23.12.19
全来年発足する「特殊詐欺連合捜査班」について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【全来年発足する「特殊詐欺連合捜査班」について】
吉田:各都道府県の警察が連携して捜査に当たる、特殊詐欺の新しい体制「特殊詐欺連合捜査班」が来年4月に発足することを受け、警察庁の露木長官は、先週の定例記者会見で「効果的に運用して、被疑者の検挙や犯行拠点の摘発に結びつけていきたい」などと語りました。
吉田:神庭さん、やはり特殊詐欺は増えているのでしょうか?
神庭さん:昨年の特殊詐欺の認知件数は1万7,570件、被害総額は370.8億円で前年から31.5%増えています。被害額は近年減少傾向だったのですが、8年ぶりに増加に転じてしまいました。
吉田:そんな中、来年誕生する「特殊詐欺連合捜査班」、どんな組織になりますか?
神庭さん:特殊詐欺被害への対応を強化するため、都道府県警察の枠を越えて来年4月に発足するのが「特殊詐欺連合捜査班」です。地方の県警から都市部に捜査員を集めて、東京200人、埼玉70人、千葉70人、神奈川60人、愛知30人、大阪40人、福岡25人の7都府県、500人体制で捜査にあたることにしました。もともとは関東の4都県50人体制だったものを大きく拡充した形になります。
ユージ:かなり規模が大きくなりますね。各地の警察から人員を集めた狙いは何でしょうか?
神庭さん:産経新聞によると、高齢者の特殊詐欺被害は全国各地で起こっている一方で、ATMでの現金の引き出しなど詐欺グループの活動は都市部に集中しています。「発生地主義」といって、従来は事件の起きた県警が捜査にあたる原則でやってきたのですが、そうすると地方の県警から都市部に捜査員を派遣しなければなりません。その間に、地元の県警は捜査に穴が開き出張費もかさむという問題がありました。そこで、発生地主義の原則を転換して効率的でスピーディーな捜査を目指すということです。
ユージ:なるほど。ドラマなんかでたまに見ますね。うまくいくのでしょうか?
神庭さん:一定の効果は期待できるかなと思います。犯罪を犯す側が日本全国、なんなら海外までまたにかけて悪さをしているのに、捜査する側が縦割りで分断されていたら追いつけません。朝日新聞によれば、去年の1月から今年6月までの1年半に特殊詐欺に関わった疑いで検挙された組織幹部342人のうち、76%が今回捜査員を増やす7都府県に住んでいたということです。捜査員の限られたリソースを都市部に多く貼り付ければ捜査の効率アップになりますし、容疑者を特定してから検挙するまでの期間を短縮できるのではないかと思います。
吉田:効果があることを期待したいところですが、特殊詐欺への対策として、警察は他にどんな取り組みをしているのでしょうか?
神庭さん:警察庁は9月に、AIを活用してSNS上で「闇バイト」「高収入」「受け子」「運び屋」などの犯罪が疑われるワードを監視する必要に応じて削除要請をすると発表しました。兵庫県警も10月から同様のシステムを導入していて、Xの怪しい投稿にこんな風に返信しています。《こちらは兵庫県警察です。この投稿は特殊詐欺などの実行犯を募集する不適切な書き込みの恐れがあります》《#闇バイトは犯罪です!犯罪組織の使い捨ての駒として利用され、途中でやめることもできず、いずれ逮捕されます》
吉田:既にAIも導入しているんですね。ただ、この注意喚起、効果あるものでしょうか?
神庭さん:「捨て駒にされるだけ」という主張は正論ですが、実際に犯罪抑止につながるのかは疑問もあります。あるワードが引っかかると気づいたら、別の隠語を使うだけです。Xだとバレると思ったら匿名性の高い別のアプリを使うなどして、より地下に潜って犯罪の端緒を捉えづらくなる恐れがあります。どんなワードがブラックリストに入っているとか、いちいち発表しない方がいいし、黙ってAIで監視して泳がせて尻尾を捕まえる方がいいのではないかなと思います。
ユージ:これから特殊詐欺への対策として、課題となることは何でしょうか?
神庭さん:警察としては犯罪が起きた後の捜査が中心になりますが、社会全体としてどうやって未然に防ぐかを考える必要があります。つい最近も海上保安学校の生徒で20歳の男が80代の女性からキャッシュカードを盗んだ疑いで逮捕されました。大阪府警は特殊詐欺グループの「受け子」とみて調べているそうです。それ以外にも、大学生が特殊詐欺に絡んで逮捕されるケースが相次いでいます。一義的には個人の問題ですし、少子化で学生の質が低下している面もあると思いますが、犯罪がカジュアル化しているのは問題ですよね。若者が奨学金などで困窮している一方で、高齢者との世代間格差が放置されたままになっていると、「お金持ちの高齢者からはお金を取ってもいいんだ」みたいな身勝手な思い込み、屁理屈に拍車をかけてしまいます。大きな話になってしまいますが、様々な格差を是正して若い人がまともな仕事につけるようにしていくことも大切だと思います。
ユージ:あと、身近な人が巻き込まれるケースもあると思います。できる対策としては何があるでしょうか?
神庭さん:できるだけ固定電話を持たないようにすることです。電話に関連した特殊詐欺のうち97.2%を固定電話が占めています。固定電話ユーザーには高齢者が多く、詐欺グループのカモにされてしまっています。だからこそ、持たないことが最大の防御策になります。どうしても固定電話が必要で携帯に切り替えるのが難しい場合には、ナンバーディスプレイ機能に加えて、非通知や登録した番号以外からの着信を拒否できるような機能がついたものを選ぶようにして欲しいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2023
『来年発足する「特殊詐欺 連合捜査班」』
驚いたのは、昨年の特殊詐欺の被害総額が370.8億円で、前年からなんと31.5%も増えたということです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2023
近年は減少傾向だった被害総額が、8年ぶりに増加したことが大きな問題となりました。そこで、来年から7都府県の警察から人員を集めた「連合捜査班」という組織が、総勢500人体制で捜査にあたることになりました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2023
もう一つ驚いたのが、特殊詐欺被害の85.2%が電話で起きていて、そのうちの97.2%は固定電話で起こっていたということです。固定電話を置いている世帯は高齢者が多いということに目をつけて詐欺に誘導しているそうです。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2023
対策として固定電話から携帯電話に切り替えるのも一つの手ですし、最近の固定電話には録音装置や警察に通報するシステムが備わっているものもあるそうなので、そういったアイテムをご家族がプレゼントするなど、家族を守る為の工夫をする必要はあると思います。#ワンモ
#ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2023
若い方も被害に遭うことがあるほど巧妙な手口を使った事例もあります。来年発足する連合捜査班には期待しつつ、自分たちで未然に防ぐ方法を考える必要があると思いました。#ワンモ