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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.01.22

関連死と進まない2次避難
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「関連死と進まない2次避難」

吉田:能登半島地震の発生から今日で3週間。関連死を防ぐためにも大切な2次避難が、いまだに避難している人のわずか1割にとどまっています。そこで今朝は、2次避難がなぜ進まないのか?神庭さんに解説してもらいます。


神庭さん:改めて、2次避難について説明すると自治体がホテルや旅館などを借り上げて、被災者に無料で避難してもらうことです。被災直後にまず1次避難所に移っても、プライバシー面での懸念や、インフル・コロナなどの感染リスクがあります。また、インフラの本格的な復旧にも時間がかかります。先週末の段階で石川県内の約5万軒が断水し6,000軒以上が停電しています。現地では道路が寸断され、物資をスムーズに届けるのも難しい状況です。であれば、被災者の方に金沢以南のホテルや県外の宿泊施設に2次避難していただこう、ということです。その方が安全で衛生的、お風呂にも浸かることができるでしょうということです。


ユージ:先ほど、1割にとどまっているという説明がありましたが、2次避難はどれくらい進んでいますか?


神庭さん:石川県によれば、避難者の総数が1万6,000人以上。このうち旅館・ホテルなどの2次避難所に身を寄せている人は2,075人。率にして12〜13%ほどにとどまっています。


吉田:なぜ2次避難が進まないのですか?


神庭さん:いくつか要因が考えられます。まず1つ目は2次避難がどういうもので、どうやって申請すればいいのか、無料ということも含めてきちんと被災者の方に伝わっていない可能性があります。2つ目は、仕組みとして知ってはいるけど、長年住んだ場所を離れがたいということ。特に奥能登の2市2町はお年寄りが多く、65歳以上の高齢化率が48.9%に達します。日本全体の28.8%に比べて1.7倍という非常に高い数字です。地域コミュニティーの結びつきも強く、慣れ親しんだ土地を離れることを躊躇する方も少なくないのかなと思います。


ユージ:その気持ちも分からなくないです。他にはどんな理由が考えられますか?


神庭さん:なかなか2次避難が進まない背景には、自分や家族が地元に仕事を持っており離れられない。被災した家に空き巣が入るんじゃないか?といった心配。地元自治体を離れると、仮設住宅の申請などの情報が手に入りづらくなるのではないかという不安。ペットを連れて行ける2次避難先が見当たらないなど様々な事情、心配事があるようです。2次避難所に移動するまでの暫定的な場所として石川県は1.5次避難所も整備しています。テントで仕切られ、段ボールベッドや毛布があったり少し便利で雑魚寝の1次避難所に比べると大分いいですが、あくまでも2次避難までの「つなぎ」であり、根本的な解決にはならないかなと思います。


吉田:2次避難が滞るとどういった問題が懸念されますか?


神庭さん:1番は災害関連死の増加です。災害関連死というのは建物の倒壊や火災、津波といった直接的な被害とは別に避難によるストレスや疲労、持病の悪化などで亡くなることです。東日本大震災では死者1万5,900人のうち災害関連死が3,794人、熊本地震では死者276人中221人を関連死が占めました。熊本地震の関連死の8割が70歳以上だったということです。今回の能登半島地震では232人が亡くなっていますが、すでに14人の関連死が出ています。災害関連死を防ぐうえでは「TKB」が重要だと言われています。


ユージ:TKB?


神庭さん:「避難所・避難生活学会」が提唱しているもので、Tは清潔・快適なトイレ。Kはキッチン、温かい食事のこと。Bは簡易ベッドを指します。トイレの数が不十分だと衛生環境が悪化し、被災者がトイレに行く回数を減らすために食事や水分の摂取を減らして栄養が足りなくなったり、脱水症状になったりします。避難所の食事は、おにぎりや菓子パンなど糖質や塩分が多いものに偏りがちで、栄養バランスが崩れて糖尿病が悪化しやすくなってしまいます。また、ベッドや毛布がないとエコノミークラス症候群や低体温症のリスクが高まります。こうしたTKBを改善させるためにも、ホテルや旅館などへの2次避難を進めることが非常に重要になっていきます。


ユージ:2次避難を進めるためにどうしたらいいでしょうか?


神庭さん:被災者向けの情報発信の仕方を工夫して、丁寧な合意形成を進める必要があるかなと思います。2次避難することで、仮設住宅の情報が取りづらくなって不利になるようなことはないと伝える。「片道切符」で2度と故郷に帰って来られないのではないかと心配している方には、まずは1~2週間の短期間でもいいから2次避難を検討してみてはどうかと説得してみる。あとは、地域コミュニティーの繋がりが壊れないように、集落ごとにまとめて避難するなど被災者の方のニーズに寄り添った避難先のマッチングも大切だと思います。世代によって求めているものが異なるので、子育て世帯だとインフラ復旧が長期化するなら、仮設住宅で暮らすよりも別の地域に移り住みたい、むしろ早く2次避難したいという方もいるはずです。全てのニーズを満たすことは難しいにしても、被災者の方々の声に細やかに耳を傾けつつ、速かな2次避難を進めていかないといけないなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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