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23.10.31

臨時国会、注目の経済対策について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。



吉田:昨日の衆議院予算委員会は、防衛費増額や少子化対策のための国民の負担増と、所得税などの減税を同じ時期に検討する政府の姿勢をめぐり論戦となりました。神庭さん、臨時国会、注目はやはり経済対策です。


神庭さん:なかでも減税・給付金が最大の注目ポイントになっているかなと思います。先週一度取り上げてから、色々と詳しい話が出てきたので、改めて最新情報をお伝えしたいと思います。まず、減税額。検討案として報道されているところでは、1人あたり所得税3万円、住民税1万円の合わせて4万円を減税します。家族を扶養している場合は、そちらも対象になるということです。例えば、3人家族で夫婦と子どもが1人だったら、4×3で合計12万円の減税です。対象となるのは9,000万人ほど、実現すれば所得税・住民税を合わせて総額3.5兆円規模の減税になります。


吉田:給付金はどうなっているでしょうか?


神庭さん:もともと税を納めていない世帯は「減税」だと恩恵が行き渡りませんから、給付金としてお金を配ります。住民税や所得税を収めていない、およそ1,500万の住民税非課税世帯に対して、1世帯あたり7万円を給付します。春に物価高対策として3万円の支給を決めており、そちらも合わせると非課税世帯に合計で10万円支給することになります。


ユージ:いつからなのか、時期が気になりますね。


神庭さん:1人4万円の減税の方は来年の6月、給付金の方は年内にスタートする見通しで時期がズレます。増税はずっと続く恒久減税ではなく、1回こっきり1年限定とすることが有力視されています。ただ、公明党の山口那津男代表は、景気が悪化した場合に減税期間を延ばす「景気条項」を検討するべきだと主張。時事通信によれば、街頭演説で「物価高が続く状況であれば、1回こっきりで終わりにはならない」とも訴えたそうです。過去の歴史を振り返っても、1998年に橋本内閣が所得税の減税を始めてから2007年の安倍政権で全廃するまで8年かかっています。いったん減税を始めると、なかなか解除しづらく期間に関しては、今後も綱引きが続く可能性があるかなと思います。


ユージ:所得によって制限されてしまうこともあるのでしょうか?


神庭さん:自民党の税制調査会では年収2,000万円を超える高額所得者は対象外とする案が出ています。一方、岸田総理は、所得制限に慎重です。定額減税には子育て支援の意味もあるとして、「子育て世帯の分断を招くようなことはあってはならない」と話しています。公明党も岸田総理の意見に同調していますので、所得制限をめぐる国会論戦にも注目したいと思います。


吉田:ということは誰でも、減税か給付金のどちらかは受けられるわけですか?


神庭さん:実は、どちらからもこぼれ落ちてしまう「スキマ層」が出てしまうことが懸念されています。日経新聞によると、所得税は収めていないけど、住民税を収めている人が500万人、課税はされているものの納税額が4万円未満で減税のメリットを受けきれない層が400万人いて、合計900万人ほどのスキマ層が生じます。このうち前者の住民税だけ収めている500万人に対しては1世帯あたり10万円を給付する案が出ています。後者に関して、読売新聞は「納税額が1人4万円の減税額に達しない場合、差額分を補うことを検討する」と報じています。選挙前にくまなく恩恵を配りたいということかもしれませんが、減税、給付金、減税と給付金のMIXと様々な形態が混在する複雑な制度になりそうです。


吉田:神庭さんは、この所得減税についてどう思われますか?


神庭さん:なぜ所得減税なのか?単に選挙目当てか増税メガネと言われたくなくて意地になっているのかもしれませんが、政策の目的がハッキリしないから様々な矛盾が噴出しています。税収増の「還元」が目的だとしたら、所得税を払っている人が4万円で非課税世帯が7万円というのは筋が通りません。インフレ対策だと言いますが、所得税を下げることでマネーの流通量が増えてかえってインフレが進むリスクがあります。防衛増税との整合性もとれない。それでも副作用覚悟でやるなら、時限的に消費税を下げる方が、直接物価を下げられますし、世代や収入に関係なく、皆が等しく恩恵を受けられます。「いや、子育て対策です」というなら、世代ごとの医療費の負担割合などを見直したうえで社会保険料を下げる方が、現役世代や子育て世帯、あるいはこれから結婚を考える若者へのメリットも大きいと思います。世代間格差の是正や賃上げにもつながると思います。


ユージ:経済対策以外に注目ポイントは何でしょうか?


神庭さん:医療用大麻を解禁する一方、大麻の使用に7年以下の懲役を科す「使用罪」を創設する改正法案が提出されています。アメとムチではありませんが、医療用大麻の規制緩和と犯罪としての取り締まり強化のバランスをどう取るかというのが注目だと思います。もう1つは、やはりライドシェア問題です。タクシー不足を改善するため、都市部で二種免許とは別に課されている「地理試験」について、国土交通大臣が国会で廃止も含めて早急に検討すると答弁しました。「地理試験は難しすぎる」「ナビやGoogleマップがあるから必要ない」という声の一方で、「ナビがいつも正しいとは限らない」「地理試験で問われる幹線道路や交差点は最低限知っておかないと」という意見もあり、賛否両論になっています。この辺りも国会での議論に注目したいところかなと思います。


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