23.09.21
過激化する“世直し系YouTuber”

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「過激化する“世直し系YouTuber”」
吉田:痴漢や盗撮をしている犯人を取り押さえて、駅員さんや警察官に身柄を引き渡す様子を動画に収めてアップする「世直し系/自警団系YouTuber」のチャンネルをご存知でしょうか?犯罪を許さない!という姿勢は、正義の味方そのものなのですが、逃げ出す犯人を追いかけて、押さえ込み制圧する姿が荒々しかったり、怪しい行動をしていた人物に「今、悪さをしようとしていただろう?」と声をかけて、謝るまでの様子をモザイク無しで配信するといった行為に“行き過ぎではないか?”と疑問視する声が上がっています。はたして「世直し系YouTuber」の行為は、どこまで許されるものなのでしょうか?塚越さんに解説いただきます。
ユージ:「世直し系YouTuber」と呼ばれる方々のチャンネルでは、どのような内容の動画を配信しているのでしょうか?
塚越さん:色々あるのですが、例えば痴漢や盗撮、ライブ会場でのチケットの転売やあおり運転、他にも路上喫煙やポイ捨てなどあります。法律やマナー違反をみつけて注意して回る動画があります。場合によっては電車内で相手の胸ぐらを掴んだり、体を倒して床に突っ伏させて制圧したりと、過激なものもあります。さらに、顔や車のナンバー等にモザイクをかけずに晒すコンテンツもあり、過激さの程度は様々あるという感じです。
吉田:そもそも、警察官でもない人が「逮捕」したり「身柄を拘束」しても良いのでしょうか?
塚越さん:一般人による現行犯逮捕は「私人逮捕」と呼ばれるもので刑事訴訟法でも、いろいろとルールはありますが、逮捕状がなくても一般人による逮捕(私人逮捕)は認められています。そのルールの1つは、例えば犯人がその場で犯行するか、終わったところ、つまり「現行犯」に限ることです。誤認逮捕の恐れが限りなく少ないからということです。他にも細かなルールはあるのですが、そうした条件に該当しないで逮捕した場合は「暴行罪」や「逮捕監禁罪」等に問われるケースもあります。他にも、動画を撮ってアップしている場合、名誉毀損やプライバシー侵害、脅迫罪に問われる可能性もあります。
ユージ:これまで、どのような問題が起きていますか?
塚越さん:実際にあったものでは、わざと財布を路上に落として拾った人がどう対応するか撮影し、財布を持っていかれたので警察に被害を申告したケースがあります。この場合、撮影した人が逆に偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されました。要するにウソ、つまり財布を盗まれたと虚偽申告にあたるとして、警察の業務を妨害したということで逮捕されたということです。この場合は世直しというより「検証動画」と言われる部類にもなりますが、いずれにしても再生数稼ぎの悪質なものと考えられます。他にも麻薬の密売人に売買を持ちかけて警察に情報をタレコミして、おとり捜査のようなことをして、大麻を持ってこさせる指示行為が「教唆そそのかし」に該当するとしてYouTuberが書類送検されたこともあります。人気YouTuberは法律関係にかなり配慮しているのですが、大した知識もなく「やってみた」といった感じの場合、法令違反に該当することがあります。
ユージ:こうしたチャンネルに対して、視聴者である私たちはどのようなスタンスでいるべきか?そして動画を作るYouTuberに対して注意喚起できることは何かありますか?
塚越さん:「世直し系YouTuber」といっても常識の範囲内でやっていたり、法的なことをわきまえている人もいるので、こうした方々すべてを判断できるものではありません。そういう意味では、社会的に有益なものもあるのかと思います。ただし、やはり再生数が収益につながる今の構造では、結果的に過激化する可能性があるかなと思います。YouTuberは、私人逮捕の要件をよく調べて、別途警察へ通報するという手段も考える必要があります。でないと、私人逮捕が過激化すると誤認逮捕になるケースが増えたり、またモザイクなしの動画がネットに広がれば、万が一違った場合、大きな人権侵害につながる可能性もあります。一方で私たちも、「これは社会正義だ」といいつつも実際は「エンタメ」として消費していることもあるので、実際どうなんだろうと考える必要があります。アメリカでは、トランプさんが出たあたりから本音を言っていて、2016年くらいからアメリカは「本音が暴走している」とよく言われています。一方で日本では、本音は言いづらいので「これは社会正義だ」などのように「建前の暴走」が起きており、非常に日本人的だなと思います。社会正義と言っておきながら、実は「世直し系YouTuber」が行っているような行為を見たいのだろうと、私も含めてあると思います。そのため、建前であれ重要なのは本質的なところだと思います。見る側が再生数に紐づくので本当にこれが意味あることなのかと考えることが必要ですが、実際は難しいので注意して見ていただけたらと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 21, 2023
『過激化する”世直し系YouTuber”』
僕もいわゆる”世直し系YouTuber”の動画を何度か観たことがあります。僕が観た動画では、マナー違反をしている人物に冷静に注意を呼びかけ、顔にモザイク処理も行われていたので、安心して観ることができました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 21, 2023
ただし、再生数が収益につながる今の構造では、大した法律の知識のない人が行きすぎた行為をすることによって大きなトラブルに繋がる可能性がありますし、自身が罪に問われかねない場合もあるわけです。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 21, 2023
また、暴露系YouTuberも同様に、結果的に脅迫罪に問われているケースもあるので、収益を支払うプラットフォーム側も収益化の基準を見直すフェーズに入ってきたのではないかと思いました。#ワンモ