24.02.19
居住サポート住宅

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「居住サポート住宅」
吉田:国土交通省は、単身高齢者や障害者が賃貸住宅に入居しやすくなるよう、社会福祉法人などによる見守り機能が付いた「居住サポート住宅」を創設する方針を明らかにしました。今朝は、この「居住サポート住宅」に神庭さんに解説していただきます。
神庭さん:時事通信によると「居住サポート住宅」というのは、社会福祉法人やNPOが高齢者や障害者らの配慮が必要な人の家を定期的に訪問したり、人感センサーなどのICT技術を使って安否確認をしたりできる住宅のことです。自治体が認定し、そこから必要に応じて医療や介護などのサービスにつなげる。加えて、入居者の家賃の債務保証を引き受ける業者について、国が認定する仕組みも導入。通常国会に「住宅セーフティーネット法」の改正案を提出するということです。高齢者は孤独死や家賃滞納などのリスクが高いと判断され、若い人に比べて家を借りづらいという実態があります。大家さんに安心して物件を貸してもらえるように、仕組みを整えましょうということです。
ユージ:実際、高齢者が家を借りるのは大変でしょうか?
神庭さん:65歳からの部屋探しを支援する「株式会社R65」の昨年の調査によると、高齢者の4人に1人以上(26.8%)が、「年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否」を経験しています。関東(1都6県)だとさらに多く、およそ3人に1人(32.2%)にもなるそうです。1~2回断られるくらいならマシな方で、5回以上断られた経験がある人は全国で11.9%に達しました。入居拒否された人の収入を見てみると、「年収200万円未満」が27.7%、「年収200万円以上」も26.4%で収入による差はほとんどないことが分かりました。
ユージ:思っていた以上に多く、深刻な問題ですね。
神庭さん:そうですね。誰でもいつかは高齢者になるわけで、家を借りられなくなってしまうのは深刻な問題だと思います。ただ、大家さんも別に嫌がらせで拒否しているわけではありません。先ほどのR65が、不動産会社を対象に実施した2022年の実態調査によると、高齢者の入居後「トラブルがあった」割合は57.3%ありまして、1位が「孤独死による事故物件化」(56.25%)、2位は「家賃滞納」(42.6%)、3位は「死後の残置物の処理」(37.5%)という結果になりました。孤独死の発見が遅れると特殊清掃が必要になります。日経新聞によると、原状回復には平均40万円ほどかかり、物件価値も平均で2割ほど下がってしまうということです。高齢者の住宅難民問題の背後には、大家さんのお金の悩みがあるということです。
吉田:そういった事情もあるんですね。今回の制度改正、効果はあるのでしょうか?
神庭さん:一定の効果は見込めるかなと思います。特にセンサーなどICT技術を見守りに積極的に導入していく考え方は非常に良いです。例えば、東京電力パワーグリッドは電気の使用量をモニタリングし、認知機能の低下リスクや熱中症リスク、家電の利用状況などを解析する実証実験をしています。認知機能が下がると、IH調理器の使用時間が短くなる、冬のエアコンの使用時間が短くなるなどの傾向が見られるそうです。そして、NTTデータは昨年末、AmazonのAIアシスタントAlexaを活用した見守りサービスを始めました。こういった新しい技術やサービスをどんどん見守りに活かせるといいなと思います。
ユージ:どんどん進めて欲しいと思いますが、一方で課題はありますか?
神庭さん:1つ目は制度の複雑さにあります。現状でも要介護3以上、65歳以上の人には特別養護老人ホームがあります。他にも、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は特養より入居条件が緩く、60歳未満でも入れます。これら2つは、根拠法が違います。そこに今回、住宅セーフティーネット法を改正して「居住サポート住宅」をつくろうと。高齢者の終のすみかをめぐって様々な制度がバラバラに存在している。利用者からすると非常に分かりづらいかなという部分があって、それぞれがどんな風に役割分担をするのか、一体的な制度運用が必要かなと思います。
吉田:他にはどんな課題がありますか?
神庭さん:何をもって「事故物件」なのか?ということです。ここの整理をキチっとやらないと、大家さんが高齢者の受け入れに及び腰になる状況はなかなか変えられません。不動産取引では、人が死んだ物件は心理的瑕疵(欠陥)があり、借主に告知する義務があります。国交省が2021年にまとめたガイドラインでは、自然死や転倒などの不慮の事故に関しては告知義務ナシとされています。ただし、長期間にわたって遺体が放置されたことで特殊清掃や大規模リフォームが必要になった場合は、自然死でも告知をしないといけません。3年間は事故物件扱いとなります。早期発見できたら一番いいですが、これから高齢者の一人暮らしが増えるなかで、日本中が事故物件だらけになっていくかもしれない。例えば、告知義務が課される期間を現状の3年から「自然死なら2年」と短縮するだけでも貸し手の負担はだいぶ軽減され、高齢者にも家を貸しやすくなるのではと思います。借りる側で怖い、嫌だと思う人は「大島てる」のサイトで調べて警戒すればいいかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 19, 2024
テーマは「居住サポート住宅」
時事通信によると、国土交通省が、単身高齢者や障害者が
賃貸住宅に入居しやすくなるよう、社会福祉法人などによる見守り機能が付いた
「居住サポート住宅」を創設する方針を明らかにしました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 19, 2024
その背景として、高齢者は孤独死による事故物件化や
家賃滞納などのリスクが高いと
判断されやすいなどの原因から賃貸を借りることが難しくなっています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 19, 2024
少しでも解決するために、人感センサーなどのICT技術を使って電気の使用状況を
確認して安否確認をしたり、必要に応じて生存確認をするなど踏み込むことで、
貸し手にとっても事故物件が減ったり、高齢者にとっても
借りやすい環境ができるのではないかと僕は思いました。#ワンモ