21.07.13
避難所の課題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただくのはこちら!
『避難所の課題』
吉田:菅総理は昨日、午後、大規模土石流が発生した静岡県熱海市の被災地を訪れ、被害状況などの視察を行いました。菅総理は避難所となっている市内のホテルを訪れたほか、静岡県の川勝知事など地元自治体関係者から現状の説明を受け、ライフラインの復旧や被災者への支援策などについて話し合いました。
ユージ:神庭さんには何度か指摘していただいていますけど、今朝は『避難所の問題』についてです。改めてなんですが、日本の避難所の課題として、どういった点があげられますか?
神庭さん:まず、大問題としては、『体育館で雑魚寝が避難のデフォルト』みたいになってしまっているということなんですよね。
ユージ:避難所を想像したり、映像を見ると、やっぱり、体育館での雑魚寝のイメージが強いと思いますね。
神庭さん:そうですよね。でも、体育館ならまだ良くて、収容しきれなかった人たちが廊下にまであふれてしまうようなケースもあって、硬い床で寝起きするというのは当然、体に悪いですし、今だと、一箇所に密集するのは感染対策としても良くない。もちろん、プライバシーの面でもいろいろと心理的な負担もありますよね。
あと、もうひとつ、『トイレの問題』。数が不十分だったり、数はあっても衛生的でなかったりすると、女性とか高齢者の中には、トイレに行く回数を減らそうとして水分を取るのを控えちゃう人もいるんですよね。狭い空間で運動不足、しかも、水分不足となるとエコノミークラス症候群になるリスクが高まって、災害関連死に繋がってしまう恐れもあるんです。
ユージ:これについては、とくに東日本大震災あたりから指摘されていると思うんですけど、やっぱり、まだまだなんですか?
神庭さん:コロナ禍で少しずつ加速している部分はあるんですけれども、まだまだ、全国隈なく改善されているとは言い難い状況ですよね。
吉田:具体的にどう改善していくべきなんでしょうか?
神庭さん:今日、ぜひですね、覚えていただきたい言葉があって…『T・K・B』なんですよ。これは、卵かけご飯の『T・K・G』ではなく、『T・K・B』なんですけれども、『避難所・避難生活学会』というところが提唱している概念で、“Tはトイレ”、“Kはキッチン”、“Bはベッド”を意味します。
ユージ:ほぉぉ~~!Tのトイレというのは、さきほど指摘していただいたようなことですか?
神庭さん:まさしくおっしゃる通りで、仮設トイレに関してはですね、数を確保するのはもちろん、衛生的保って手洗い場を併設する必要があるんですね。そうしないと先ほど言ったように、「汚いトイレに行きたくない」とためらってしまって、水分の摂取を我慢する人たちが出てきちゃうという事なんですよね。
ユージ:それは怖いですね…。
神庭さん:災害とか紛争などが起きた時の避難所のあり方を定めた『スフィア基準』という国際基準がありまして、「初期段階ではトイレは50人に1基分用意しよう」とか、「女性の方が時間がかかるので男女比は1:3にしよう」とかが決められているんですけれども、こういった基準を守るために努力していくことが大事かなと思いますね。
ユージ:イギリスの『公衆衛生庁』が 2019年に、公衆トイレの数について、男女の比率を1:1から、同じような理由で、女性用を増やして1:2の水準を目指すべきだと報告書で提言したそうですね。
神庭さん:やっぱり、女性の方が時間がかかってしまうので、そういった配慮というのが必要かなと思いますね。
ユージ:今のがT・K・BのT=トイレですよね?
吉田:K=キッチン、B=ベッドは、どういった考えなんでしょうか?
神庭さん:Kのキッチン、つまり食事なんですけれども、やっぱり、食中毒対策ということもあって、どうしても揚げ物が増えてしまったり、おにぎりとか菓子パンなどが中心になってしまいがちなんですね。避難者の人は「ご飯があるだけありがたいです」「贅沢は言えないです」と考えてしまいがちなんですけれども、数日ならともかく、連日続く、長期間ですとつらいですよね。イタリアはこの点がすごく進んでいて、避難所にキッチンカーが配備されて、パスタとか温かい食事をとることができるんですよね。
Bのベッドも、海外では簡易ベッドが基本で、家族ごとにテントが使えてプライバシーも保てる状況になっているんですね。『避難所・避難生活学会』の理事で新潟大特任教授の榛沢和彦さんは、ハフポストの取材にこういうふうに答えています。「欧米の避難所は一人当たり4平方メートルの広さが必要とされ、簡易ベッドを全員使用することになっています。食事はキッチンカーで作ってできる限り温かいものが提供され、トイレとシャワー付きのコンテナも備えられています」ということなですよね。災害時にそういう状況が整っていると非常にいいですよね。日本でも段ボールベッドの配備等が進みつつあるんですけれども、まだまだ自治体によって格差がある状況です。
ユージ:こういう海外の例とかをだすとねちょっと怒ったりする方も中にはいるんですけど、でも、いいものは真似したりとか、海外に限らず、いいなと思うものは参考にするのは大事ですよね。
神庭さん:どんどん導入すべきだと思いますね。
ユージ:ねっ!
吉田:そうですよね、コロナ禍になった当初から、避難所はね、心配されていましたよね。
神庭さん:そうですね、避難所が過密状態にならないように政府は昨年、“できるだけ多くの避難所を開設する”とか、“ホテルや旅館などの活用を検討する”、あるいは、“親戚や友人の家への避難を検討する”ということを全国に通知しました。実際、今回の熱海の土砂災害でもホテルへの分散避難が行われたわけですけども、やっぱりね、ふかふかのベッドで温かい食事があって、お風呂も入れるというのは、被災者の方々にとっても避難所より快適でしょうし、宿泊施設からしても災害が起きて予約キャンセルが出る中で、自治体が一時避難先として部屋を借り上げてくれれば経営上も助かりますから、非常にいいことだなと思います。コロナ禍で熱海に限らず全国的にこういう協定を結ぶ動きが加速しています。ただ、コロナが終わったら、「こういうのやーめた!」「おーしまいっ!」じゃなくて、ぜひね、後退することなく、そういった取り組みを前に進めて行ってほしいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2021
「避難所の課題」について
改めてみなさん、ご自身の避難所がどこにあるかっていうのはご存知でしょうか。
これを機に今一度みなさんにも自分の家の周りにはどういう避難所があるのかを検索してもらいたいです。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2021
僕もみなさんとお話をして、新たな視点で確認するべきポイントが見つかりました。
リスナーの方から「認知している避難所がどういう時に避難できる所なのかも確認した方が良い」とアドバイスがありました。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 13, 2021
もう一つ、家族がいる方、例えば家族と避難所を把握しておいても、
万が一、携帯などの連絡手段が途絶えてしまう可能性があります。
そういう時に家族がバラバラにならないように1つの避難所とか、
もしくは2つ、3つ共有する準備も重要だなと改めて思いました。#ワンモ