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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.08.24

タリバンが実権を掌握したアフガニスタンの今後
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【タリバンが実権を掌握したアフガニスタンの今後】


吉田:加藤官房長官は昨日の記者会見で、タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人らを退避させるため、自衛隊機を派遣する方針を表明しました。昨日夕方に輸送機1機が出発し、きょうには輸送機2機が出る予定です。政府は既に防衛省の先遣隊を情報収集のため現地に向け出発させています。神庭さん、まずは基本的なことから伺いたいんですが、タリバンとはどんな勢力なのでしょうか?


神庭さん:タリバンはアフガンの人口の4割ほどを占めるパシュトゥン人が中心の組織で1990年代中盤に、若い世代や貧困層に広がりました。1996年に首都カブールを占領して、国土の9割近くを実効支配します。市民に厳格なイスラム解釈を押しつけ、少数派を弾圧したり、女子の学校教育を停止したり、歌謡曲や映画などの娯楽まで禁止するという圧政を敷いたんですね。2001年の9・11のアメリカ同時多発テロを計画したオサマ・ビンラディン率いるアルカイダの本拠地がアフガンにおかれていて、アメリカはタリバンがアルカイダを匿っているとみて、アフガンを空爆して、タリバンは政権を追われることになりました。


吉田:そもそもアメリカはなぜ撤退することになったんですか?


神庭さん:アフガンでの軍事行動は「アメリカ史上最長の戦争」と言われているんですね。期間は20年近くにわたって、一時は10万人を超える米軍が駐留していました。お金もすごくかかっていて、110兆円とも250兆円とも言われる巨額の費用が費やされてきたんですね。その間に2400人を超える米兵が犠牲者になり、アフガン側も軍人・民間人含め10万人以上が命を落としたと言われています。それにも関わらず民主化や治安の改善が一向に進まなかったことで撤退論はずっとくすぶっていたんです。今回の米軍完全撤退に繋がるタリバンとの和平合意は、トランプ前大統領時代の去年3月に結ばれました。バイデン大統領もこの路線を継承して、撤退の期限も前倒しして、8月末としていました。しかし、トランプさんもバイデンさんも、タリバンに追われるような形での敗走劇はまったく想定していなかったはずで、多くの民間人が取り残されてしまっていて、責任論が高まっています。
先週もヘッドラインで指摘しましたが、トランプさんとバイデンさんによる醜い責任のなすり合いが始まっていて、20年かけてやってきたことがゼロどころかマイナスまで引き戻されてしまったという状況で、やはりこれからアメリカの国際的なプレゼンスは確実に低下するだろうなと思います。「世界の警察」「世界のリーダー」から「普通の大国」に戻りますという流れになっていくのかなと思いますね。


ユージ:アメリカが手を引くとなるとアメリカ以外の国の動向が気になりますね?


神庭さん:気がかりなのは中国の動きで、中国からすれば、アメリカの失敗は「しめしめ」という話なんですよね。7月28日には、中国の外相とタリバンの訪問団が天津で会談しています。しかも、そのことをアピールするかのようにオフィシャルに発表しています。中国外務省の報道官は8月16日、「中国はタリバンとの接触を維持し、政治的解決を促進するために建設的な役割を果たしてきた」と述べました。中国は「一帯一路」というシルクロード経済圏構想を掲げているんですが、その戦略にアフガンを組み込んでパイプライン建設するなど、アメリカに代わってこの地域で存在感を増していく可能性も考えられます。


吉田:もう1つ気がかりなのが、タリバンの復権で女性に対して再び抑圧的な政策がとられるのでは?と心配されています。


神庭さん::以前に比べて変化の兆しがないことはないです。去年12月、タリバンは支配地域内で4000の非公式な学校を開設し、女子も通えるようにするという合意をユニセフと結びました。今月に入ってからも、タリバンの報道官が時事通信の取材に、女性警官や女性の政府職員を「必要だ」と認めています。タリバンは記者会見で「我々は女性の権利を尊重する。女性は社会のカギを握る要素だ。我々は女性に対する差別を認めない」と話したということです。
ただし、気をつけないといけないのは、タリバンが「女性にはシャリーアの枠内で、全ての権利を保障する」と言っていることなんです。シャリーアというのはイスラム法のこと。どこまで女性の自由や権利を認めるかは、シャリーアの解釈に委ねられていて、タリバンの裁量次第で、現在に比べれば権利が狭められる恐れが拭えないわけです。その危険を察知したからこそ、多くのアフガン市民が空港に殺到して国外に逃げ出そうとしている状況があるわけです。
女性の権利を守るとか、「我々は報復を求めない。米軍に協力した者を含め、全員に恩赦を与える」と言っているのは、国民が逃げ出すのを防ぎ、国際社会からも国として承認してもらいたいがゆえのアピールの面が多分にあるわけですね。タリバンの報道官は「すべてのメディアには取材活動を続けてほしい」と聞こえのいいことを言っていましたが、ドイツの放送局の記者の家族がタリバン兵士に射殺されたり、別の記者の自宅も襲撃されたりしてます。今のタリバンを見て「新生タリバンになったとか、タリバン2.0に生まれ変わった」と考えるのは危険で、眉に唾をつけてみたほうがいいのではないかなと思います。


吉田:アフガニスタンの情勢に関してはBuzzFeed Japan Newsの貫洞欣寛編集長が4本の解説記事を書かれている、ということで、詳しくはぜひ、そちらを参照してください!




そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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