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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.04.16

SNSで話題のメール1往復主義
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「SNSで話題のメール1往復主義」

吉田:最近SNS上で「メール1往復主義」という言葉が話題です。神庭さん、ダイヤモンド・オンラインでも、「メール1往復主義」を取り上げたリスクマネジメント・コンサルタントの秋山進さんの記事が読まれているそうですね。この「メール1往復主義」とは、何ですか?


神庭さん:この記事によると秋山さんは、様々な依頼メール対してスケジュールの都合などで断ることがあります。その時に秋山さんは丁寧に理由を書いて断っているのですが、その後に何もリアクションがなくてぱったりと連絡が途絶えるケースが増えているそうです。


ユージ:これはたまにありますよね。普通だったら丁寧に「承知しました。また別の機会にお願いします」ぐらいの一言は返しますよね。


神庭さん:以前であればそういった短いフォローの返事メールがあったのに、最近は「1往復半」のラリーで終わってしまうそうです。そんな「メール1往復主義」が、若手社員の間で広がっているという記事です。


吉田:私も至急メールボックスを確認しました。「メール1往復主義」が広がったのはなぜですか?


神庭さん:タイパ、タイムパフォーマンスを重視する姿勢も無縁ではないと思います。少しでも手間や時間を節約したい。1往復半のところ、1往復で済めばそれだけ時間や労力が浮くという判断もあると思います。ただ、どうもメール1往復主義の背景にあるタイパ意識は必ずしも「自分の時間」だけを気にしたものではなさそうです。


ユージ:他に何があるんですか?例えば、単に文字を打つのが面倒くさいとかありますか?


神庭さん:自分が返信をしたら、相手はそれを読みます。さらに、場合によってはもう1度返信して2往復になってしまうかもしれない。依頼相手にとっても負担をかけてしまう可能性があるということで、そういう「相手の時間」にも配慮した「気遣いタイパ」の側面もあるということです。


ユージ:えー。だとしたら、気遣いや優しさともとれるけど、相手のこと考えていますかね。


神庭さん:考えようですが、電話に苦手意識を持つ若者が増えているという話が少し前に話題になりましたが、これも単に自分の時間が寸断されるのが嫌だというだけでなく、相手の時間に無断で割り込むことへの遠慮という側面があります。つまり「時間泥棒」はするのも、されるのもイヤ。自分がされて嫌なことは相手にもしない。ある意味計算高いというより、優しい若者が増えているという風に考えることもできなくもないのかなと思います。


吉田:他に考えられる理由はありますか?


神庭さん:LINEやSlack、Facebook Messengerなどのチャットツールでは、メールに比べて簡略化したやりとりがされています。相手にメッセージを送って、相手から返事があったらLINEならスタンプで終えることもできますし、SlackやFacebookでもハートマークや親指を上げるマークをつけることで、リアクションをすることができます。もちろん相手との関係値ありきの話ではありますが1往復、2往復ではなく、1.1往復、1.2往復みたいな小数点以下のコミュニケーションができるわけです。そういうチャットツールに慣れていると、メールのやりとりがまだるっこしく感じられることもあります。意識的にか無意識的にかは分かりませんが、若い人たちがメールに比べて効率的な手段として登場したチャットツールの流儀というものをメールに「逆輸入」しようとしているのが、今のメール1往復主義なのかなという気がします。一方で中高年以上の「メール育ち」の世代との間で、コミュニケーションの齟齬が生まれている気がしますね。


ユージ:メールとSNSは、ちょっと違いますよね。


吉田:確認するものがあまりに多すぎるというのはありますよね。そうしたギャップを埋めるためには、どうしたらいいでしょうか?


神庭さん:これはもう「まあ、そういうものなんだな」「若者も悪気があってのことではないのね」と諦める、スルーするのも1つですが、それだと話が終わってしまいます。秋山さんのダイヤモンドの記事は、決して「最近の若者はけしからん!」みたいなお説教ではなくて、建設的な提言をされているので、少し引用したいと思います。最初の依頼を断ったことに対して、人は心理的な負い目を感じる。次回何らかの依頼があった際には、受け入れる可能性が大きく高まる。したがって、「承知しました。次回、また何かあればよろしくお願いします」というメールを送付する30秒程度の時間投資は、将来の期待値を考えれば十分に元が取れるのであると書いています。あえて若者のタイパ論に乗っかったうえで、長期で見るとむしろ「1往復半」の方がタイパがいいんじゃないの?と提案しているわけです。


ユージ:神庭さんは、この「メール1往復主義」をどうみていますか?


神庭さん:私の持論としては、「ツールがルールを規定する」と考えています。メールにはメールの、LINEにはLINEの、手紙には手紙の流儀があります。手紙だったら、「拝啓」で始めて「敬具」で終える。「タイパが悪いし、拝啓はナシでいいでしょ」とはならないわけです。メールだと社内なら「お疲れ様です」を冒頭につけるのが、半ばフォーマットのようになっているわけですけど、僕も疑問に思って「おつかれ山です」に変える実験を1ヶ月したのですが、誰も気づいてくれなくて、それくらい強固なエネルギーというルールがあるのかなと。


ユージ:気付いてはいると思いますよ。


神庭さん:本当に気付いていなかったんですよ。1人だけ気付いた人がいたのですが、また神庭が何かやってるという感じでした。でもツールがルールを規定するということは、ツールが変わればルールも変わりますので。最近、Gmailでも絵文字でリアクションできるようになりました。これによって、わざわざ「1往復半」しなくても、相手に「見たよ」「了解です」というサインを送れるようになりました。こういう風に、ツールが変わっていくことでルールの方もどういう風に変わっていくのか注目かなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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