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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.09.07

様々な規制強化を押し進める中国
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【様々な規制強化を押し進める中国】

吉田:中国でメディアを管理する「国家ラジオテレビ総局」が2日、「低俗で下品な」娯楽作品を排除するとして、アイドル育成番組などの放送を禁じる通知を出しました。この通知は全国の地方当局に向けて出され、オーディション番組の投票システムを厳しく管理し、人気ランキングなどでファンの消費をあおる行為を禁じるよう要求。また、番組出演者を選ぶ際は「政治素養」をチェックし、共産党や国から「心が離れている」人物は起用しないよう指示しました。


ユージ:ニュースで知りましたが、少しビックリしてしまいましたね。実は規制強化はこれだけじゃないんです。


吉田:いくつか例をあげますと、「学習塾」への規制強化も強まっています。大手学習塾が先月31日、突然ネット上で閉鎖を発表、北京の本社には保護者たちが授業料の返金を求めて殺到しました。中国政府は「少子化対策」の一環と称して、親の教育費負担軽減のため、学習塾を「非営利団体」とするなど規制強化に乗り出していて、各地で学習塾が次々と閉鎖に追い込まれるなどの混乱が起きています。他にも、大手配車サービスの「滴滴(DiDi)」に対して7月、中国のサイバースペース管理局が、 新規会員登録の停止、アプリケーションの削除、系列のアプリ25件全体の削除を命じています。
神庭さん、どうして中国でこのような動きになっているんでしょうか。


神庭さん:他にも、大手のアリババに3000億円、独占禁止法違反で罰金を科すとかという動きが出ていて、一連の規制強化によって中国企業の株価が下がり、2月以降に1兆ドル(110兆円)の時価総額が消し飛んだとNewsweekが報じています。なぜ規制強化なのか?ということなんですが、大きく2つの理由が考えられます。
ひとつは自国データの保護。「データは21世紀の石油」ともいわれ、その活用と保護の重要性が増してきています。例えば、配車サービスの「滴滴(DiDi)」の場合であれば、政府関係者の乗り降りの履歴から、中国の要人がこの日誰と会っていたか?などといった情報がアメリカに筒抜けになってしまう可能性があるかもしれません。トランプ前大統領がTikTokが安全保障上の脅威になっているとして禁止しようとしたのは記憶に新しいと思いますが、中国側もデータ安全保障の観点からプラットフォーム規制に乗り出しているという面があります。


ユージ:なるほど。そういった警戒心があるわけですね。


神庭さん:規制強化の理由がもう1つありまして、それは国内の経済格差なんですね。経済格差の拡大に対して、庶民の不満をそらすということがあります。柯隆さんの『「ネオ・チャイナリスク」研究』という書籍によると、中国では上位1%の富裕層が国全体の富の3分の1を支配していて、逆に、下位25%の低所得層は国全体の富の1%しか所有していないんです。中国では人口の約44%にあたる6億人が1人あたり1日500円未満の生活を強いられていて、所得格差がかなり広がっているという状況があります。こうした格差の広がりを踏まえると、中国当局が成功したITプラットフォーマーやアリババ集団の創業者の馬雲(ジャック・マー)氏のような大富豪にお灸を据えることで、庶民の怒りや不安、不満をそらし、溜飲を下げさせようと考えてもおかしくはないということです。
習近平国家主席は「共同富裕(みんなで豊かになろう)」というスローガンを掲げています。アリババグループはこの「共同富裕」実現のため、2025年までに約1兆7000億円を拠出すると言っていて、IT大手のテンセントも共同富裕に8500億円を投じるそうです。当局に睨まれたくないのでプラットフォーマー側も必死になっているという状況があると思います。


ユージ:対外的な警戒心と、国内の不満に対する行動として、規制強化が進んでいるかもしれないってことなんですね。根が深いですね。


神庭さん:中には、文革の再来か?という声も聞こえています。1960年代から70年代、毛沢東体制の中国で文化大革命と呼ばれる政治運動が起き、2000万人もの人が亡くなりました。2021年の今、この文革の再来があるのではないか?という懸念も浮上しています。時事通信によると、中国主要メディアが8月29日に「経済、金融、文化、政治で深い変革が起きている。深い革命と言ってもいい」と論説を載せました。「今回の変革で、(中国の)市場は資本家が一晩で大金持ちになれる天国ではなくなる。」と書かれていて、確かに文革を彷彿とさせるような言い回しです。
中国でビジネスをしようとしている日本企業もそういった所に気を付けなくてはいけなくて、経済が上昇基調で上向いているうちは格差や貧困含め中国社会の様々な問題が表面化せずに覆い隠されてきましたが、成長が止まれば、不満が一気に噴き出してくる可能性があります。そこで中国の政情が不安定化していく可能性もありますから、日本企業はこうした新たなチャイナリスクと向き合っていく必要があると思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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