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23.09.12

兵庫県洲本市の『ふるさと納税』問題
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【兵庫県洲本市の『ふるさと納税』問題】

吉田:兵庫県洲本市が「ふるさと納税」の返礼品基準に違反した問題で第三者調査委員会が先週、最終報告書を公表し、その中で、「市長ら幹部の法令順守意識や、内部統制が機能せず、問題を招いた」と批判しました。神庭さん、洲本市でふるさと納税に関して、何が起きたのでしょうか?


神庭さん:ふるさと納税には3割ルールといって、返礼品の金額を寄付額の3割に押さえないといけない決まりがあります。また、送料や事務費も含めた経費全体で5割を下回るようにしないといけない5割ルールというものもあります。ところが、洲本市では返礼品と別に「おまけ」として温泉利用券やクオカード、食事券やお菓子をつける行為が横行し、ルールを逸脱していました。第三者調査委員会の報告書によると、昨年4月時点のすべての返礼品1195品のうち127品が3割ルール違反、174品が5割ルール違反です。洲本は淡路島にある自治体ですが、返礼品が淡路島産ですらないケースも散見され、計373品、全体の31.21%が何らかの基準に違反していたということです。


ユージ:少しやり過ぎた感じでしょうか。そもそも、「ふるさと納税」の目的は何でしょうか?


神庭さん:「生まれ育ったふるさとに還元する」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶ」という趣旨でつくられた制度です。よその自治体に寄付すると、自己負担2,000円を除く全額が所得税や住民税から控除され、食べ物や名産品などの返礼品がもらえるシステムです。実質2,000円の負担で全国のグルメや名産が楽しめることもあり、iDeCoやNISAに並ぶ「節税」の手段としても人気があります。昨年度の寄付総額は9654億円で、前年度から1.2倍に増えています。最近では、処理水に関する風評被害や中国の禁輸措置などで困っている自治体に「応援しようよ」という形でふるさと納税も広がっています。


ユージ:例えば、東京の23区などは税収が流れて困っているなんて話も聞いたことがあります。


神庭さん:総務省は住民税の流出額が多かった自治体ランキングも合わせて発表しています。ワースト1位が、横浜市272億円。ワースト2位が、名古屋市159億円。ワースト3位が、大阪市148億円。ワースト4位が、川崎市121億円。ワースト5位が、東京・世田谷区98億円ということで、かなり金額が大きくて大都市が上位に並んでいます。もともと都市部から地方に税収を移すことを狙った制度なので、ある意味当然の結果とも言えますが、こうやって目に見えて流出してしまうと上位の自治体から不満の声も出ています。


吉田:神庭さんは、ふるさと納税についてどう考えていますか?


神庭さん:典型的な合成の誤謬かなというふうに思います。ミクロの視点では理にかなった合理的な行動でも、それがマクロの世界だと、必ずしも良い結果にならないということで、僕ら一人ひとりが少しでも税金を安くしたい、手取りを増やしたいと行動した結果、自分の地元に入ってくるお金がなくなっちゃうという現象が、特に都市部では起きています。そうすると、自分が住んでいる街の保育園や学校、役所、高齢者施設のサービスが低下するとか、お金がかけられなくなってしまうかもしれないということです。ミクロの行動が、いびつな形でマクロの結果に跳ね返ってきているということです。


ユージ:ふるさと納税に批判的な方も中にはおられて、「やめるべき」という意見もあります。神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:「やめるべき」とは思わなくて、先ほどもお話しした通り、ふるさと納税は庶民にとって数少ない節税手段なんです。もしなくすのであれば、消費や経済にダメージが出ないように別途減税するなり、控除を増やすなりするべきじゃないかと思います。ふるさと納税を残す方向で考えるなら、ミクロとマクロの「ねじれ」を解消する方向で制度設計するしかないと思います。現状では、自分が住んでいる自治体に寄付をしても返礼品を受け取れませんし、節税効果がないわけです。それなら「地元納税」でも返礼品受け取れるようにしてみてはどうかな?と思っていて、それでも不十分だったら、「地元納税」する場合には、50%ルールや30%ルールを緩和してよりお得な返礼品をつけられるようにするといった手もあります。そうすると、ねじれがなくなり、個人の行動がダイレクトに自分たちの街の発展に結びつくようになるのではないかなと思います。


吉田:そうなりますと、「ふるさと」ではなくなりますね。


神庭さん:確かにそうで、「いやいや、もはや、ふるさと納税じゃないじゃん!」というツッコミはもちろんあると思います。ただ、現状でも多くの人が縁もゆかりもない「行きずり」のふるさとに節税目的で寄付をしているわけで、すでに趣旨がよく分からなくなっています。


ユージ:返礼品目当ですよね。


神庭さん:そうそう。自分の地元こそが「応援したい自治体」なのだとしたら、自然な感情ですよね。なのであれば、地元納税も返礼品OKにしたとしても大きな問題ではないと思います。返礼品が魅力的なら、これまで通り地元以外の自治体に寄付する人も大勢いると思います。あとは、税金でふるさと納税のポータルサイトばかりが儲かって自治体が赤字になるのもおかしな話ですから、プラットフォームが暴利をむさぼることができないように、自治体から徴収する手数料の上限を例えば3%、5%にする、といったやり方も考えられるかなと思います。最後に一言あります。10月から5割ルールが厳格化され、寄付金の受領証の発行や郵送費も含めて5割以下に抑えないといけなくなります。つまり、返礼品の金額が上がったり、量が少なくなったりする恐れがあります。毎年、12月のギリギリになって、ふるさと納税する人が多いと思いますが、今年は9月中がオススメです。上限額を注意しながら行ってください。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。







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