23.09.11
習近平氏欠席のG20サミット

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「習近平氏欠席のG20サミット」
吉田:日本とアメリカ、ヨーロッパの先進国に新興国を加えた20カ国・地域首脳会議『G20サミット』が9日、インドの首都ニューデリーで開幕しました。核兵器による威嚇に反対することなどを盛り込んだ首脳宣言を採択しました。そこで今朝は、G20サミットと習近平国家主席が欠席した背景について神庭さんに解説してもらいます。
神庭さん:そもそもG20とは、「グループ・オブ・トゥエンティー」の略です。日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの7カ国が主要7カ国のG7で、そこにEU、ロシア、中国、韓国、インドなどが加わった合計20の国・地域の枠組みです。アジア通貨危機などを経て、1999年に財務大臣級の会議がG20で創設することが決まりました。その後、2008年にリーマンショックが起きて世界的な金融危機に陥った時に、財務大臣クラスから大統領・首相など首脳級の会議に格上げされて初めてサミットが開かれました。今は1年に1回のペースで開かれてます。議長国は持ち回りで、今回の議長国はインドです。
ユージ:中国の習近平国家主席の欠席が日本でも大きく報道されていましたが理由は何でしょうか?
神庭さん:理由はいくつかあります。中国とインドは東西3500キロもの長大な距離を国境で接していて、領有権をめぐって過去に国境紛争も起きています。昨年12月には両国の兵士が素手で殴り合う衝突があり、話題になりました。もともと緊張関係にあり、バチバチの関係と言えなくもないです。アジア・アフリカの新興国、途上国を総称してグローバルサウスと言いいますが、最近インドがグローバルサウスのリーダーとして存在感を増していることも中国からしたら面白くないわけです。G20を成功させれば、ますますインドのパワーが強まるわけで、敵に塩を送るくらいなら「ここらでメンツを潰してやれ」と考えたとしても不思議はありません。
吉田:他にもありますか?
神庭さん:一部で習近平氏の健康不安説も囁かれていますが、G20に欠席しつつ同時期にザンビアやベネズエラの大統領の訪中は受け入れています。当てつけにも見える行動について、通信社のBloombergは「習主席がどのような外交を望んでいるかという明確なメッセージだ」と分析しています。ウクライナ戦争をめぐってロシア側に寄り添う中国は、G20に出ても西側諸国から批判を浴びることが確実です。お友達のロシアも欠席しており、より一層、孤立が際立つ可能性があります。だったら、デンと構えて自国にとどまり、友好国の訪中を受け入れる方がいいと判断したのかもしれません。もう1つは、先週もお話ししたように不動産バブルの崩壊や、若者の失業率の悪化など国内経済がボロボロの状況で、「G20どころじゃない」という要因も考えられます。
ユージ:習近平氏の欠席にはそういった背景が考えられるということですね。そんななか、行われたG20サミットでは何が決まりましたか?
吉田:ロシアの名指しを避けつつ、「あらゆる国は領土獲得のための武力行使を控えなければならない」「核兵器の使用や威嚇は許されない」といった首脳宣言を採択しました。朝日新聞によれば、昨年のインドネシアでのサミットでは「ロシアの侵略」「ウクライナ領土からの完全かつ無条件な撤退を要求」といった直接的で強い言葉があったのですが、今回はそういった言葉がありませんでした。ロシア批判が後退して一般論的な首脳宣言にとどまったのは議長国インドの、ロシアへの配慮もあると言われています。先進国が厳しいロシア制裁をかけるなかでも、インドは盛んにロシアとの貿易を大きく増やし、抜け穴のようになっているということです。後退した内容ではあるのですが、今回は習近平国家主席やプーチン大統領の欠席もあって首脳宣言を採択できないのではないか?という事前の観測もありました。そんななかで、ギリギリの落としどころを見つけたというところかもしれません。
吉田:他にも、神庭さんが気になったポイントはどこですか?
神庭さん:議長国インドが主導する形で、アフリカ連合をG20の正式なメンバーとして迎え入れることで合意しました。グローバルサウスのリーダーとしてのインドの存在感が、さらに強まったと思います。日本が関係するところだと、処理水問題をめぐって岸田総理が中国を念頭に、「一部の国が突出した対応をとっている」と批判し、安全性を強調しました。岸田総理はG20に先立って開かれたこの間のASEAN脳会議でも、中国の首相に直接会って日本産水産物の禁輸撤回を求めています。こういった毅然とした姿勢は良いなと思います。また、アメリカはG20に合わせてインドや中東、ヨーロッパを鉄道と船で結ぶ経済回廊の構想を発表しました。中国の「一帯一路」構想を明らかに意識した取り組みで、実現すればエネルギー安全保障や経済安全保障にプラスになると思いますが、一方で中国がどう出るか注目ポイントです。
ユージ:最後に今回のG20について、神庭さんは、どのような感想を持ちましたか?
神庭さん:G20域内のGDPは世界全体の8割を占めています。日本やアメリカなどのG7だけだと4割ちょっとです。先進国の影響力が低下する一方で、それ以外の国々のパワーが増してきています。にもかかわらず、G7は昔と同じ調子で「世界の中心」を気取っていて、グローバルサウスの国々からは「あいつら何なんだ?」と思われているフシがあります。そのため、G7とG20の間で距離感が広がっていますが、経済や安全保障、気候変動など様々な面で歩調を合わせていく必要があります。その隙間を埋めていく努力が必要です。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 11, 2023
テーマは『習近平氏欠席のG20サミット』
現在、ウクライナの戦争をめぐって
ロシア側に寄り添う中国が出席しても
諸国から批判を浴びることは確実なので、
今回のG20を中国が欠席するというのは理解できます。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 11, 2023
一方で、今回のG20で感じたことといえば、
これまで世界の中でもかなりの力を持っていた
G7だけで合わせたGDPの割合です。
G20域内のGDPは世界全体の8割を占めますが、G7だけとなると4割程度で、
以前に比べて、今ではG7以外の諸外国の力がとても強くなってきています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 11, 2023
そういった諸外国が力をつけていくなか、
G20としての一体感や連携を取ることは
各国にとっても非常にメリットがあるでしょう。
今回は残念ながら中国は欠席でしたが、
G20では、必要な情報共有や連携を取るための話し合いを
これからも重ねていく必要があると改めて思いました。#ワンモ