24.04.17
『営業秘密』の持ち出しに関する相談が最多 その背景と必要な対策は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【『営業秘密』の持ち出しに関する相談が最多 その背景と必要な対策は?】
吉田:全国の警察が去年、受理した企業情報の持ち出しなど、「営業秘密」の侵害に関する相談は78件で統計を取り始めた2013年以降で最も多かったことが警察庁のまとめで分かりました。塚越さん、まずは「営業秘密」とは何なのか、改めて教えてください。
塚越さん:営業秘密は「不正競争防止法」で、次の3点を満たすものと定義されています。1つ目は、秘密として管理している情報。2つ目が、事業などに有用な情報。3つ目が、公に知られていない情報です。この3つを満たしたものが営業秘密で、これを不正な手段で取得して使用したり第三者に開示したりすると不正競争防止法では個人に対して、10年以下の懲役、または2,000万円以下の罰金が科されることになります。
吉田:「営業秘密」の侵害、例えばどんなケースが報告されているのですか?
塚越さん:2023年8月に勤務先の病院から患者の個人情報およそ180人分を持ち出したとして、長野県警が医療技師の男を不正競争防止法違反で逮捕しています。他にも2023年9月、大手総合商社「双日」の元社員の男が以前に勤務していた競合他社の商社である「兼松」の営業秘密を不正に持ち出したとして、逮捕されています。前の会社の同僚を騙してアカウントを取得して、情報を持ち出したということになります。
ユージ:「営業秘密」の侵害に関する相談は、どのぐらい増えていますか?
塚越さん:営業秘密の侵害に関する相談は前年比19件増えて78件となっており、統計をとりはじめた2013年以降で最多となっています。また営業秘密侵害での摘発は去年が26件で、最多だった2022年に次いで2番目に多かったということです。基本的に摘発件数は増加傾向にあるので、今後も増えるかなとみられます。
ユージ:「営業秘密」の侵害に関する相談が増えている背景は何なのでしょうか?
塚越さん:まずは転職など、雇用が流動化する中で対応しなければいけない企業が増えていることが挙げられます。転職者は2019年で、過去最高の353万人となりました。その後はコロナもあって転職者は減少したのですが、今後はまた増えると考えられます。日経が企業を対象にした調査でも、2024年度の社員採用に占める中途採用の比率は43%と、かなり多いです。新卒だけでなく、多様な人材が転職で活躍できる環境が構築されていくのは良いと思います。一方で、前の職場で知った技術や営業に関する秘密情報をどう保護するかが課題になっています。相談件数が増えているのも、こうした事情が以前よりも大きな課題になっているからだと考えられます。
ユージ:転職する人が増えるなか「営業秘密」の侵害を防ぐためには、どんな対策が必要だと思いますか?
塚越さん:まずは基本的な対策で社員用のパソコンやUSBメモリなどの管理を徹底したり、特に重要情報のアクセスでは記録を残すこと。これまでもあった対応ですが、より一層、気をつける必要があります。もう1つは、転職してきた人(特に同業他社からの転職者)に対して前の職場の情報を持ち込まないよう、誓約書で同意を取るなどの措置も今以上に必要になるかなと思います。先ほど話した兼松も契約書を作っていたのですが、それでもやってしまったケースもありますので、そういうことは大事だと思います。なぜかというと、4月に改正された不正競争防止法では転職者を受け入れた企業が損害賠償を請求されるリスクが高まっているからです。今回の改正では、被害側が営業秘密を不正に取得されたこと、そしてその秘密を使って生産できる製品を相手企業が作っているという2点を立証できれば、損害賠償を請求できるようになりました。こうした枠組みは、もともと外部の産業スパイによる持ち出しに限られていましたが、今回の改正では元従業員や情報の出どころを知ったのに情報を削除するといった対応をしなかった場合も罪に問えるようになったということです。それでも侵害行為(どこまでが秘密でどうやって不正をしたなど)を立証するのはまだ難しいという点があります。だからこそ、被害側がこれまでよりも声を挙げやすくしたとこで、今回改正も行われるということになっていて、相談も増えてきたとのことです。これは大事ですが、一方でこういったことがあるから同業他社から転職するのはやりづらいなみたいなことになるのもどうかなということもありますし、今回のことで言うと営業秘密は海外への流出も懸念されますよね。だからといって外国人の登用を控えるというは、働く中で大事だったりします。国によって採用をやめるなどすると、競争や企業の価値を上げたりするので、メリハリをつけることが大事です。企業を守るのも転職も大事。企業は、課題も増えてきているので考えることが多いというのを考えていただければと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 17, 2024
「『営業秘密』の持ち出しに関する相談が最多 その背景と必要な対策は?」について…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 17, 2024
会社にあったものを持ち出してしまうのは、誰が考えても問題があることは分かりますが、培ってきた知識や技術はリセットできません。そこで学んだやり方だったりとか、自分の中でビジネスをやる上での基本というのは、これまでの会社で学んで構築してきたものが多いと思います。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 17, 2024
情報を持ち出した個人だけでなく、採用した会社側も措置をとっていく必要があります。それぞれの線引きと判断が大事なポイントになっていて、利益を誰かに渡すような知識の共有はやめた方が良いと感じました。#ワンモ