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24.02.13

概要が明らかになった、食料危機時の対策法案について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「概要が明らかになった、食料危機時の対策法案について」

吉田:農林水産省が、食料・農業・農村基本法改正案と併せて今国会に提出する食料供給困難事態対策法案の概要が8日、分かりました。神庭さん、法案の中身ですが、どういった内容になっていますか?


神庭さん:共同通信によれば米、小麦、大豆などが不足する食料危機の際に政府が供給目標を設定。農家に増産計画の届け出を指示できるようにします。それに従わない場合は20万円以下の罰金を科すという内容で、2月下旬にも国会に提出するということです。


吉田:どうして、このタイミングで法案が提出されたのでしょうか?


神庭さん:「食料安全保障」の強化です。農林水産省の有識者会議が去年12月に報告書を取りまとめていて、食料供給を不安定化させる要因として、次のようなリスクが挙げられています。1つ目は、人口増大や新興国の経済発展に伴う食肉需要の増大です。お肉を作るには、沢山の肥料や穀物が必要になります。2つ目は、バイオ燃料など食用以外の需要の増加。3つ目は、気候変動による干ばつなどの異常気象。4つ目が、家畜伝染病や植物病害虫のまん延リスクです。アフリカ豚熱、鳥インフルなど色々あります。5つ目が、新型コロナなど人間の感染症の流行による食料供給網への影響。最後に、地政学リスクの高まりでウクライナ戦争では小麦や肥料の価格が高騰しました。こういった形で様々なリスクが顕在化しており、対応が迫られている背景があるわけです。


ユージ:昔から言われていますが、日本の食料自給率の低さも、影響していますか?


神庭さん:そうですね。一口に食料自給率といっても、カロリーベースで見ると38%で「低いな」となりますし、生産額ベースで見ると63%あるので「意外と高いな」となるかもしれません。食料安全保障の文脈だと、国民を飢えさせないことが大事なのでカロリーベースで考える必要があります。日本が経済的に右肩上がりのうちは、「食料がないなら買ってくればいいじゃない」と強気でいられました。1998年時点で日本は世界1位の農林水産物の純輸入国でしたが、経済的な地位が低下して現在では中国が最大の純輸入国となっています。結果、食料の買い付け競争に敗れる「買い負け」も懸念されています。報告書には、こうした耳の痛い指摘も並んでいます。


吉田:ただ気になるのが、政府の指示に従わない場合、農家さんに罰金が課されるというところです。


神庭さん:共同通信の報じ方もあって、その部分がかなりセンセーショナルに受け止められています。SNSでも、「減反や転作奨励金をしておきながら必要な時はつくれというのは、どうなのか?」と疑問や批判の声が広がっています。ただ実は、現状でも国民生活安定緊急措置法や買占め等防止法、食糧法といった法律はあって、それぞれに罰則が規定されています。「罰金20万円」の部分が一人歩きしている感もありますが、現行法に比べてものすごく突出した内容というわけではありません。


ユージ:そうなんですね。ですが、そういった法律があるなら、わざわざ新しく作らなくてもよくありませんか?


神庭さん:それも一理ありますが、国民生活安定緊急措置法だと、一般物価が高騰しているか、その恐れがある場合しか対応できない。買占め等防止法は、買占めや売惜しみが行われるなど問題が明らかになった場合しか対応できません。食糧法だと、お米だけしか対象にならないということで、それぞれに穴があります。食料安全保障のためには危機の兆候が明らかになった段階でスピーディーに動く必要がありますが、現行法だとそれが難しいため、政府は新規の立法を進めようとしています。


吉田:そういった背景を含めて、今回の法案について神庭さんはどう思いましたか?


神庭さん:農家の人からすると、いきなり「言うことを聞かないなら20万払え!」といきなり言われたような唐突感があると思います。米や小麦の供給量が2割以上減少する、国民が最低限必要とする食料が不足し1人あたり1日1,900kcal割る恐れがあるような相当なピンチ、有事に備えた法案だということを丁寧に説明すべきだと思います。現場の農家の人たちの声をどこまで聞いたのか疑問が残ります。そのうえで、有事になった場合の対策を今から法律で決めておくこと自体は賛成です。過去の震災時に買占め、買いだめが起きたり、コロナ禍でもマスクや消毒液が品薄になったりということがありました。そういう時、ドタバタと泥縄な対応になりましたから、何かことが起きてから慌てて対応しようとするとどうしても混乱が起きてしまいます。事前に最悪の事態に備えて法制化しておくことには意味があります。


ユージ:たしかに災害やコロナの経験を無駄にしてはいけないですよね。その上で法案の課題をあげるとしたら、何でしょうか?


神庭さん:政府につくれと言われて農作物を増産したのに、後から「やっぱり要りませんでした〜」とハシゴを外されて農家が損害を被ることがないように、ドイツやスイスのように政府が損失を補償するような仕組みが必要かなと思います。今回の法案は基本的に有事を想定したもの。食料安全保障を考えるうえで、それ以上に重要なのが「平時の課題」も大切です。農家の高齢化や担い手不足、耕作放棄地問題、フードロス問題など、平時から取り組むべき課題が山積みになっていますからそれも忘れてはいけないかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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