということで、室外機の周りに物を置かない。冬の暖房時の室温をですね、21度から20度に1度下げるだけでも、ひと冬で約1430円の節約効果があります。暖房の使用時間を1日1時間短縮すると1100円の節約効果あります。とかですね。


ユージ:そんなに違うんだ!?


神庭さん:床暖房の場合はですね、カーペットとかラグマットなどを敷かない方が効果的ですよ。とかですね、いろいろためになる省エネ術が書いてあるので、是非、参考にしていただきたいと思うんですが、とはいえ、こうしたチリツモ的な生活防衛術だけで何とかなるのかと言えば、結構、限界がありますよね。『グリーンフレーション』といって、気候変動対策でグリーン化を進めていくと、過渡期的にLNGなど化石燃料が高騰しちゃうんですね。この傾向は今後も続くことが予想されていて、グリーンフレーションで電気代とかガス代が上がると、そのしわ寄せは、暮らしに余裕のない世帯にガーン!と行っちゃうと…。電力需給のひっ迫して、もし、停電とかが起きたら、入院患者とか、弱い立場の人たちが危機に晒されることになってしまいますので、脱炭素の良い面ばかりを強調するのではなくて、足元で広がり始めたグリーンフレーションへの対策を先手先手で打っていかないと、カーボンニュートラルの大目標自体も絵に描いた餅になってしまうのではないかなと危惧していますね。



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