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23.10.30

国民年金、保険料納付5年延長案
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「国民年金、保険料納付5年延長案」

吉田:先週、国民年金の保険料を支払う期間について、厚生労働省の社会保障審議会の年金部会が5年延長して、65歳になるまでの45年間とする案の議論を始めていることがわかりました。


神庭さん:そもそも国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が入る基礎年金です。加入は義務なので、アルバイトや学生であっても原則保険料を払わないといけません。年金は3階建てになっていて、国民年金が1階。2階は会社員や公務員が加入する厚生年金で、報酬によって増減します。さらにその上の3階に、私的年金であるiDeCoや企業年金がきます。今回、5年延長の案が出ているのは、1階の国民年金の部分で2階の厚生年金の方は、すでに70歳になるまで加入できるようになっています。国民年金の保険料ですが、2023年度の時点で1万6,520円。受給額はいくらになるかというと、20歳から60歳まで40年間きっちり全部納めると、65歳から年間で80万円弱もらえます。月に直すと約6万6,000円になります。40年の支払い総額800万円弱に対して、64歳で亡くなった場合のリターンは0円です。遺族年金や死亡一時金が出る可能性もありますが、亡くなってしまった本人ベースで考えると払い損になります。一方で95歳まで長生きすれば、30年間で総額2,400万円弱ですから支払額を大幅に上回ることになります。


吉田:納付期間が5年延びると、負担はどれくらい増えるのでしょうか?


神庭さん:単純計算で約100万円増え、支払い総額は現状の800万円弱から900万円弱に膨らむという形です。


吉田:100万円となると小さくない額ですね。延長の狙いというのはどこにあるでしょうか?


神庭さん:受け取る年金額が減ってしまうのを防ぐのが狙いです。今のままだと給付額が目減りする可能性があります。背景には、マクロ経済スライドという仕組みが十分に機能しなかったことがあります。


吉田:また難しそうな言葉が出てきました。マクロ経済スライドとは何でしょうか?


神庭さん:年金の給付と負担をバランスさせるための仕組みです。高齢化で年金支給額がどんどん増えるからと、現役世代の保険料負担を青天井で増やしていくと、現役世代が支えきれずにパンクしてしまいます。そこで2004年に導入したのがマクロ経済スライドです。保険料率の上限、負担の天井を決めて、それ以上は増やさないようにします。物価や賃金の伸びに比べて、年金額を抑制するための仕組みです。読売新聞によると、政府の当初の想定では毎年のようにマクロ経済スライドを発動して、今年度には給付の抑制を終えるはずでした。ところがデフレの長期化で物価や賃金が伸びず、これまでにたった4回しかマクロ経済スライドが発動していません。今の状態だと2047年度まで国民年金の給付調整を続ける必要があります。そこで、年金の給付が目減りしないように納付期間を長くするという案が出てきています。


ユージ:5年の延長は実現しそうでしょうか?


神庭さん:共同通信によれば、委員からは「このままだと基礎年金だけでは生活が成り立たなくなる可能性があり、延長したほうがいい」「平均寿命が延び、働ける高齢者は保険料を支払うべきだ」といった声が上がっており、賛成意見が多数を占めています。来年中に結論を出し、再来年の通常国会で関連法の改正案を提出することを目指しているということです。


ユージ:5年延長案、どう思いますか?


神庭さん:政府は「100年安心」と言っていたのですが、見通しが甘く20年経たずに大きな修正を求められています。実際には全然安心じゃなかったという話だと思いますが、年金給付を抑えるためにマクロ経済スライドを導入したのに、給付額が目減りするから今度は納付期間を延ばしたいという。給付を減らしたいのか増やしたいのかよく分からないし、行き当たりばったりに見えます。給付を抑えたいなら、わざわざ保険料負担を増やす必要はありませんし、給付を増やしたいなら納付期間の延長が必要になります。どっちですか?という話です。どちらでもいいけど一貫性のある説明をして欲しいとのことで、僕が5年延長以上に問題だと思うのは、サラリーマン年金である厚生年金から国民年金にお金を回す案が出ていることです。僕は、絶対反対です。


ユージ:そんなアイデアも、出ているのですか?


神庭さん:自営業者らが加入する国民年金の昨年度の決算は1,200億円余の赤字です。一方、会社員が入る厚生年金は3兆4,000億円余の黒字です。積立金の額も国民年金が10兆ほどにとどまるのに対し、厚生年金は197兆円を超えます。要は厚生年金さん、余裕があるなら国民年金さんを助けてあげてよ、という話です。とはいえ会社員からしたら、厚生年金の保険料として毎月、報酬の18.3%という安くない金額を労使折半で負担しているわけで、国民年金に「横流し」されるのは納得感が得づらいかなと思います。もちろん、高齢者の低年金や無年金を放置すれば、将来的に生活保護費の増大という形で公費に跳ね返ってきます。全く無視していいという話ではありません。所得の再分配を進めたいのであれば、厚生年金にツケ回しをするのではなく、税金などで対応するのが本筋ではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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