21.07.14
被災地支援のあり方

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただくのはこちら!
『被災地支援のあり方』
吉田:土石流で大きな被害を受けた、静岡県熱海市は先週水曜、支援物資の受け入れを一時休止すると発表しました。支援物資を保管する場所の確保が困難な状況になっているためだということです。熱海市に取材したところ、「飲料やティッシュペーパー、食料などが届いたのですが、今回、ホテルを臨時避難所にしているため、通常の体育館の避難所などとは違い、生活必需品の需要が少ない。そうしたことから、現在、支援物資の受付を停止させていただいています」ということでした。また、熱海市は、市役所などに避難者向けの生鮮食品を送らないよう、ホームページで呼びかけています。避難所での食品の管理が難しいことなどが理由で、衛生上の観点から、使用済みの衣類や日用品についても、提供を断るとしています。
今朝は、このニュースをきっかけに被災地への支援のあり方や支援のミスマッチについて考えていきます。熱海市が支援物資の受け入れを一時停止したこと、神庭さんはどのようにご覧になっていますか?
神庭さん:昨日、避難所についていろいろ取り上げましたけれども、やっぱり、“体育館で雑魚寝”みたいなイメージが皆さんの中にすごく根強くあるので、そうすると、「体育館での生活は大変だろうな」とか「炊き出しをするなら野菜も欲しいんじゃないかな」ということで、従来のイメージで生鮮食品が送られてきたというパターンもあったと思うんですよね。一方で、今回は、途中からホテルに移れたので、食事に関しては心配いらないというふうになりましたし、トイレットペーパーとか毛布とかもダブついちゃったと。そこでミスマッチが起こってしまったということなんですよね。ホテルとか宿泊施設が非常に多いという熱海の特殊事情もありますし、コロナ禍の災害ということで、従来といろいろと変わってきてる部分もあるので、需要と供給にギャップが生じてしまったのも、ある程度はやむを得ないのかなと思います。今後は、これを教訓にして、いかにギャップを埋めていくかということが大事なのかなと思いますね。
ユージ:被災地支援のミスマッチを防ぐために、私たちはどういうことに気を付けたらいいんでしょうか?
神庭さん:被災地支援にはですね、『プッシュ型』と『プル型』というのがあるんですね。東日本大震災の時には、非常に甚大な被害が出まして、自治体も司令塔の機能を一時的に果たしきれなくなって、“何がどれぐらい必要なのか?”というのが把握できないような事態に陥ってしまったんです。そこで国が強化してきたのが『プッシュ型』支援。いちいち、「何がいいですか?」「どうしましょうか?」とお伺いを立てるんじゃなくて、「これ要るでしょう!」と必要になりそうな物をどんどん押し出すように“プッシュ”でガンガン被災地に送ると。この『プッシュ型』というのは、迅速な物資の供給が可能になるんですけれども、その反面、やっぱり、事情を聞かずに送っているのでミスマッチが起こるデメリットもある。ただ、それは、「一時的にはしょうがないよね…」ということなんですよね。
ユージ:声が届かない場合は、プッシュ型はいい方法かもしれないですよね。
神庭さん:そうなんですよ、だから、一時的にはとってもいいんですよね。そこで大事なのが段階的に『プル型』に移行していくということなんですけど、プッシュが“押す”で、プルは“引く”なんですが、自治体側で必要な物資をリスト化して、リクエストするということなので、プル型の場合は無駄がないんですよね。ただし、災害が起きて、初期の初期段階ではプル型は機能しなくて、スピードで劣ってしまう可能性があるわけですよね。「それどころじゃないよ」とか、「役所が機能しないよ」という状況になってしまうこともあるわけじゃないですか。なので、“初期の『プッシュ型』”と“中長期の『プル型』”をうまく組み合わせてですね、スピード感とミスマッチ解消の両立させるといいのかなと思いますね。
ユージ:なるほど!バランスを取って、必要な方を取るというね。確かに、これは重要ですね!あと、ミスマッチは、“やっぱり、起こってしまう”という事なんですけど、これを解消するために、今できることは何かありますか?
神庭さん:なかなか難しいんですけれども、不要な物資が殺到するとですね、その整理とか保管に職員が忙殺されちゃうんですね。整理するのが大変だと…。あるいは、処分することに予算を取られちゃったりするので、そのことを指して『第二の災害』という言い方もするんですね。じゃあ、この『第二の災害』をいかに防ぐか、軽くするかということなんですけれども、やっぱり、“平時からの備える”という事しかなくて、各自治体はですね、災害時によその自治体とか国からですね、職員とか物資の支援を受けるための『受援計画』というのを定めることが災害対策基本法で努力義務になっているんですね。受援計画というのは、応援を受けるための計画なんですけれども、ところがですね、消防庁によると、現状では全国の市町村の45%しか受援計画を策定できてないんです。都道府県レベルで見ても、山形、静岡、佐賀、沖縄の4県は規定を定めていないんですね。ですから、やっぱり、災害が起きてから、ドタバタが起きてから、何かしようとしても遅いわけで、平時のうちにこういった受援計画を整えておくことで、いざ、起きた時に、どれくらい人が必要で、倉庫とか、物資を受け入れるためにはどこのスペースが活用できて、どんなものが必要なのか?みたいなことを準備しておく、今からその受援計画を立てておくことが大事なのかなと思いますし、今回のケースを受けてですね、コロナ禍のホテル避難だと、「こういうものが必要なんだよね」と、逆に、「これは要らないんだよね」というのが見えてきたと思うので、それを教訓として活かしつつ、災害対応をブラッシュアップさせていくというのが大事なのかなと思います。
ユージ:この『受援計画』というのが45%というのは、確かに、ちょっと意外な数字だったんですけど、市町村ごとに発表できる体制というのを整えてほしいですよね。
神庭さん:そうですね。なかなか錘になっていますし、大変な部分はあると思うんですけど、少しずつでもそういった備えを進めていくことで、災害が起きた時の準備になるのかなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ #ワンモ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 14, 2021
「被災地支援のあり方」
支援は人助けになるが、支援物資が届きすぎてしまい、食べ物は配られる前に腐ってしまったり、保管場所がなく、すべて受け取ることができなかったり、無駄が発生してしまうこともあります。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ #ワンモ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 14, 2021
被災地支援には様々なかたちがあるけれども、その被災地に今何が必要かという情報の確認が大切だと思いました。被災地によって求めているもの・必要なものは違うので、その情報収集も重要なことです。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ #ワンモ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 14, 2021
ネットで様々な情報を確認できる一方で、何が正しい情報かの見極めも難しくなっています。なので、各市町村が受援計画(自分の地域が被災した時の避難所や欲しい支援物資などをまとめたもの)を作成することも必要だと思いました。