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23.11.13

国家公務員特別職の給与法改正案
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「国家公務員特別職の給与法改正案」

吉田:衆議院の内閣委員会は先週金曜日、岸田総理らの2023年度給与を引き上げる、国家公務員特別職の給与法改正案を与党などの賛成多数で可決しました。


ユージ:先週、ニュースでずっとこの話題が取り上げられていましたよね。


神庭さん:改めて、この給与法改正案どういうものかというと、総理の年収を現状46万円アップの4,061万円に、閣僚(大臣)の方は32万円アップの2,961万円に引き上げる内容です。国民が物価高で苦しんでいるのに何事か!と批判が殺到しました。野党から厳しい追及の声が上がり、与党内にも凍結論が出ていました。こうした声を受けて、「給与アップの法改正案は通すけど、そのあとアップ分を返すね」という若干分かりづらい玉虫色の対応をとることになりました。もともと、総理も閣僚も給与の満額は貰っていません。行財政改革のため総理は3割、閣僚は2割を自主返納していました。それに加えて、今回の給与増額の分も国庫に返納する話になっています。


吉田:そもそも、なぜこのタイミングですか?


神庭さん:国家公務員は大きく一般職と特別職に分かれます。一般職は、国家公務員28万人に関しては、すでに8月の段階で、月給を3,869円、ボーナスを0.1ヶ月分引き上げて4.5ヶ月分にするように人事院が勧告しています。公務員はストライキが禁止されていて、賃上げを求めてストを打つことが出来ません。代わりに人事院が勧告を出す仕組みになっています。そして、総理や閣僚、国会職員、裁判所職員、防衛省職員などの特別職の給与も、一般職に合わせて上げるのが通例になっていて、今回も一般職に準じる形で改正案が出てきたという経緯です。


ユージ:ちなみに、政府はなんと説明しているのでしょうか?


神庭さん:松野官房長官は「公務員全体の給与の体系を維持する観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定してきており、賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切」と説明しています。共同通信によると、河野太郎・国家公務員制度担当大臣も「特別職には会計検査院長や人事院総裁らも含まれます。人材を確保し、賃上げの流れを止めないためにも給与改定が必要だ」と理解を求めました。また、岸田総理は国会で野党の追及を受けて「国民の不信を招かないようにしなければならない」と答弁しています。


ユージ:野党はどのように言っていますか?


神庭さん:立憲民主の泉健太代表は一般職や自衛隊、若者の初任給アップは当然だとしたうえで、総理や閣僚の給料を上げることには賛成できないとして、「自主返納ではなく、撤回をするべきだ」と求めています。立憲は総理らの給与を据え置きにする修正案も提出したのですが、与党などの反対で否決されました。


神庭さん:維新の政調会長の音喜多駿参院議員は、国会で岸田総理にこう迫りました。「賃上げも追いついていない。社会保険料の負担はキツイ」「国民を差し置いて総理は給与アップで、月給だけで年間7万2,000円。なんと経済対策で給付される金額よりも多い。到底、国民の理解は得られない」と言いました。国民民主の玉木雄一郎代表も「岸田総理や閣僚が40万円、30万円欲しいからこういうことをやっているわけではないと思いますが、ただタイミングや色々なことを考えるとセンスが悪い」と苦言を呈しました。共産党も「廃案にすることがけじめとして必要」と述べるなど普段はバラバラな野党が反対一色となり、図らずも方向性が一致しました。


ユージ:神庭さんはどう考えますか?


神庭さん:岸田総理は来年の春闘に向けて「私が先頭に立って賃上げを働きかける」と訴えていたのですが、いやいや「先頭に立つ」って、まず自分の給料を上げますという話ではありませんよね?と思いました。9月の実質賃金は前年同月比2.4%減で、18ヶ月連続のマイナスに陥っています。賃金は物価に遅れて上がるので、一定期間、実質賃金がマイナスになるのは致し方ないですが、それにしても18ヶ月は長いですよね。多くの国民が苦しんでいるなかで、真っ先に総理や大臣の給与アップを言い出せば、ひんしゅくを買うのは当然です。賃上げの成果が国民全体に行き渡って、最後の最後に自分自身にやるべきことではないかと思います。


吉田:ちなみに、世界のトップはどれくらい貰っていますか?


神庭さん:アメリカ大統領は6,000万円、シンガポールの首相は2億円を超えます。円安ということもあって、円ベースだとこの数年で大きく膨らんでいます。もちろん一国のリーダーはとんでもない激務ですし、重責も伴います。岸田総理の4,000万円が高すぎるとは僕も思いませんが、ただ今このタイミングで給与アップをやるんですか?という話ですよね。ブラック霞が関の待遇を改善して、優秀な学生にキャリア官僚になってもらう。自衛隊員不足に歯止めがかからないなかで、自衛隊員の給与を少しでも引き上げる。こうしたことに反対する人はそんなにいないと思います。ですが、官僚や自衛隊員と、総理・閣僚は別ですよね。国民はどう受け止めるか、想像力の問題だと思います。4万円の減税やら7万円の給付金やらアメ玉をぶら下げて見せても、総理や閣僚は40万円、30万円アップしますよ、というのはではありがたみも薄れてしまいます。支持率ガタ落ちでもはや選挙どころではないかもしれませんが、選挙前の人気取り、パフォーマンスとしても失敗しているのではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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